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冬になり風は冷たくなった。 僕の家から高校までは自転車で通っていた。バイト先のGSを横…
冬枯れの季節になった。 僕の住まいから店までは峠を越える必要がある。 小排気量ながら…
年の瀬になった。 世知辛い年齢に達してしまって、もう仲間と群れあって騒ぐ夜はない。年…
峠にも純喫茶があった。 僕はその冬から峠の河岸を自販機から、その店に移していた。 そ…
エンジンを磨く。 水冷エンジンでフィンはないが、エンジンを磨くメンテナンスは冬の愉し…
バスルームで水音がする。 バスタブには温かい半身浴に丁度いいくらいのお湯を張っていた…
バーの止まり木の背中はひとつだけだった。 肩と大きく背中を開けたワンピースだ。肩甲骨に特徴的な黒子を認め、彼女だとわかった。クロークに分厚いコートを預けていないと、その姿のままでは駐車場に着くまでに風邪をひきそうだ。 祐華は、そんなに攻め込むタイプではなかったが。 口には出すまいと心に硬く決めて、ホテルのロビーからその店に入った。見回すとボックス席にも人影がいない。 「ごめん、遅くなった」 「お店の締めだもの、待つのは覚悟していたわ。ちゃんと戸締まりしてきたの」 「あ
金属音を時々立てて、エンジンが冷えていく。 冬の朝もやが立ち込める路地に、その熱量が…