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一院制Caseの変遷〜甲子園・JDA・全日本〜

はじめに

こんにちは。初めてのnoteで緊張しています。えだまめです。

ディベートアドベントカレンダーのお話をいただいた時、「JDAの議論潮流に革新的な議論を投入できた自信もないし、温めていた議論もないし、正直何を書けばいいんだろう……?」と迷って、ダラダラと過ごしていたら締め切りギリギリになってしまいました。そこでCaseの変遷を追うという策を思いつき執筆している次第です。これまでのCaseの変遷を一院制シーズンを走り終えた今、備忘録的に振り返ってみたいと思います。

実は甲子園シーズンから通算すると、約13ヶ月で30本近くのCaseを作成していたようです(議論が進歩していたかは謎ですが…)。一立から二立への移行、そしてJDAから全日本に向けてどのように原稿を修正したか、その変遷が参考になれば(?)幸いです。

※立論内で引用されている資料は出典整理が未完のものもあり、引用の際には十分ご注意ください。

甲子園シーズン

ということで、まず手始めに甲子園シーズン(2018)の原稿から見ていきましょう。当時高校一年だった私は夏から2ARを担当しており、秋大会も引き続き両第二反駁を担当していました。当時の甲子園では肯定側が不利とされており、トーナメントでは何とかじゃんけんで勝たないようにお祈りをしていたのを記憶しています。そんなシーズンの集大成として作られたのが下のCaseです。

観察で「二大政党化を志向した選曲制度下では、与野党は妥協不可能だし、国民もそれを望まない」と1NRに対するブロックを用意しつつ、重要性に否定側立論へのアタックを仕込むという意図が見受けられ、攻撃的な立論になっていると感じます。個人的なこだわりポイントは内因性4-Bで、ねじれ国会下での法案成立の遅れが、一致国会まで持ち越されているのではないかという推論を、統計資料を使って証明しようとしているようです(圧倒的に立証が足りていませんが…)。迎えた秋大会決勝、ベスト8で敗れた相手に同じサイドでリベンジ!と思いきや3-0で敗北しました。悲しい。

JDAシーズン

このような形で甲子園シーズンを終えてしまった私は、一院制論題の肯定側に対して心残りがあったため、チームメイトに許可をいただき1ACの作成を担当することになりました。

最初に作成したCaseが以下のものです。甲子園シーズンでは肯定側がねじれ時の問題にしかフォーカスできない一方、否定側は一致国会でも参議院の独自性をアピールできてしまうので、それが肯定側の不利につながっているのではないかという問題意識がありました。そこで、まずCaseの内因性をねじれ時に限定しない壮大なものにしようと考え、作成に取り掛かりました。「与党の業績評価を下げることが野党の使命となっている」という前提のもと、「業績評価の尺度になるマニフェストの提示が曖昧になる」という問題と「野党の反発によるイメージ低下を避けるため、法案提出を抑制する」という二本立てで作成していました。しかしながら、一院制にしたところで野党は反対するので明確なマニフェストを作成してくれる保証はない等々練習試合で課題が発覚し、作成を断念しました。

続いて作成したのが以下のCase。この時期は国会図書館で拾ってきたエビデンスに感動して、ねじれ時与党と野党が水面下で交渉する結果として本会議が形骸化し国民が法案の問題点を認識できない+与党が責任追求をされないといった内容のCaseを作成しました。アリーナ型の国会形成を二院制が阻んでいるという壮大なCaseを作成しようと目論んでいたのですが、あまりに内因性が壮大すぎて対応する解決性が見つからなかったため、しばらくは反駁を作成して誤魔化していました。

その修正版として野党の行動原理を追加したのがこのCase。参議院選挙では、与党の業績評価が野党への投票につながるため、野党は反対が仕事になり、政権党としての政策アピールにつながらないという筋を挟むことで、論題との関連性を強化し間接的に解決性の強化を図りましたが、練習会でやはり解決性の弱さを指摘され、断念。

ここで壮大なCaseを作成するのは諦めて、ねじれ国会にフォーカスするという選択をしました。提出抑制に具体的な事例を足してインパクトを補強+妥協で法案が成立される結果改悪された事例(復興予算)の二本立てで作成しました。しかしながらこれまでJDAの潮流とかなり外れたCaseを回していたため、ここにきて初めて提出抑制に対するアタックに直面し、また事例もインパクト強化にはつながっていないという評価をいただき、この筋もここで終了。

最終的に戻ってきたのは、オーソドックスな筋でした。ねじれで法案成立が妨げられる+法案成立の責任が与党に帰着するため政権交代の可能性が上昇するという筋でした。本番で使ったのは一試合だけだったのですが、日本では自民党一強で政権交代不可能というアタックを観察で返しつつ、内因性1•重要性1•解決生1の筋へのアタックを薄くして伸ばすという戦略をとりました。この戦略は全日本でも引き継がれることになります。

全日本シーズン

全日本ではJDAでそれぞれ別のチームであった3人でチームを結成しました。JDAで学んだ二立のゲームメイクを一立に落とし込む練習がしたいと思い、2ARを担当することになりました。

全日本に出場するにあたり、「4分で2ACの働きをする1ARの労働量が過剰になるので、Case段階から1ARのアタックを仕込んでおくとよい」というアドバイスをいただき、作成したのがこのCase。観察と称して固有性アタックが入っていたり、解決性2は発生過程アタックの援用になっていたりなど、もはや三要素を満たしているのか怪しい攻撃的な立論になっています。ただ流石に上記の2つは浮いている&あまり試合の中で機能しなかったということで、より巧妙にDAアタックを仕込むことにしました。

次に作成されたのがこちらのCase。反省点を活かしてあからさまなアタックを削除し、空いたスペースに政権交代可能性に対するブロックを挿入、また迅速に法案を成立させ後から修正するという筋の補強として、解決性3で政権交代による政策修正と国民世論による政策修正というJDAで流行っていたアタックをそれとなく挿入しました。練習会でも致命的な欠点は指摘されなかったので、基本的な流れは維持しつつマイナーチェンジを施しました。

そして完成版がこちら。解決性1の論点にイギリス労働党の分析を追加して政権交代のイメージが湧きやすいように変更。解決性Bはプラン前後の差が見えにくかったため、国民の緊張感が上がるという分析を追加しました。某チームの弱い参議院CP対策に内因性の資料を追加したら3600になってしまい、チームメイトにはご迷惑をおかけしました(結局内因性はキャプチャーされてしまったのですが😭)

まとめ

いかがでしたか?ややまとまりのない文章になってしまいましたが、私自身執筆を通じてシーズンのどの辺りでどのようなことを考えていたのかを整理することができ、自分にとっては有益な取り組みになったかなと感じています。また、シーズン後半に行くにつれ、「こうなれば嬉しい!」という理想論から勝てる議論にフォーカスしていく様が個人的には興味深かったです。

最後にCaseの作成に際して様々な形でアイデアをくださったJDAのチームメイトのお二方と全日本のチームメイトのお二方、練習会でCaseに対するアドバイスをくださった対戦相手の方やジャッジの方に感謝の意を表してこの投稿を締めさせていただきたいと思います。

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