見出し画像

U-NEXTで観られる変な映画を観てみよう 一本目『テストN』

まえがき


 こんにちは。皆さんは映像のサブスクリプションサービスを活用していますか? AmazonプライムやNetflixやHulu、そしてDisney+などなど、様々な映像配信サイトが世の中には存在します。その中でも群を抜いて配信数が多いサイトをご存じでしょうか? それはU-NEXTです。諸々を併せると動画だけで27万本も配信しているそうです。もちろん映画も大量にあり、他のサイトでは配信されていない、ここでしか観られないような映画がたくさんあります。

 さて、そんな大量に映画があると当たり前ですが「これは……」と口を噤むような作品に出会うことがあります。わりとあります。試しに新入荷している作品一覧を上からずらぁと見てください、たぶん目に入っただけで10本近く「これは……」となる作品があったと思います(個人の意見です)。ですがそんな作品ですら配信してくれているのがU-NEXTの利点です。言い換えると、ここでしか観られない作品が盛り沢山というわけです。

 ぼくは変な映画を観るのが趣味ではないのですが、なぜか心がそういう映画に惹かれてしまい、ついついみんなが観ていないような作品をチョイスして「なんかアレだったな……」という時間を過ごすことが多くなっています。その多くなった体験をちょっとは皆さんにお伝えしたく、ちょこちょこですがこれまで観た変な映画のことを書いていきたいと思います




『テストN』



テストN U-NEXTより

  この続くかもよくわからない企画の記念すべき一本目は、ぼくが去年観た作品の中でも上位に君臨する「なんだこれは……」な作品です。ちなみに5段階評価で1を獲得している素晴らしい作品でもあります。5を取るより難しくない?

あらすじ

映画監督のトーステンは、安楽死した祖父の日記から、彼が元ナチスで、ユダヤ人収容所で残虐な心理実験を行なっていたことを知る。贖罪の意識と映像作家としての野心から、トーステンは自らを被験者としてその実験を再現し、映像に記録しようとするが……。

 このあらすじを読んで「ちょっと面白そうだな」と思ったそこのあなた、いいセンスをしていますね。ただこの作品が面白いのはこのあらすじだけです。たしかにこのあらすじは何も間違ってはいないのですが、本作はこのあらすじに書かれていることしかやっていない作品です。

 というのも、このあらすじ以外にストーリーというか語ることが何もなく、作中で序盤に上記のことが語られた後は何がどうしてこうなっているのかというのがほぼ説明されないので、観ている人間が「多分これはこうだろうな……」と想像で補いながら、再現されたナチスの心理実験をただただ観ているだけの作品なのです。

 しかもその見どころであるはずのナチスの心理実験も、「本当に????」と疑ってしまうような物がお出しされます。その内容とは、朝の四時半に無理矢理起こされ、その後施設内にあるタイヤを一つずつ運んで積み重ねるということを夜まで繰り返し行い、タイヤの山を作るという物です。これがメインの心理実験です。やっている人間もそうですが、これを観ている人間の正気が奪われます。ですが作中人物は役に入り込み徹底的にやり、そのせいで一人が死にかけることになります(わけがわからないよ……)

 一応、この実験が本格化する中盤までは、それまでの準備として後に繋がる要素を散りばめた話をやってくれてはいるんですが、それらの話自体も抽象的で説明不足なところが多く、主人公が置かれている人間関係やその状況を把握しているうちにこの心理実験が開始され、そのうっすらとした把握の答え合わせすらされないままストーリーに置いてけぼり状態になってしまうので、画面から目を離していないはずなのによく話に乗り切らないうちに始まり、なぜか人間がおかしくなって終わっちゃった……と釈然としない消化不良感だけを残していくのです。せめてもう少しでも人間がおかしくなったことへの理由付けがあれば良かったのでしょうが、そういう肝心なところはだいたい端折られています。所謂囚人のジレンマ的なことなんでしょうが、なんだかなぁ……。

 そしてトドメに物語のラストで全てが伏線でしたと言わんばかりのスマートな言動で主人公が物語を締めるのですが、そこまでの過程がグダグダだったせいで滑稽な締めにしか思えず、「そう……」と冷めた感じで受け止めるしかないのがつらかった。

 受刑者に延々とタイヤを放り投げさせる拷問が観られる唯一無二の映画にはなっているので、そういうプレイが好きな人にはオススメな作品かもしれないですね。ナチスの実験なら何してもいいわけじゃないんだぞと言いたくなるような一作でした。



 この作品のように、世の中には変な映画というのがたくさんあります。皆さんにもそれがお伝えできるようやっていきたいと思います。あとカクヨムで小説を書いたりもしてるので、そちらもよろしくお願いします(宣伝)

喋る案山子と女子高生 - カクヨム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?