マンガで考察シリーズ⑩テラフォーマーズの踵走り
テラフォーマーズには色々な特殊能力を持った人間が登場します。
その中でも最強とされるのが人類の到達点とされているジョセフ・ニュートンです。
ジョセフ・ニュートンは普通の人間ではありえないような身体能力を発揮します。
そんなジョセフが採用していた動き方の一つが踵走りです。
普通の人なら動くときは足先を使いますが、ジョセフの場合は踵に力を入れて動いていました。
実はこの踵からの動きは理に適っています。
なぜなら足先は本来ブレーキをかけるための筋肉なので、初動を早くするには向かないのです。
そこでジョセフは足の踵から踏み出し初動を最大限まで高めていました。
ここで気になるのが正しい歩き方です。
正しい歩き方とは、無意識に脱力した身体が自然に歩いている状態です。
ジョセフの驚異的な身体能力も脱力に秘密があり、どんな危機的な状況においても力まずに脱力して動くのがポイントでした。
日本の古武道でも脱力を重視しており、踵を強く踏むようにして足先はやや浮かす踵重心を実践しています。
踵を強く踏むと重心が踵側に移っていき、踵にかかった圧力に対して生まれる反作用で身体は前に無理なく動けるのです。
ここでポイントとなるのが、力を入れて足先を浮かすのではなく足先の抵抗を減らすだけで反作用の力が生まれます。
つまり大切なのは踵重心と足先の脱力なのです。
ですが完全な脱力を実践するには、かなりの強靭な精神力と危機的な状況にも動じない冷静さが必要です。
ちなみに剣豪の宮本武蔵の立ち方も、踵に重心があったと言われます。
だから簡単そうに見えても実践が難しい技術なのかもしれません。
東洋医学では脱力を実践するために必要な中庸(ちゅうよう)という偏りのない精神状態の必要性を説いています。
精神に偏りを持たせずにフラットな状態で物事を見れば、世の中に良いものと悪いものがある訳ではないことが分かります。
あくまで状況に応じて、最適な方法を選択することが何よりも重要となります。