マンガで東洋医学を考察シリーズ⑧鬼滅の刃で血を考える
東洋医学では血(けつ)の概念にはホルモンなども含みます。
このホルモンは心身に大きな影響を与えます。
今回、注目するのは猪之助です。
猪之助は猪に育てられたために人の感情に鈍いという設定でした。
そのため、猪之助は自分で自分の感情が分からずにとまどう場面があります。
それが猪之助がホワホワすると感じる瞬間です。
炭治郎に「ありがとう」と言われたときや、お婆さんに優しくされた時に猪之助はホワホワと感じていました。
実はこういった感覚はホルモンの分泌によるものです。
人に感謝したり思いやりの気持ちを持つと、分泌されるのがオキシトシンというホルモンです。
オキシトシンは幸せホルモンとも呼ばれ、母乳を分泌する作用もあります。
母親が子供に授乳しているときに幸せを感じるのはオキシトシンの作用によるのです。
また、オキシトシンはドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の効果も高めます。
実は猪之助の強さの秘密はオキシトシンにあるかもしれません。
スポーツの世界には心技体という表現があります。
スポーツなどで高いパフォーマンスを発揮するには心技体の三要素が必要ということです。
猪之助は始めから強かったですが、胡蝶の屋敷では特訓から逃げ出すシーンがありました。
この時点では心が整っていなかったのです。
心技体の要素は、
・冷静で感情にいらつきがない心
・鍛錬によって磨かれた技
・疲れが回復する体
などです。
何事も準備をせずに高いパフォーマンスは出せません。
心技体の要素をいかんなく発揮するのが自律神経です。
自律神経とは、無意識下で臓器をコントロールしている神経です。
身体の筋肉を動かして呼吸や血流をコントロールし、驚異的なパフォーマンスを発揮するには自律神経の働きを高めることが大切です。
自律神経の働きを高めるには、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の効果を高めることです。
そこでオキシトシンが活躍します。
一流の選手が活躍するために周りへの感謝を忘れないという精神が大切と言われます。
周りへの感謝を忘れなければオキシトシンの分泌が高まり、神経伝達物質の効果が高まります。
結果として自律神経の働きが高まり心が整い、心が整うことで身体の回復力も高まるのです。
技に関しては日々の鍛錬が欠かせませんが、心と体を整えるには自律神経の働きを整えることが大切です。
身体の回復力が低下する背景には自律神経の乱れが隠れています。
猪之助の基礎能力はもともと高かったですが、胡蝶や炭治郎に感謝するようになってから一段と前向きになりました。
心と体が整うことで技の鍛錬に励めます。
そして自律神経のバランスが整っていることで血流が良くなり集中力が高まります。
猪之助が最終決戦でも大活躍できたのは、血に含まれるオキシトシンが充実していたからかもしれません。