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✅60代女性【夫の言葉に傷つき別居】を選択理論でコーチング人生案内#132

◇今回は、相談者が「相手(の言葉)に振り回されている」事例です。

 60代の女性。数年前、結婚して40年になる夫に「俺は誰も信じていない。お前のことも結婚当初から信じたことはなかった」と言われました。夫は難しい人ですが、私のことは信じてくれていると思っていました。これまで誠実に、家庭優先でやってきたつもりだったので、何がいけなかったのかと悩み続けています。

 私は、人付き合いで一番重要なのは、信頼と考えています。それが夫婦間で築けていなかったとは……。夫は、育てられ方によるもので仕方ないと言いますが、私がやってきたことや私の存在が無価値だったように感じ、早く消えてなくなりたいと思ってしまいます。

 私は今、カウンセリングに通っています。夫とは別居中で、離婚したいと思っています。自分が、自分の人生が、うまくいっていると思っていた家庭が、私の勘違いだったということがつらいです。(東京・T子)

(2022年7月14日読売新聞朝刊)

次を参考に「相談者の答え」を引き出す質問を考えてください。

【相談者の困りごと、願いごとを考えましょう】

相談者の「困りごと」

・夫は難しい人だが、妻の自分のことは信頼してくれていると思って、誠実に家庭優先でやってきたのに、「おまえのことも結婚当初から信じたことはなかった」と言われ、うまくいっていると思っていた自分の人生が、自分の勘違いであったことがつらくて、何がいけなかったのかと悩み続けて、困っている。

相談者の「願いごと」

・自分のやってきたことや、自分の存在が無価値ではなかった、自分の人生は、そこそこうまくやってこれたと思えるようになりたい。(推測)

相談者が満たせていない(満たしたい)基本的欲求


(力・自己価値の欲求) 

【選択理論コーチングの三角モデル】

【選択理論心理学で考えてみましょう】

・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・相手の行動を変えられるのは相手本人であって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。

・変わろうとしない相手に自分が振り回されていることに気づきましょう。
 
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

・相手の行動も、自分のと同じく、ニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。
 

【相談者の困りごとのパターン】を考えましょう

・「おまえのことも結婚当初から信じたことはなかった」と言われ、うまくいっていると思っていた自分の人生が、自分の勘違いであったことがつらくて、何がいけなかったのかと悩み続けて、困っている。
 
(困りごとのパターン:「相手(の言葉)」に振り回されている)

 
以上を参考に、ここで、みなさんのコーチング質問を考えてみましょう。

【心に響く回答者(大日向雅美さん)の言葉】

 信じていた人に裏切られるのはつらいことです。立ち直るためにカウンセリングを受け、それでも夫を許せずに別居していることからも、あなたの心の傷の深さが思われます。

 ただ一つ、うかがいたいのは、あなたのことを「信じたことはなかった」という言葉を聞くまで、夫の思いにまったく気づかなかったのでしょうか? もし、そうだとしたら、夫は夫なりにあなたの献身にこれまで精いっぱい応えようとしていたとは考えられないでしょうか?

 あなたは夫の言葉に傷つきましたが、そもそも言葉は必ずしも真実を伝えるとは限りません。「言葉が人間に与えられたのは、考えていることを隠すためである」という名言もあります。あなたが夫を信じられるか否かは、彼が放った一言ではなく、夫婦として連れ添ってきた時間の中での行動を思い返してから、判断してはいかがでしょうか。改めて不信感が増すのか否か、離婚はそれから考えても遅くないと思います。

 なお、夫に誠実に尽くしてきたとのことですが、夫のためだけではなく、あなたご自身もそうした行動に満足されていたことはなかったのでしょうか。過ぎた時間をいろいろな面から評価することも大切です。

(2022年7月14日読売新聞朝刊)

私は次のような質問を考えました(ご参考まで)

・大変なショックを感じられていることと思いますが、この相談が終わったときに、何がどのようになっていたら、相談した甲斐があると思われていますか。

・誠実に家庭優先でやってこられて、自分たちの家庭がうまくやってこれていたと思っていたということですが、具体的にどういうところから、そのように感じることができてきたのですか。できるだけ多く挙げてみてください。

・育てられ方のせいで「俺は誰も信じていない」というご主人が、「妻の自分だけは信じてくれていた」と思っていたとのことですが、具体的に、どういうところから、そのように感じることができていたのですか? できるだけ多く挙げてみてください。

・あなたは、「難しい人であるご主人」を結婚以来ずっと100%信じることができてきたのですか? 紆余曲折があったと思いますが、多いときで何%くらい、少ないときで何%くらい、ご主人のことを信じることができてきましたか。 そもそも、夫婦や親子であったとしても、また、友人関係などでも、「人が人を100%信じることができる」というのは、世の中で、どの程度、そのようなことがありえそうでしょうか?

・また、あなたにとって「うまくいっている人生、うまくいっている自分」とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。それは、100%うまくいっているということですか。あなたにとって何%位うまくいっていれば、「うまくいっている」ということなのでしょうか。

・「誰も信じることができないという人」に対して、「100%自分を信じさせる」には、どのような方法がありそうですか? 

・もし仮に、ご主人が「お前のことは100%信じている」と言ってくれたとして、あなたはその言葉を何%くらい信じることができそうですか?

・聖職者でも、神の存在を100%信じていないということを聞いたことがあります。「自分は95%、神の存在を信じているが、どうしても5%の不信がある」というようなことです。これは、裏覚えで逆だったかもしれません。「自分は95%神の存在を信じていないが、残り5%で信じている」というような話だったかもしれません。

・ところで、逆説的ですが、ご主人が「俺は誰も信じていない。お前のことも結婚当初から信じたことはなかった」とあなたに話すことができたのは、あなたをどのように信頼していたから、そのように言えたのでしょうか。ご主人があなたにこのことを話しても大丈夫だと思ったのは、なぜでしょうか。

・ご主人がそう言ったとしても、一方で、あなたが「私の方は、あなたのことを100%信じている」というとしたら、そのときのあなたは、ご主人を何%くらい信じて、または信頼して、そのように言われますか。

・このように考えてくると、ご主人は「人を信じれる、信じられない」ということを話されているのに対して、あなたは「信頼されている、信頼されていない」ということを問題にされているようにも聞こえます。「信じる、信じられない」と「信頼されている、信頼されていない」とでは、ひょっとして、話がかみ合っていないのかもしれません。

・ご主人はあなたを「信じていないが、信頼はしてきた」し、あなたもご主人を「信じようとして、そして、信頼してきた」ということではないでしょうか? お二人とも、かなりの程度、「お互いに相手を信頼してきた」という部分では一致しているのではないかとも思えます。

・ご主人のような「難しい人」と、仮にあなた以外の女性が結婚したとして、あなたと同じように「うまくやってこれたと思える家庭」をあなたほどに築くことはできたでしょうか。

・ご主人と離婚されるのも、一つの方法だと思いますが、上のように考えてくると、「お互いに、それなりの信頼関係があったのか、全くなかったのか」について、また、「ご主人の育ち方のせいという、ご主人側の理由で、あなたを信じることはできなかったが、結婚生活、家庭生活では、あなたを信頼してきたということはなかったのか」について、お二人でもういちどよく話し合われることも大事なのかなと思えます。

今回は以上です。上の質問は、自己対話で使うと、セルフコーチングができます。お役に立てればうれしいです。それでは、また次回。


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