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70代女性の【勉強を巡り、娘が孫をどなる】をコーチングするとしたら?

😞 今回は、相談者が「孫をどなる娘に振り回されている」事例です…🙂行動の選択理論でコーチング人生案内#183

 70代の女性。40代の娘は独身時代、会社勤めのつらさから、うつ病を患って退職し、一時期精神科に通院しました。ちょっとしたことを過剰に心配する面があります。現在は専業主婦で、私の孫にあたる小学6年生の子どもが1人います。

 孫は今、塾に通っています。婿が通塾を提案し、娘は当初反対しましたが、結局受け入れました。最近は授業時間も増えて、内容も難しくなっていて、家にいるときは、娘が付きっきりで勉強をみているようです。

 ところが、最近、勉強を巡り、娘と孫のけんかが増えているようです。家が近いこともあり、どなっている声がよく聞こえます。婿が仲裁に入ると、さらにエスカレートします。

 塾を辞めたらと提案しましたが、娘には今さら辞められないと言われ、私との接触も拒絶されてしまいました。娘も心配ですが、孫が追い詰められないか心配です。対処法を教えてください。(大阪・P子)

(読売新聞2022年10月15日)

✅次のようなプロセスで、相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました💦


▶︎ 相談者が話したい「困りごと」を受けとめ、まとめると

・40代で専業主婦の娘は、独身時代に会社勤めのつらさから、うつ病を患って精神科に通院し、ちょっとしたことを過剰に心配する面がある。

・最近、小学6年の一人っ子の孫の勉強を巡り、娘と孫のけんかが増えている。家が近く、どなっている声がよく聞こえる。婿が仲裁に入ると、さらにエスカレートする。

・塾を辞めたらと提案したが、娘に今さら辞められないと言われ、私との接触も拒絶された。娘も心配だが、孫が追い詰められないか心配で、困っている。

▶︎「困りごと」を「願いごと」に転換して、話してもらうと

・娘と孫のけんかが増え、娘が孫をどなっているという状況に、娘も心配だが、孫が追い詰められないか心配なので、対処法を教えてほしい。

▶︎ 相談者の「困りごとのパターン」を考えてみると

  • 願いごとが不明確

  • 相手や状況に振り回されている

  • 相手をコントロールしよう(変えよう)としている


🚩 ①相手の困りごと、願いごとを受けとめたうえで、②次の質問や展開をしてみること、を考えました

・孫の勉強に対して、過剰に心配して、どなっている娘さんのこと、孫が追い詰められないかと心配されているお気持ちが、よく伝わってきます。

・娘さんのご家族の問題であり、離れた家の中で起こっていることなので、娘さんの母親とはいえ、他者の立場としては、なかなか対応も難しいですね。

・あなたとしては、今の状況が、具体的に、どのように変わることを望んでいらっしゃるのでしょうか?

・一方で、あなたが望む方向で、「娘さんの考え方や行動を変えたい」とあなたが思われても、「相手を外側から変えることはできない(相手を変えるのは、相手自身である)」ですので、あなたが提案やアドバイスをしても、娘さんからは、今のように拒絶されるだけかもしれませんね。

・対策として、あなたができるのは、あなたの考え方や行動で、効果的なことがあれば、それらを実践することかなと思います。

・娘さん家族の近くにお住まいのあなたに対して、お孫さんは、どのような対応を望んでいそうですか? 避難場所であったり、休息場所で会ったり、相談相手であったり、ということでしょうか?

お孫さんがあなたの望んでいることで、あなたができることをしてあげることは、お孫さんにとって、心強いでしょうね。

・また、娘さんのご主人は、あなたに対して、どんな対応を望んでいそうですか?

「何とか、自分の家庭内で解決できそうだ」とお婿さんが考えておられるようでしたら、あなたの懸念は伝えても、お婿さんの意思を尊重する、ということかもしれませんね。

・一方、娘さんは、あなたに対して、どんな対応をしてほしいと望んでいらっしゃるでしょうか? 

娘さん自身も、まずは、「よかれと思って精一杯がんばっている自分」のことを理解してほしい、認めてほしい、と思われているかもしれませんね。

・ということで、娘さん家族の3人の方の話を、折に触れ、中立の立場で、よく聴き、3人の当事者のそれぞれの考え方や行動を尊重しつつ、3人の方のそれぞれが「あなたに対して、してほしいと願っている行動」で、あなたができることは協力し、貢献していくこと、それ以外のことは、娘や孫であっても、静観して見守る、ということかな、と思われますが、いかがでしょうか。

・また、あなたの方で、娘さん、お孫さん、お婿さんのそれぞれが、今は十分に満たせていないニーズや価値観、基本的欲求を考えてみて、彼らがそれらを満たすことにつながりそうな「あなたの具体的行動」を、相手の依頼やリクエストに応じてしてみたり、あなたの方から提案して、提案を受け入れるかどうかは、相手の選択にまかせる、ということもできるように思います。

・それから、話が変わりますが、もし、この心配事が解消されたとしたら、あなたは、心置きなく、今はしていない(できていない)、どんな行動をして、シニア生活を一層楽しめそうですか。楽しみたいですか?

できるだけ、いろいろと、もしこの問題がなかったら、したいこと、できそうなことを挙げてみてください。

そして、「娘と孫のけんか」は、それはそれとして、あなたが思いついた、したいこと、できそうなことを、片っ端から、早速やってみませんか?

そのような、したいこと、できそうなことを片っ端から実行できたとしたら、あなたご自身は、今とどんな違いが出てきそうですか?

・そして、あなたがそのようなはつらつとしたシニア生活を送られている姿を、娘さんや、お孫さん、お婿さんが見られたとき、彼らにどのような影響を与えそうですか?

・以上のようなことを、考えてみられて、どのようなことを思われましたか、叉、気づかれましたか?

✅参考:回答者(大野裕さん)の言葉です💖

 お孫さんのことが心配になるお気持ち、同じく孫を持つ私にもわかります。母親が厳しく叱ってけんかになると、ハラハラします。

 でも、それだけ親身になって心配してくれる親の存在を、お孫さんは感じていらっしゃるのではないでしょうか。私もその年代のころ、親とよくぶつかりましたが、今では懐かしい思い出になっています。

 そうした言い争いがあっても学校や塾を続けていらっしゃることに、お孫さんの強さを感じます。いろいろな違いを持っている子どもたちが交流する学校と、近いレベルの成績の子どもたちが 切磋琢磨せっさたくま する塾とでは、それぞれに違った楽しみや意義があると聞きます。

 おそらくそうした違いをわかっている父親が塾通いを提案し、最初は反対した母親がそれを受け入れ支えている家庭環境は、お孫さんの成長の支えになっているはずです。

 もちろん、つい一生懸命になりすぎるお母さんの性格が、お孫さんの負担になっている可能性も否定できません。その場合は、近くに住んでいらっしゃる利点を生かし、お孫さんがちょっと来て息抜きできる場を作ってあげてはいかがでしょうか。

 残された時間のほうが少ないのです。一分、一秒を丁寧に生きてください。

(読売新聞2022年10月15日)

💟新聞の人生案内の回答は一種のティーチングに当たると思います。「本人から本人の答えを引き出す対話」としてのコーチングとの違いがよく分りますので、コーチングが、より社会に認知される一助になればと思います。


✅ 以下、選択理論コーチングの補足です。

 😋 筆者独自の見解や表現も入っています.

1,相談者が満たすと幸せ感が増ず基本的欲求(ニーズ)

  • 愛所属の欲求(愛したい、愛されたい、仲間でありたい、仲間がほしい。人間関係、結びつき、親密、メンバーの一員など)

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい。コントロール、達成、競争、影響力など)

  • 自由の欲求(自由でありたい、自由にしたい。自立、移動、選択、創造など)

  • 楽しみの欲求(楽しみたい、学びたい、追求したい。面白い、喜び、笑い)

  • 生存の欲求(生存に必要なことを満たしたい。安心、安全、健康、生殖など)


2,選択理論コーチングの基本的な三角モデル


3,今回使った「選択理論の考え方のエッセンス」

🌻 選択理論の第1の原理 
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って、自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。


🌻 選択理論の第2の原理 
・相手(本人)の行動を変えられるのは相手(本人)だけであって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。(影響は与えられるが、相手を変えることはできない。「相手が自ら変わる」と考える)

🌻 「外的コントロールの心理」から「内的コントロールの考え方」に転換
・変わろうとしない相手(変えられない状況、環境)に、自分が振り回されていること、に気づきましょう。

・自分は自分なりに、相手は相手なりに、それぞれが「精一杯の行動」をしている、と考えましょう。

・相手の外的コントロールに対する自分の抵抗や逃避も、そして、「自分」の気分や感情、生理反応、症状なども、「自分で自分を守るための精一杯の行動」なのだと捉えて、受けとめましょう。


🌻 外的コントロールをやめて、人間関係を近づける
・「自分の正しさを押しつけると相手は反発するか逃げる」、「相手の考えを受けとめると相手は近づいてくる」ということを理解しましょう。

・いやがる相手を変えよう(コントロールしよう)としても、相手の抵抗を生み、相手との人間関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・(本人を外側から変えようとして)相手を批判したり、強制したり、脅したり、文句を言ったりすることはやめましょう。

・相手との関係が良くなると、こちらのリクエストも聞いてくれやすくなります。

・「人間関係を育む行動」を習慣にしましょう。具体的には、傾聴する、支援する、勇気づける、信頼する、受けとめる、尊敬する、意見の違いについて交渉する、などの行動です。

・「人間関係を害する行動」をやめましょう。具体的には、強制する、批判する、責める、脅す、文句を言う、ガミガミ言う、罰を与える、ほうびで釣る、などの行動です。

・外的コントロールを相手にしたり、相手からされたりして、反応しあい、自己防衛のための行動を取り合っているときは、自分も、相手も、それぞれの心の中の大切な基本的欲求やニーズ、価値観に、目が向けられていないこと、に気づきましょう。

・自分の大切な基本的欲求やニーズ、価値観が何かに気づいて、それを満たせる行動をとりましょう。

・自分の中の基本的欲求やニーズや価値観が満たせるような相手の具体的な行動を、相手にとってくれるようにリクエストしてみましょう。

🌻 相手の内的コントロールと行動、願望、欲求充足
・相手の行動や反応(抵抗、攻撃、逃避など)も、自分のと同じく、相手が本人の基本的欲求やニーズや価値観を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。

相手も、あなたとの関係で、相手のどのような基本的欲求やニーズ、価値観が満たせていないか、について考えてみましょう。

・相手の大切な基本的欲求やニーズ、価値観を考えてみて、相手がそれを満たせるように、「相手がしてほしい行動で自分がしてあげられること」があれば、積極的に協力し、貢献しましょう。

・相手が相手の基本的欲求やニーズ、価値観を満たせるような、自分にリクエストしたい具体的な行動が何かあるか、を相手に聞いてみましょう。

 
🌻 相手との人間関係(具体的やりとり)の願望-人間関係の距離感
・自分は相手(娘家族)との関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる(叉はしない)関係でありたいのか(自分の立ち位置をどこにするのか)を考えてみましょう。

そして、そうであることによって、自分は相手とどのような人間関係を得たいのか、考えてみましょう。

・相手(娘家族)はあなたとの関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる(叉はしない関係)でありたいのか(立ち対置をどこにするのか)を考えてみましょう。

そして、そうであることによって、相手は自分とどのような関係を得たいのか、を考えてみましょう。

🌻 自分の欲求充足
・自分が満たせていない、自分にとって大切な基本的欲求やニーズ、価値観が何か、を考えましょう。

・もし、自分の願いが実現したら、今とどう違ってくるか、そのときは、今と違う何をしているかを考えてみましょう。

🌻 現在とっている行動の自己評価と、これからの行動プラン
・自分が願っていることを実現するために、今どんな行動をしているか、それを続けていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるか、を考えてみましょう。

・「願いごとを実現するために、今、自分はどんな行動をとっているか」
「今している行動を続ければ、願いごとや欲求が満たされるだろうか」
という、自分の行動や状況の「自己評価」を口癖にしましょう。

・「もし願いが実現したときは、今と違うどんな行動をするだろうか」という具体的な行動を考えてみて、それらを先どりしてやりましょう。そして、どんな変化があるかを見てみましょう。
 

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