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ネコと学ぶ「選択理論の全体像(前編)」内的コントロールと人間関係(ネコの選択理論6)

ネコと学ぶ「幸せの選択理論」入門(第6回)


グラッサーの選択理論心理学を学ぶときに、もっとも重要な基本書として、「グラッサー博士の選択理論」という本があります。

この本の第13章が「自由への道」という見出しなのですが、グラッサーは、この章で「選択理論の10の原理」をまとめています。

「選択理論の全体像」をつかもうとするときには、この第13章を、原書を含めて、何度も熟読して理解することが、最重要であり、近道だと思います。

この、ネコと学ぶ「幸せの選択理論」入門の第1回から第5回までは、「選択理論の10の原理」のうち、主として、選択理論における「行動の内的コントロールの考え方」を扱っている、第1と第2の原理の部分を説明しました。

ちなみに、選択理論の第1の原理と第2の原理を、筆者なりに大きくまとめますと、

第1の原理: 人は自分の行動をすべて選択している。そして、 人がコント
   ロールできるのは自分の行動だけである。

第2の原理: 外から人に入ってくるものは全て情報である。人が他者に与え  
   ることができるのも情報だけである。情報をどう知覚して対応行動を
   選択するかはその人の自由である。

ということになります。


そして、グラッサーは、選択理論において、「行動の内的コントロールの考え方」の次に重要な考え方として、第13章の第3、第4、第5の原理で、「人が精神的に健康で、幸せであるためには、その人に、現在の満足できる人間関係があることが必須である」ということを説いています。

ここで、第13章における、選択理論の第3、第4、第5の原理を、筆者なりに、短くまとめますと、次のようなものになります。

第3の原理:人の長期間続く心理的な問題は、人間関係が原因である。

第4の原理:問題のある人間関係は、現在の人間関係である(逆に言えば、
   過去の人間関係ではない)。

第5の原理:過去に遡って、過去の苦痛や、いやな思い出を探索しても、現  
   在の問題解決の役には立たない。また、自分が過去の犠牲者になる選 
   択をしない限り、過去の犠牲者になることもない。

要するに、私たちが、心理的に不幸であるのは、現在の自分にとって、身近で、大切な人間関係がうまくいっていないとか、良好な人間関係が持てていないことが原因であること、

良好な人間関係が持てていないために、自分が愛・所属の基本的欲求をはじめとする5つの基本的欲求(注)を十分に満たせていないこと、

相手もまた、愛・所属の基本的欲求をはじめとする5つの基本的欲求を十分に満たせていないこと、

が、双方の不幸の原因であること、ということです。

(注)「5つの基本的欲求」とは、だれもが持つ、愛所属の欲求、力・自己価値の欲求、自由の欲求、楽しみの欲求、生存の欲求の5つのことです。基本的欲求については、後の回で説明します。


これは、逆にいえば、私たちの心理的な不幸は、自分の身近で、現在の良好な人間関係が一つ以上持てれば、改善できること、

を説いているということになります。

繰り返しますが、選択理論は、

過去の出来事や、過去の人間関係は、自分がそれらを、現在の自分が不幸な理由として選択しない限り、それらが、現在の不幸の原因になることはない。

あくまでも、自分の不幸の原因は、「自分の現在の人間関係」なのだ。

だから、私たちは、「現在の人間関係」を改善し、良好なものにして、そこで、愛・所属の欲求をはじめとする5つの基本的欲求を満たすことができれば、心理的な不幸を脱して、今よりも幸せに向うことができる、

ということを説いています。

そのため、選択理論を使ったカウンセリング(リアリティセラピー)では、

クライアントが「現在の誰かとの大切な人間関係」を改善したり、「新たな良好な人間関係を築く」ことにより、その人間関係で、基本的欲求を今よりも満たせるようになること、に重点が置かれます。

クライアントの人間関係の改善によって、基本的欲求が今よりも満たされることが、常にカウンセリングの方向性の選択肢とされます。


それで、「あれっ、ネコはどこにいった?」と忘れていた方へ、

最後に、この記事の(ネコが主人公という)本筋に戻しますと、ネコと人との関係では、

・ネコが幸せであるためには、そのネコの現在の対ネコ関係か、対人関係において、一つ以上の満足できる関係があること、が必要です、

・人が幸せであるためには、その人の現在の対人関係か、対ネコ関係において、一つ以上の満足できる関係があること、が必要です、

というようなことでしょうか。


本筋が、蛇足のようになってしまいましたが、第6回は、以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

「グラッサー博士の選択理論」は、次のような本です。ご参考まで。



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