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✅60代女性【養母の暴言、死後も心の傷】を選択理論でコーチング人生案内#150

😔 今回は「自分の過去の記憶に振り回されて、困っている」事例です…🙂

 60代の主婦。中高生の間、養母の介護をするヤングケアラーでした。両親は私が生まれて半年後に離婚。結核を患っていた母は9年後に亡くなるまで入院したままで、私は母の養父母に育てられました。

 ところが、私が小学6年の時に養父が死去。中学2年で養母が脳卒中で倒れました。養母の介護を手伝ってくれる人はおらず、私は学校を休むなどして介護をしました。

 それにもかかわらず、養母の口から感謝の言葉は皆無。「どこの馬の骨とも分からぬ子を育てたのは誰だ」と言われ、介護は当然というような態度を取られ続けました。養母に育ててもらった感謝はありましたが、養母の介護のために生まれたわけではありません。涙が止まらず、度々、心が折れそうになりました。

 養母の死後30年が過ぎた今も、養母の言葉が頭の中でこだまして苦しいです。どうしたらこの苦しみから脱することができますか。(山口・H子)

(2022年8月9日読売新聞朝刊)

【次のプロセスで、相談者の答えを引き出す質問と展開を考えました】


1,相談者の「困りごと」をまとめてみると

・中学生の時、養母が脳卒中で倒れ、介護をしたが、感謝の言葉が皆無で、「どこの馬の骨とも分からぬ子を育てたのは誰だ」と言われ、介護は当然という態度を取られ続けたが、今も、養母の言葉が頭の中でこだまして苦しくて、困っている。

2,相談者の「困りごと」を「願いごと」に転換してみると

・養母の死後30年が過ぎた今も、養母の言葉が頭の中でこだまして苦しいが、どうしたらこの苦しみから脱することができるかを知りたい。


3,【相談者の困りごとのパターン】を考えてみると

  • 願いごとが叶わない、願いごとが不明確

  • 「養母の暴言の記憶」に自分が振り回されている
    (注:この場合の「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分など指します)


4,以上をふまえて、次のような質問や展開を考えました

・「養母の暴言の記憶」に、ご自身が長い間、振り回され、苦しまれてきて、たいへんお辛いことと思います。身寄りの無い過酷な状況の中で、けなげに養母の介護に尽くされ、その後も、養母の暴言の記憶に苦しまれてきたご自身を、どうぞ、優しく、いたわってあげてください。

・長く苦しまれてきた記憶が、全くなくなるということは、この先も難しいのかもしれませんが、もし、仮に、そのような苦しい記憶が奇跡的に消失したとしたら、これから先、どのような人生を取り戻したいとお考えですか。

・今は、養母の暴言の記憶に邪魔されてできなくなっているかもしれませんが、もし、そのような嫌な記憶から解放されたとしたら、今後の人生において、どのようなことをし、どのようなものを手に入れ、どういう自分になり、叉、どういう自分でありたいと思われているのですか?

・ところで、昨日1日のことを思い出していただきたいのですが、朝起きてから、夜寝るまで、どういう1日を過ごされましたか。ビデオカメラを回すように、昨日1日、朝から、夜寝るまで、何時何分にどんな行動をし、誰とどのようなコミュニケーションのやりとりをされかを詳しく教えていただけますか?

また、その間、「養母の記憶」によって、実際に苦しまれた時間についても、いつ、何分間くらい、記憶を思い出し、悩まれたのかを、ビデオカメラで写すように、話していただけますか?

・昨日1日は、「養母の記憶」に苦しんでいた時間はどれくらいだったのですか? そして、その時間、苦しむ代わりに、本当は何をしたかったのでしょうか?

・また、記憶を思い出さずにいられる時間があったとしたら、それはどんな理由からだと思われますか?

・ところで、仮に、「養母の暴言の記憶」が消失して、その問題が解消したときには、あなたの生活の満足度がどのようなものになりそうかを考えていただきたいのですが、すごく満足できているを10点、全然満足できていないを1点としたとき、何点位になりそうですか?

・仮に、「養母の記憶」の苦しみが解消された後でも、その点数が9点以下だったとすると、なぜ、10点ではなく、その点であるのかについて、その理由で、思いつくものについて、できるだけいろいろと挙げていただけますか?

「養母の暴言の記憶」以外にも、今の生活で、いろいろ困っていらっしゃることがあるのですか? もし、おありのようでしたら、よろしければ、どのようなことで困っていらっしゃるのか、お話ししていただけますか?

・身近な人間関係とかで、困っていらっしゃることとか、うまくいっていない関係とか、気になる関係とかはありますか?

・以上のようなことを考えていただいたとき、今のあなたにとって、身近で、一番大切な方はどなたになるでしょうか? その方との人間関係が、今よりも良くなれば、ご自身にとって、とても安心できたり、力強く感じれるような身近な人間関係として、今のあなたにとって、どなたとの人間関係が大切でしょうか? 心当たりがある方をあげていただけますか?

・これからのここでのご相談で、今のあなたの生活において、「養母の暴言の記憶」に振り回されること以外のことで、困っていらっしゃることや、身近で気になる大切な方との人間関係が、もし今以上に改善できるとしたら、それらのことには関心はおありですか?

・そして、あなたの今の生活で懸念になっていることや、人間関係で気になっていることが、今よりもよくなっていけば、「養母の記憶」のことや、その苦しさが残っているとしても、、何か今とは変化が起きてきそうですか?


<今回は以上です。以下は参考になります>


<ご案内>

選択理論心理学と、選択理論コーチングの概要については、「選択理論でコーチング塾」のサイトで、図解も使って、わかりやすく紹介してます。詳しくはこちらからどうぞ。

【参考:回答者(海原純子さん)の言葉です】

 今でこそ、「ヤングケアラー」という過酷な環境が注目されるようになりましたが、少し前までは、子どもが親や保護者の介護をするのは当たり前という風潮がありました。

 あなたはつらくても、我慢し続けなければならない、理不尽な思いを抱えて生きてこられたのですね。何十年たっても悲しく悔しい思いが浮かんでくるのは、そのつらさを口に出すことを許されない社会状況の中で、十分にはき出せなかったことも要因だと思います。

 まず悲しい思いが浮かんだら、ノートに書いてみたらいかがでしょう。心の中にたまったつらさを書き表すことで、心が軽くなると思います。あなたの現在の生活についてはお手紙に書かれていませんが、ご家族との暮らしで幸せなひとときがあるのでは。つらい思いが浮かんだら、今の幸せや楽しいことを思い出し、つらい記憶に上書きしてみてはいかがでしょう。

 まずはつらい思いを書くことではき出し、次に楽しい記憶を上書きするという二つのステップを踏んでみてはと思います。これからの人生を過去の記憶で台無しにしないように、今の幸せをみつけてください。

(2022年8月3日読売新聞朝刊)

【以下、選択理論コーチングについて補足です】

1,今回の相談者が満たせると、幸せ感が増えそうな基本的欲求

  • 愛所属の欲求(愛したい、愛されたい、仲間でありたい、仲間がほしい)

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい)

2,選択理論コーチングの三角モデル


3,今回の事例で使った「選択理論心理学の考え方」

<選択理論の第1原理>
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

<自分の「自分」との関係>
・「もう一人の自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、「もう一人の自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。

<自分の欲求充足>
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

<現在とっている行動とこれからの行動プラン>
・自分が願っていることのために、今どんな行動をしているか、それをしていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるかを考えてみましょう。
 

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