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✅20代男性【善意を勘違い?】を選択理論でコーチング人生案内#135

◇今回は、相談者が「相手に振り回されている」という事例です。

 20代の男性医師。4月から片道1時間のバス通勤をしています。同じバスに、軽度の知的障害があり、長く立っていられないためにヘルプマークをつけている女子高校生が乗っており、ある時から、満席時などに席を譲ってあげていました。

 彼女は当初、席を譲ると会釈などしていたのですが、次第に譲ってもらって当然のような態度に。先日は、睡眠不足で眠っていた私の肩を揺すり、「どいてください」と言ったため、つい「私は席の確保係ではない」と、強く言い返してしまいました。結局、席は譲ったものの、彼女は押し黙ったまま下車。情けないことをしたと後悔しています。

 困った時の助け合いや声かけは当然ですが、善意をさも当然のように受け取るのも違うのでは。私は先日どうすればよかったのでしょうか。また話しかけられたらどうしたらよいのでしょうか。(栃木・W男)

(2022年7月21日読売新聞朝刊)

次を参考に「相談者の答え」を引き出す質問を考えてください。

【相談者の困りごと、願いごとを考えましょう】

相談者の「困りごと」

・バス通勤で、長く立っていられない知的障害の女子高生に、満席時などに席を譲っていたが、彼女が次第に「譲ってもらって当然」というようになり、先日は、睡眠不足で眠っていた自分をゆすって「どいてください」と言ったため、強く言い返してしまい、情けないことをしたと後悔している。その一方で、困った時の助け合いや声かけは当然だが、善意をさも当然のように受け取るのも違うのではとも思えて、どうすればよかったのかがわからず、困っている。

相談者の「願いごと」

・自分が疲れて寝ているときにも、「席を譲ってもらって当然」という態度をとられたようなときに、自分はどうすればよいのか、また話しかけられたらどうしたらよいのか、について、自分の考え方を整理したい。

相談者が満たせていない(満たしたい)基本的欲求


(愛所属の欲求、力・自己価値の欲求、生存の欲求)

【選択理論コーチングの三角モデル】


【選択理論心理学で考えてみましょう】

・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

・相手の行動を変えられるのは相手本人であって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。

・相手に自分が振り回されていることに気づきましょう。

・相手を批判したり、強制したり、脅したり、文句を言ったりすることはやめましょう。

・同じするなら、いやいやでなく進んでする方が自分のコントロール感も高く自由度も広がると考えましょう。
 
「もう一人の自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、「もう一人の自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。

・いやがる「もう一人の自分」を無理に変えようとしても、「自分」の抵抗を生み、「自分の自分との関係」が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

・相手の行動も、自分のと同じく、ニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。
 
・相手が満たせていない、相手にとって大事なニーズや価値観が何かを考えましょう。

・「相手がしてほしい行動で自分がしてあげられること」があれば、積極的に協力し貢献しましょう。 

【相談者の困りごとのパターン】を考えましょう

・困った時の助け合いや声かけは当然だが、自分が疲れて寝ているときにも、「席を譲ってもらって当然」という態度をとられたようなときに、席を譲るべきか、譲らなくてもいいのか、どうすればよいのかがわからず、困っている。
 
(困りごとのパターン:相手に振り回されている、かっとうに悩んでいる)
 
以上を参考に、ここで、みなさんのコーチング質問を考えてみましょう。 

【心に響く回答者(藤原智美さん)の言葉】

 毎日バスに1時間も立ったままで通勤するのは大変ですね。睡眠不足のなか揺り起こされて、思わず強い言葉を投げ返したのは、いわば生理的な反応に近いもので、仕方ないことです。

 当の女子高生だけでなく、つい感情的になってしまったあなた自身も、さぞ傷ついたことでしょう。

 知的障害者の中には、人の気持ちを察して臨機応変に行動することが難しかったり、教えられないと他人の親切に「ありがとう」と言えなかったりする人がいます。しかし、心の中が空っぽなわけではありません。彼女も言葉にできなくとも、あなたの存在に、大きな安心感を得て、通学できていたのだと思います。

 悩むのは当然ですが、今回の件には、唯一の正解などないと、私は思います。

 障害のある人とうまく接するには、知識と理解が必要です。一般向けに催される障害者との接し方を学ぶ講座などで、理解を深めてみてはどうでしょう。その上で、どんな言葉や行動で接するのか、自分の考えを決めてください。

 この体験は今後のお仕事にもきっと役に立ちます。心根の優しいあなたは、きっとすばらしいお医者さんになられると思います。どうか善意の気持ちをなくさないでいただきたいです。

(2022年7月21日読売新聞朝刊)

私は次のような質問を考えました(ご参考まで)

・なかなか、だれにとっても難しい話だと思います。また、人それぞれで、考え方も違い、何が一般的な正解といえることもないかと思えます。あなたの行動は、そのような状況では、人として、当然な反応だとも思えます。

・ところで、仮に、今回のことがあなたの友人に起きたことで、その友人があなたに、
「相手が譲られて同然という態度をとってきたらどうすればいいだろうか」「あんなときはどうすればよかったのか」
「困った時の助け合いや声かけは当然だが、善意をさも当然のように受け取るのも違うのではと思うが、あなたはどう思うか」
「今度彼女に話かけられたら、どうしたらいいだろうか」
というような相談をあなたにしたとしたら、どのようにアドバイスしてあげますか。

・彼女を非難するというのではなく、あなた自身のことについて、「善意のあり方」などについての自分の考え方や、今回のことについての自分の気持ち、自分の状況などを、遠慮なく何でも言いたいことが言えるとしたら、どんなことを彼女に伝えたいですか。

・一方で、彼女の側として、今回彼女がしたこと、あなたの反応、これまでのあなたとのやりとりについての彼女の考え方、気持ちなどを、なんでも言葉にしてみるとしたら、彼女はどんなことを話しそうですか? 彼女の立場になって、彼女になったつもりで、自由に話してみてください。

・「彼女も彼女なりに精一杯の行動をしている」し、「あなたもあなたなりに精一杯の行動をしている」と考えたとして、また、「彼女の行動」は、それはそれとして、あなたの方では、あなたはどういうふうに考え、また、行動したいのですか?

・もし、仮に、彼女に席を譲り始める前に戻れるとしたら、あなたとしては、こんどは、彼女とのやりとりをどんなふうにすればいいと思いますか、どんなふうなやりとりにしたいですか。

・今回のようなことで、「自分側の事情」と「相手側の事情」をふまえたとき、あなたとしては、ご自分の主義として、どのような「立ち位置」を維持したいですか。そして、その「立ち位置」を維持しながらも、自分のベストを尽くすとしたら、どんな具体的な行動を取れそうですか。

・以上を踏まえて、今後とも、あなたは、こういうことに関して、どういう自分でありたいですか? 叉、どういう自分になりたいですか?

・そのような自分であれるとしたら、また、なったとしたら、次回彼女があなたに話しかけてきたとき、どのような対応をするでしょうか。

・以上を、考えてみられて、どのようなことに気づかれましたか。


今回は以上です。上の質問は、自己対話で使うと、セルフコーチングができます。お役に立てればうれしいです。それでは、また次回。


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