見出し画像

サイババ体験談⑥


私がそのように突然パチンと切り替わった時、周囲の人々は心配して、気功のできる何人もが手をかざして気を送ってくれたりしました。

というのは、私はシビレてしまって、床に座り込んでほほえんでいたからです。
つまり、おかしな病気になってしまったと、みんな思ったのでした。

私も、周りの人たちに「ちょっと具合が悪くなって」などと言いました。
でも、至福で頭はパカっと開いていました。

みんなを心配させて、手をかざしてもらって(もちろん必要なかったのですが)ほほえむ私を見て、母は恥ずかしさのあまり、「女王様じゃないんだから!」と怒っていました。

私が何らかの理由で自分を責めるあまり精神に支障をきたしたと判断したある人は、
「大丈夫、あなたはいい子よ!」と声をかけ、わたしを安心させようとしていました。

私はそれらの人々の織りなす光景を見て、それぞれの人に心から愛しさと理解を感じていました。


そしてそういう多少騒然とした時間がしばらく流れ、わたしは「えらいことになったなー」と思いながらも、こういう状態の時って、なんでも実現するんじゃないかな、と、ふと思いついて、

「こういう時って、手からジャスミンの香りがするんじゃないかな?」
と思いました。

するとそう思い終わらないうちにもう、手からジャスミンの香りが漂いました。

それが私だけの妄想かどうか確認しようと思って、

「自分は時々手からジャスミンの花の香りがする」
と、ツアー中に私に打ち明け話的に話してきた人を呼んで、何も言わずにその人の前に手のひらを上に向けて差し出してみました。

するとその人はその香りに気がついたようで、私の手をパチンとたたいて、
「あなた、すごいじゃない!」と言いました。

あ、ほんとに香りがしてるんだ、と思い、私だけの妄想じゃないならこういう状態になるのはきっとめでたいことだろうし、私が参加したのは霊性修行ツアーだし、
朗報としてツアーの責任者に報告するべきだなという生真面目な考えが浮かびました。


そこで、ツアーの責任者と思われる人を呼んでほしいと私の周囲の人に頼みました。

すると責任者の方から、私をその人のところに連れてくるようにと言ったようで、私は何人かに脇を支えられてその人のところに連れて行かれました。


私はなんと説明していいか分からなかったので、さっきの人にしたように、また、その人の前に無言で手を差し出しました。
するとその人も、さっきの人と同じように私の手のひらをパチンとたたいて

「ああ、いい匂いだ。さあ、一人で歩きなさい」と言いました。

そして、私をそこまで連れてきた人たちに、私に触らないように、と指示を出しました。
私は一人になりたかったので、そういって人を払ってもらえてありがたかったです。


しかし突然のエネルギー全開状態によるシビレがあったので、歩けるのかな?と一瞬心配しましたが、ゆっくり歩いてみると歩けました。

一人になると少し余裕も出て、こんな状態でエゴに基づいたよからぬことを考えるとどうなるのかな?と思って試してみましたが、まるで巨大な滝の流れに細い棒を水平に差し込むかのごとく、
あっというまに押し流されてバラバラになってしまい、よからぬ考えは一瞬も姿をとどめませんでした。

実際、考えが形をとることすらできませんでした。

「わー、考えられないー。」と、喜んで、しばらくそれで遊びました。

当時、空港の建物から飛行機までは徒歩で歩いて移動する必要がありました。

私は建物から出て、ゆっくり一歩ずつ、夜の空港の広大な敷地内を飛行機に向かって一人で歩きました。

寒くはなかったのですが、なにか心もとなかったのか、自分の体を自分で抱きしめながら歩きました。
そして、生命に満ちた生ぬるい夜風を肌に感じていました。

遠くにヤシの木のシルエットが影絵のように美しく並んで見え、
黄色い暖かそうな灯りも遠くに間隔をあけて並んで見えました。

見上げると無数の星がそれぞれの位置でまたたいていました。

私は歩きながら、生ぬるい風に心臓が底から丸ごとすくいとられて、
千切れて飛ばされてしまいそうな強い圧力としめつけを感じました。

肌触り、目で見える風景、なにもかもがいちいち甘い哀しみとともに痛いほどに強く胸を打ちました。

この特殊な切ないような感覚、これはいったい何なんだろう、これは覚えておかなくてはならない、という気が強くして、しばらく立ち止まって、その感覚を全身に沁みこませて記憶させました。


あとで、あの感覚はそのとき私が風景の全てとつながっていて、全てを自分の内側に感じ、一つ一つを狂おしく愛していた感覚だったんだろうと思いました。

飛行機へ向かっているとき、このまま日本に帰っても普通の生活には戻れないし、霊媒師とかになるしかないんじゃないか?とか思っていました。
こういう、ちょっと変になっちゃった人の仕事というと霊媒師くらいしか思いつかなかったのでした。

なので、ちょっと困ったな、とも思っていました。
私が元の生活に戻れないことで起こるであろう周囲の人々の戸惑いを思うとめんどうでした。


そのように、ちょっと困りつつ、飛行機に乗り込みました。

サポートしていただけたら・・・単純に嬉しいです!💖