新年より投資を始める方へ
こんにちは。さわかみ投信の澤上龍です。
先憂後楽とは読んで字のごとく、「将来のために今頑張る」という、まさに長期投資を表すような故事成語です。
今日の楽しさばかりを追いかけていると将来に大変なことが積み上がっていきますが、将来のために今日をちょっと頑張ろうと決めて行動することが大切です。
この「澤上龍の先憂後楽」では、長期投資の思想を軸に、私が日々感じることや考えを書かせていただきます。
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はじめに
財産形成の必要性が増し、そして長い株高が続いた昨今、「資産運用を考えているのですが、何から始めればよいですか?」という質問が増えてきている。
「安心できるファンド(投資信託)を積み立てていけば大丈夫」が全ての方に対しての共通の答えではあるが、それだけでは芸がないので、筆者はあえて質問者の状況をまず伺う。
そしてその状況を大きく3つに分類し、それぞれに違った切り口から回答している。
3つの状況と回答の切り口
まず、学生や社会人1~2年目の若い世代に対して。
「自分に投資しましょう。知識やスキルの取得でも、世界を自分の目で見ることに費やしても、はたまた交友・交際なんでも。若いうちは可能性が無限大なので、お金も時間もご自分の好きに使った方がいいですよ。資産運用など無理に考えなくてもいいのでは?」と。そして、「最大の資産となる自分磨きが何より大切ですが、それでも資産運用を考えるなら、安心できるファンドを見つけて積み立てていれば大丈夫」と伝える。
次に、ある程度まとまった資産を保有する層に対して。
「投資ブームもあり一度に買いたい気持ちも分かりますが、だからこそ怖いものです。ですので、まとまったお金を例えば36分割、または60分割にし、毎月積み立てていきましょう。大切なのは資産運用のゴールを考えること。未来に何らかの夢があるのか、それとも老後の生活資金なのか。使い時(売り時)が極めて重要ですので、その時が来る数年前には徐々に売り方を考えましょう。それが10年以上先であるなら、今は気にせず安心できるファンドを~」と伝える。
最後に、働き盛りの子育て世代に対して。
この世代が資産運用の中心層だと考える。
資産運用の始め方
資産運用で最もオススメなのがファンドへの投資だ。少額から始められ、景気動向や企業選定などをプロに任せられる。
ただし、そのプロ(ファンド)が自分の価値観に合うのか、成績を出してくれるのかが分からない。
そのような中、本音でオススメするのが次の手順だ。
① まずは5万円準備する
② 気になるファンドを5つ選び、1万円ずつ買う(積み立てなくてよい)
③ 1年程度は5本のファンドと付き合い、どれが自分に合うか考える
④ 自分に合うファンドを絞り込んだら(1~2本)、
そのファンドを積み立てる
⑤ 積み立てる金額を収入の5%とか10%と決め、守り抜く
⑥ 10年以上続ける
資産運用は考えるより動いてナンボだ。
始めてしまえば様々な情報が自分事として理解できるようになる。
それが①②だ。その上で自分に合うファンドに絞り込み(③)、それを積み立てる(④)。積立額を収入に比例させる(⑤)のも重要だ。
生活水準を維持しつつ計画的に積み立てられ、かつ、いずれは自分の生活に見合った資産がつくれるから(収入の多い方は積立額が大きい分、資産も大きくなり、また生活費もそれなりに高いため、大きな資産が必要となる)。
そして最後、10年一単位で物事を考えれば、下がった相場も戻ってくるなどが期待できる(⑥)。つまり変化を待てるということ。できれば30年くらいはやってもらいたい。
以上、絶対のない世界ではあるが、おそらく十二分に上手くいくと思う。
代表取締役社長 澤上龍
【初出:2022年5月13日】