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ケガの後に気を付けたいCRPS(複合性疼痛症候群)

こんにちは!本日は澤井がピンチヒッターで執筆させていただきます。


早速ですが、CRPSはご存じですか?
「また横文字かよ…」
なんて言わないでくださいね。


CRPSは複合性疼痛症候群とも呼ばれ組織損傷後、組織が治癒した後にも引き起こされる持続する痛みです。


今回の記事では
「CRPSを始めて聞いた!」
という方にもわかりやすく
「もちろん、知ってる!」
という方にも、改めて復習になるようにお伝えしていきます。


では、スタートです!



CRPSの疫学


CRPStype1の発生率は手首と足首の骨折後に多いとされています。

脛骨遠位骨折後に31%(1)
橈骨遠位端骨折後に18.8%(2)

(1)Sarangi et al.,1993
(2)Guo et al.,2004

私としてはそんなに多いかな?という印象です。

先輩柔道整復師の方々に聞いてもCRPSへ移行させてしまうことはそんなに多くないように感じます。

ただCRPSは、依然として最も未知の慢性疼痛状態の1つです。
不確かな点が数多く解明されずにいます。


現在解明している点、CRPSへの移行を防ぐために我々柔道整復師に何ができるのか。

このような点をお伝えできればと思います。


CRPSとは?

前述したとおりCRPSは複合性疼痛症候群とも呼ばれ組織損傷後、組織が治癒した後にも引き起こされる持続する痛みです。

CRPSを理解するためには疾患というよりは、1つの病態としてとらえることが第一歩です。


骨折や捻挫、打撲などの外傷を起因とし、その後に引き起こされる慢性的な疼痛や皮膚症状、浮腫などを伴います。

ひとたびこの病態が引き起こされると、治療に難渋することが多い難治性の慢性疼痛症候群です。


1994年にIASP(国際疼痛学会)は従来RSDと呼ばれた、神経損傷がなく疼痛や自律神経症状を伴う病態をtype1とし、カウザルギーと呼ばれた神経損傷があきらかなものをtype2とし、これらを含めてCRPSという呼称を提唱しました。

※RSD(Reflex sympathetic dystrophy):反射性交感神経性ジストロフィー




上記の症状以外にも、意思決定能力の低下、気質や性格的な変化を呈することがあり、そのため、末梢神経や交感神経の機能障害以外にも、中枢神経系の変容も想定されています。




判断基準

1994年のIASPによる疼痛の分類では

1.The presence of an initiating noxious event, or a cause of immobilization.
2.Continuing pain, allodynia, or hyperalgesia with which the pain is disproportinate to an inciting event.
3.Evidence at some time of edema, changes in skin blood flow, or abnormal sudomotor activity in the region of pain.
4.This diagnosis is excluded by the existence of conditions that would otherwise account for the degree of pain and dysfunction.

訳)
1.始動的な侵害事象、または固定化の原因が存在すること。
2.痛みが継続すること、アロディニア、または痛覚過敏で、痛みが引き起こされた事象とは不釣り合いな持続痛、アロディニア、痛覚過敏があること。
3.痛みのある部位の浮腫、皮膚血流の変化、または異常な下肢運動が、ある時点で証明されたこと。
4.この診断は、他の方法で疼痛や機能障害の程度を説明できるような病態が存在することによって除外される。


これらを診断基準としました。

ですが基準が患者の訴えに依存することから、感度は高いが、特異度が低いという問題が指摘されました。
【感度:0.98 特異度:0.38】

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