医師で俳優、偏差値35からの挑戦 俳優か医師か 進路を決めた面接官の言葉 m3.com連載記事より

 皆さん、こんにちは。フリーランスの医師として訪問診療のクリニックで働きながら、駆け出しの俳優として活動しています、澤井一真です。

 この連載では、医師と俳優という2つの職業を通じて日々発見する、新しい考えや思い、人との出会い、そしてやりたいことにチャレンジする楽しさについて、お伝えしたいと思います。

 前回の「偏差値35、無期停学…こんな私が医師に」では、私が医師を志し、医学部受験を決めるまでのエピソードをご紹介しました。

 連載2回目となる今回は、医学部に進学し、「諦めきれなかった俳優業」にチャレンジするまでの過程(前編)をお伝えしたいと思います。

・子どもの頃からの夢「俳優になる」―高校1年生で芸能の世界にチャレンジ

 それはまだ私が子どもだった時――小学校で、将来の夢について書いたことをいまでも覚えています。ほとんどの方がそのような時、自分の脳に夢を描いたことがあると思います。

 m3.comをご覧になっている読者の皆さんの中にも、医師を幼いころから志していた方もいれば、本当はこんなこともしてみたかった…というような方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 私は子どもの頃、単純にTVに出ている人が燦然と輝いてみえ、俳優という職業を羨望していました。そして進路にも迷っていた高校1年生の春、芸能にチャレンジしようと決意したのです。

・500人のうちの1人に過ぎない―芸能の厳しい現実を見て…

 俳優を目指し、高校1年の時に芸能事務所に通い始めました。しかし、レッスンや仕事をする中で、芸能はかなり厳しい世界であると痛感することになります。

 というのも、自分が思い描いていた華やかな世界とは全く別物だったからです。芸能のレッスンは、発声練習や音読、教室の中での台本を使ったお芝居等、やっていることは凄く地味でした。

 また、エキストラの仕事では、生徒役を演じさせていただけることになりました。けれどそれは、500人のうちの1人に過ぎませんでした。
 それでも家から電車で2時間かかる場所に、朝8時に集合し、16時まで待機し、約30分の撮影を終えます。映像を見返しても、自分が映像に映っているかもわかりません。

 これは厳しい。

 俳優を志望する人の多さと仕事の大変さを知り、厳しい現実を突き付けられました。何も継続した経験がなかった当時の私は、秋風に揺れて散る葉の如く、芸能界の仕事を続けることを諦めたのでした。

・医学部では誰にも言えない!―俳優になることへの悩み、つきまとう葛藤

 俳優への夢を捨てきれてはいなかったものの、事務所を辞めたあとの高校生活では、芸能界に実際にチャレンジすることはありませんでした。その後、前回の記事でお伝えしたように、私は医学部に無事進学しました。

 そして医学部合格を通じて、ひとつ大きな変化がありました。

 自分と同じく偏差値30台だった妹が私の姿を見て、医学部受験を志したのです(後に医大に合格)。私の姿が、誰かの希望になることが出来たのです。

 こんな私でも、目標に向かって努力することで、または達成することで、少ない人数ではありますが、たった1人でも、その人の人生にとって大きな影響を与える存在となりました。

 これほど嬉しい出来事はこれまでの人生でなかったです。

 私は大学入学後、再度芸能の世界にチャレンジすることにしました。しかし、そのことを周囲に伝えてはいませんでした。

 医学部の人は、ほぼ9割強が医師としての将来を考えていたため、自分が本当は俳優になりたいということを、最初は周囲に相談出来なかったのです。
 こいつ何かヤバくない?と思われたり、実習の中で、1人だけ指導してもらなかったりするのではないかという不安があったからです。

 そんな風に周囲に自分のやりたいことを話すことが出来ないのは、もどかしく、歯痒い状態でした。

・悩んでいた進路「俳優か医師か」―芸能事務所から衝撃の一言

 周囲に積極的に伝えてはいませんでしたが、大学生活を送りながら空いた時間の中で、モデルのオーディションを受けたり、読者モデルを少ししてみたりと、芸能へのチャレンジを続けるようになりました。 

 しかし満足な結果は得られませんでした。そして衝撃的な事件が起きました。

 大学5年生の時に、有名な芸能事務所の入所面接を受けた時のことです。私は面接でどのようにふるまったらよいのかよく分からず、アルバイトの面接くらいの感覚で面接に向かいました。

 当時の私の感覚では、大手芸能事務所に入所するというのは、大手の受験予備校に入るようなものなんだろうと思っていました。

 その時面接の場で、厳しい言葉をつきつけられました。

 「自己PRも真面目に出来ず、今まで大した芸能活動もしてない貴方は芸能を軽視していますし、受験を乗り越えたくらいで上手くいくと思ったら大間違いです」と、指摘されたのです。

 「あなたは結局、医師と俳優、どっちでやっていくんですか??」と言われました。

 自分はそれに対して何も答えられませんでした。そして、ただ自分に落胆していました。

 その時、私はまだ医師でもなく、また芸能界を目指すという点でも中途半端で、そこを指摘されたのだと認識しました。面接の担当官に、自分のそういう部分を見透かされたのかもしれません。

 数日間考えた末、これはこれで良い経験をしたと切り替え、医師としてひと段落するまでは、芸能には挑戦しないと決めました。

・亀でもいい、まずは「医師になる」―その先にある理想の人生を見据えて

 私は不器用な人間であり、学年ビリの成績でもあったことから、まずは医学部の試験、国家試験の合格に主眼をおきました。

 良いじゃないかと。1つ1つ物事を乗り越えて、着実に1歩ずつ進めばと。私は亀だと。いつもそうだったじゃないかと。人生約80年あります。医師として働きながら、必ず、必ずもう一度、自分の描く理想の人生を送るんだと決意しました。

 次回、芸能界チャレンジ編の後編として、その後医師免許を取得し、三度芸能界にチャレンジする過程についてお伝えいたします。

最後まで長い文章を読んでいただきありがとうございました。是非次回も読んでいただけるとありがたいです。ではでは。

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