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今の瞬間を思いきり楽しむ人々

やっと来た初夏にロックダウンの緩和、さらにはサッカーのEURO2021も加わって、最近のコペンハーゲンは、嬉しそうに街を行く人々であふれている。

夏はとにかく、太陽の光が人々の行動を決める。晴れていれば、少々肌寒くてもサンダル、ショートパンツ姿でアイスを頬張る人々。住宅街を歩けばどこからともなく流れてくるBBQの匂い。気温が上がると、アパートの中庭で水着姿で日光浴をしたり、上半身裸の男性たちが街中を自転車で突っ切ってゆく。まるで太陽光で充電しているかのようだ。

夏を感じるイベントの中でも、特にこの時期よく見かけるのが、 "Studentervogn" と呼ばれるトラックだ(写真上)。勉学で大変だった高校3年間を無事終えた彼らが、高校卒業を祝うために、トラックの荷台にあふれそうになりながら街を走り回る、デンマークの伝統的なイベント。日本に置き替えると卒業式とも呼べるかもしれない。

クラスごとにトラックを1台レンタルし、クラス全員で一人ずつの家を訪問していく。各家庭では軽食や飲み物が用意され、家族が温かく迎え入れる。気候が良い時期なので、庭にテーブルを用意しているところも多い。全員の家庭を訪れるため、訪問時間はとても短い。何時間もかけてトラックで移動しながら、全員の家庭で祝ってもらう。

写真を見てわかるように、この行事にはお酒が入る。デンマークには厳密には飲酒の年齢制限はなく(何歳からどのアルコールが購入できるという法律はあるが、飲酒年齢に関する法律はない)、このイベントでも当然、お酒を飲む。各家庭でお酒をいただき、またトラックで移動するときも飲む。もちろん最後はベロベロになる子もいる。

クラクションを鳴らしながら喜びにあふれた学生を乗せてトラックは走っていく。この時期、街中を歩いていれば、2,3台のトラックがすぐ横を通過していくことも珍しくない。歓声を挙げる彼らに、人々はクラクションで応える。手を振ったり、「おめでとう!」と声をかける人もいる。彼らのドンチャン騒ぎを、人々は楽しそうに見送る。


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今この瞬間をただ楽しむ。それがここの人々たちは上手いなと思うことが多いけれど、それは誕生日の祝い方にも感じる。

祝い方は人それぞれ。自らケーキを焼いて職場に持っていく人もいれば、家族や友人を自宅に招待する人、カップルで外食する人もいる。祝い方はそれぞれ違っても、とにかくその日は誰にとっても特別な一日のようだ。大人になって久しいわたしは、自分の誕生日を盛大に祝う気持ちにはなかなかなれなけれど、家族からは毎年誕生日には「今日は特別な日だから、さわぐり/お母さんが全部好きに決めて良いよ!」と言われる。

一年に一度の大切な日。自分だけの特別な日を、どう祝うかも含めて自由に決めて、一日をただ楽しむ。それを毎年思い出させてもらえる日でもある。そしてそれはもちろんとっても楽しい。

これからの短い夏を、デンマークの人々はまためいっぱい楽しむのだろう。いつ終わりが来るかもわからない、つかの間の夏。その瞬間を、あと回しにすることなく全力で楽しむ。世界で最も幸せな人々は、小さな楽しみを逃すことなく味わい尽くす名人なのかもしれない。


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