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返ってきた「やっほー」

保育園に通っていない時期があった。

そんなある昼間、なんとなく窓から顔を出して「やっほー」と大きな声を出してみた。

少しして「やっほー」と声がした。

えっ?私もう少し大きい声で「やっほー」。

するとまた「やっほー」。

えええー?!

あらためて5階のうちの窓から顔を出して外をぐるりと見ると2個下の階の窓から顔をにょきっと出してこっちを見上げる男の子。あ、笑ってる!手を振ってる!

わぁっ!やっほー返ってきたーすごい!すごい!知らない世界の子がいる!目が会った!嬉しい!楽しい!と胸がわくわくでいっぱいになった。

それからは、突然の出会いにすっかり夢中になりお互いの家を行き来してよく遊んだ。時には昼寝をしている母親を起こさないようそっと、椅子をドアまで運んでその上に乗りドアのチェーンを外し下の男の子の家に遊びに行った事もある。その時は後でものすごく怒られた。目を覚まして子供が居なかったらそりゃそうだ。

いつから遊ばなくなったのか、男の子の家が引越してしまったのか記憶はない。同い年位の男の子だったと思うが名前も覚えていない。今思えばその子も昼間に家に居て幼稚園保育園に通っていなかったのだろうか。今でもやっほーを覚えているだろうか。

あの時やっほーと声を出したらこだまが返ってきてとてつもなく嬉しかった。世界があたたかく広がりのびのびしていた。その記憶は数十年経った今でもキラキラとしていて私の心の一部になっている。




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