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タイ・バンコクに出没する「お金見せて詐欺師」の手口を解説 【詐欺師画像あり】

日本国内で「オレオレ詐欺」の被害がなくならないように、タイでは日本人旅行者を標的とした「お金見せて詐欺」による被害が頻発している。在タイ日本大使館は再三の注意喚起を公報しているが、被害報告は後を絶たないようだ。

https://www.th.emb-japan.go.jp/itpr_ja/news_20240527.html


ここでは、私が実際に遭遇した「お金見せて詐欺」の実例をご紹介する。どうか、詐欺師のワナにかからぬようお気を付けいただきたい。


【実例】  私が遭遇した詐欺 “未遂” 事件


2024年夏、私はタイ・バンコクのサイアム駅前にあるモール、「サイアム・センター」のadidasショップにいた。店内の商品を眺めていると、突然、背後から声掛けされたのであった。

「ハロー。エクスキューズミー」


振り返ると、そこには30代とおぼしき中近東の男がいた。男は私に、会話がよりしやすいように近くに来いと手招きし、そして私にこう尋ねたのであった。


🟤中近東の男
「このモールには、フードコートはあるか?」

私🟢
「最上階にあるぞ」


もし本当に腹が減っていて食事処を探していたのであれば、何のことはないようにも思える。しかしこの後、予想どおりの展開へと話は進んだ。


🟤中近東の男
「僕はインド人だよ。君は何人? 日本人なんだね」
「ちょっと見て。これがインドのお札だよ」


中近東の男は、私が日本人であることを確認すると、自分の財布からインドのお札と称するものを私にチラ見させたのである。


なぜ唐突にインドの紙幣を見ず知らずの外国人へと見せる必要があるのか。フードコートを探していたはずだったのに、男の行動には全く脈絡がない。この時点で私は、男が「お金見せて詐欺師」であることを確信した。


➡️いよいよ詐欺が始まった


そして男は、まるでマニュアルでもあるかのように話を続けたのである。


🟤中近東の男
「君の日本のお金を見せてよ」


そら、おいでなすった。もっと冷静になって「ダマされたふり作戦」を敢行し、男をツーリストポリスに突き出せばよかったと今になって思う。だが、その時は頭に血が昇ってしまい、男を懲らしめるべくこう言ってしまったのだ。


私🟢
「金が見たいだと? テメエが詐欺師だってェことは、先刻承知してんだ!」


黒門町の伝七親分が悪党を捕縛する場面のように、私は毅然として男の悪事を暴いて見せた。すると、この詐欺師はオドオドし始め、「俺が詐欺をしたのを見たことがあるのか?」と居直った。「バレバレなんだよ、日本人を舐めんじゃねえぞ。神妙にしろ」と怒気を込めて警告したところ、詐欺師はこの場から逃げ去ろうとした。


➡️物陰には見張り役の女がいた


詐欺師が足早に逃げていくのを後ろから追いかけ、その姿を撮影しようとしたところ、どこからともなく中近東の中年女が私に近づいてきて、


🟤中近東の女
「あんた、写真撮るのか」


と相棒を守ろうとしてきた。バーロー、盗人猛々しいわと言いつつ、なんとか後ろ姿を撮影したのが下の写真である。


以前、私が別の場所で「お金見せて詐欺」に遭遇した際にも、詐欺師は男と女の二人組だった。おそらく、女は見張り役兼、スッた金を受け取って手早く隠すなどの役割分担がなされているのだと思われる。

🔼これがその時の男!


この男は店外に出ると、途端に気が大きくなったと見え、「こっちに来い。痛めつけてやる」的なジェスチャーをして、私を威嚇、挑発してきた。


➡️経験上、中近東系からの声掛けは100%詐欺師


モール内店舗での未遂事件であったため、そこら中の防犯カメラが詐欺師の姿を捉えていたはずである。そうであれば、仮に金をスリ盗ったしたとしても動かぬ証拠が残るのであるから、なんとも間抜けな奴だ。


いずれにしろ、私は深追いすることをやめ、モールの警備関係者へ被害申告をすることにした。


🔴モールの警備関係者
「この男から詐欺の被害に遭いそうになったのね。わかったわ。ガードマンと共有し、警戒することにするわね。ありがとう」


彼女は、私が撮った画像を店内警ら中のガードマン達へと直ちに配信した。犯行の時間と場所がはっきりしているため、該当のビデオを巻き戻して詐欺師の顔をプリントアウトし、WANTEDとしてバックヤードに貼り付けるなど、しかるべく対応したことだろう(…..多分)。


さて、私がこれまでタイで滞在中に中近東系から話しかけられた時のことを振り返ってみると、その100%が詐欺師からのものであった。


奴らは観光スポットを徘徊し、旅慣れていなさそうな日本人を見つけては、


「ミーには、日本に友人がいる」
「今度、トーキョーへ旅行に行く」
「Oh! あなたはとてもラッキーな人だ! 運勢を視させておくれ」


などと親近感を抱かせ、油断させた隙をついて金品をかすめ盗るのが奴らの手口である。日本であれ、タイであれ、いきなり外国人に声掛けすることは奇妙なことであるから、このような場面にぶつかった時は、直ちに警戒態勢を敷かなければならない。



お金見せて詐欺師の手口を知り、被害を回避しよう


詐欺師の犯行様式は、概ね決まっている。その典型例を改めて見てみよう。


(1) 犯人性:中近東系の男女


これまでの経験や報じられたニュースから総合すると、お金見せて詐欺のほぼ全ては、中近東系の男または男女によってなされている。今回のように、男が実行犯、女が見張役の場合もあれば、カップルとして仕掛けてくることもある。悪質なケースでは、我々をより油断させやすくするため、詐欺に子供を利用することもあるのだという。欧米系やタイ人が主犯となってお金見せて詐欺をした、という話は未だ聞かない。


(2)犯行パターン


❶突然、「トヨタ、スシロー、日本ダイスキ」「私はオーサカに行ったことがある」など、親近感を抱かせるような口実で近づいてくる。中には小道具として、日本人の友人からもらったというニセ名刺を持ち歩いている者もいる。多くの場合、日本人が多く集まる駅周辺やモールが犯行場所となる。


❷あの手この手で日本人の警戒心を解きほぐした頃合いを見て、詐欺師は所持している紙幣を我々に見せつけてくる。今回のように「インド紙幣」の場合もあれば、「米ドル」の場合もある(いずれも本物かどうかは不明)。

そして、「日本のお金を見せてくれ」というセリフが登場する。


「こちらがお金を見せたのだから、次は日本人が日本の紙幣を見せる番だ」と心理的に誘導するのが詐欺師の意図であろう。


❸この先のステップを私は実体験していない。なぜなら、その前段階で詐欺であることを認識しており、財物をポケットから取り出したことがないからである。しかし、被害に遭った人の話によれば、まるでマジシャンがするかのように紙幣が抜き盗られていたそうである。

もしかすると、被害者は詐欺師に財布ごと手渡してしまったのかもしれない。あるいは、紙幣をまとめて手渡したのかもしれない。いずれにしろ、外国で見ず知らずの外国人に財布や現金を預けることなど危険極まりないことである。


➡️被害に遭ったらどうする?


日本大使館に報告し、タイのツーリストポリスに通報しよう。

しかしながら、あなたの被害金は99%返ってこないだろう。なぜなら、毎日どこかで頻発する小さな詐欺事件に、ツーリストポリスは本腰を入れてはくれないからである(面倒くさいことに一々付き合っていられない)。


また、日本大使館も「注意喚起しますから気を付けてください」と用意されたその場しのぎのセリフを言うだけで、あなたを個別に助けることはない(面倒くさいことに一々付き合っていられない)。

結局、盗られたお金は諦めることになってしまうが、ここは一つ、自分の身は自分で守るより他ないことを痛感し、勉強代を払ったものとして納得するのが精神衛生上良いのではなかろうか。



これも実例。王宮付近での典型詐欺


最後に、これまた長年繰り返され、現在進行形でも行われている詐欺の実例をご紹介しよう。


➡️被害者は、初めてのバンコク旅行者


私がホテルで知り合ったXさんは、初めてのバンコクに一人旅で訪れたという。「これから王宮観光してきます」と1時間前に出かけて行ったXさんから、不安が入り混じった声で電話が掛かってきた。


Xさん
「あのぉ、いま王宮の前まで来たのですけどぉ、親切なトゥクトゥクの運転手に『今日の王宮は休みだ』と教えてもらいました。


しかも、観光案内を兼ねて、安くていい宝石が買えるお土産屋さんに、安い運賃で案内してくれるというのです。どうしたらいいですか?」


どうしたらいいですかも何も、そんなものは嘘八百である。非常に古典的な詐欺であり、この手口が今でも実在していたことに驚いた。しかしそれ以上に驚いたのは、Xさんが、ほぼほぼ、トゥクトゥク親父のデマカセを信じていたことである。


それは詐欺だから絶対にその話に乗ってはダメだ、と懇々と説き伏せた。Xさんは、真横で我々のやりとりを傍観していたトゥクトゥク親父へ、遠慮がちに「No」と答え、その場を離れたそうだ。


あまりに不注意というか、お人好しというか、こういった不案内な観光客が存在する以上、騙くらかすのにイージーな彼らを餌食とするタイ人も、また絶対にいなくならないのである。



あなたが被害者にならないために


残念なことに、タイにはよからぬ詐欺師が大勢潜んでいることは事実だ。あなたが被害の当事者にならないためにも、事前に「どんな詐欺被害があるのか」「詐欺のホットスポットはどこか」などの情報を収集しておくべきである。


突如として親しげに声掛けしてくる人間に関わらないようにするだけでも被害に遭う確率を大幅に下げることができる。あなたは無視することに後ろめたさを感じる必要はない。


改めて、「自分の身は自分で守る」ことを肝に銘じて、楽しいタイ旅行をお過ごしいただきたい。




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