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いじめの現実。少女漫画みたいにうまくはいかない。だけど……
いじめ。
それは漫画でも題材にされる。
いじめられている子の前にイケメンが現れて助けてくれる。
いじめに負けず踏ん張っていると、理解してくれる誰かが現れてくれる。
そんな少女漫画に私は憧れた。
だけど、現実はそんなにするりとうまくいかない。
助けてくれるイケメンが現れることもそうそうないし、理解してくれる誰かなんて現れる様子もない。
いじめは過酷だ。
漫画では描かれない残酷さがある。
それを霜降り明星のせいやさんが書いた「人生を変えたコント」を読んでそう思った。
せいやさんは、いじめを受け(読んでいるだけで胸が締め付けられるような内容だった)円形脱毛症になったそうだ。
そんなことがリアルに描かれていた。
いじめは、心をズタズタにする。
そして、それは体にも影響を及ぼす。
実際に私も経験した。
小学生なのに白髪がある。
髪が薄くなる。
髪の毛がパサパサになる。
お腹を下しやすくなる。
蕁麻疹が出る。
だけど、少女漫画ではそんなシーンは描かれない。
いじめられている少女漫画の主人公は可愛い。
いじめられているドラマのヒロインも可愛い。
いじめられている主人公が、努力して綺麗になる、そんなシーンを見て憧れたりもした。
理解してくれる誰かが現れて、庇ってくれる、守ってくれる友人ができる、そんなシーンにも憧れた。
だけど、あの頃の私にとって、漫画の中の出来事は、やはり漫画の中での出来事でしかなかった。
いじめられて、どんどん醜くなっていく自分が、少女漫画の主人公とは程遠く思えた。
うまく笑えなくなった。
お洒落の仕方も分からなかった。
「おはよう」という声も出なくなった。
どこからが友達なのか分からなかった。
どうしたら、私も漫画やドラマの主人公のようになれるだろうと、夢見てた。
だけど、現実の自分がひどくブスでダサく思ってしまう。
特に、小学生、中学生の頃の私にとっては、お腹を下して学校で便を出す自分というのが、恥ずかしくて仕方がなかった。
どうしたら、キラキラした少女漫画の主人公のようになれるのか、分からなかった。
憧れつづけたけれど、私は高校を卒業するまで、少女漫画の主人公のように恋人も友人もできなかった。
だけど、支えだった。
現実が辛い私にとって、少女漫画もドラマも小説も、心の支えだった。
いつかあんなふうに……その気持ちを持ち続けることができたのは、少女漫画があったからだ。
少女漫画の主人公は、たしかに可愛く描かれている。
けれど、彼女たちの魅力はそこじゃない。
行動、言動、それらが、彼女たちを可愛く魅せているのだと思う。
私は彼女たちのように強く生きられなかった。
せいやさんのように現実を変えてやろうという発想もパワーもなかった。
それでも、ここまで生きてきた。
それは、やっぱり少女漫画のおかげだと私は思う。
現実に救い出してくれるイケメンや隣に立ってくれる友人は、なかなか現れなくても、漫画や小説、ドラマは、誰の味方にもなってくれる。
それって、やっぱりすごいことだと思う。
私は、誰かの味方になれるような、そんな言葉を届けていきたい。
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