あなたにとっての「背泳ぎ」が何か、思い出して
なんのこっちゃ?なタイトルですが。
「びじゅチューン!」という、NHKの番組。有名絵画のパロディ曲「オフィーリア、まだまだ」について。元ネタはミレーの絵画「オフィーリア」きっと、みなさんも一度は見たことあるかと。
シェークスピアの悲劇「ハムレット」の主人公、ハムレット王子の恋人がこの美しいオフィーリア。ネタバレになるので詳しくは省きますが。オフィーリアには、受け止めきれないほどのショッキングな出来事が立て続けに起き、彼女は心を病んでしまいます。
そして、花輪を柳の木に掛けようとして川に落ち…というシーンを描いたのがこの絵画。
なんですが「びじゅチューン!」のオフィーリアはちがう。
多分途中までは同じなんですよ。でも、パロディのオフィーリアは溺れている最中に、自分の得意だったこと(背泳ぎ)を思い出して我にかえる。そして恋人から言われた、ひどいこともフラッシュバックするけど。その怒りさえパワーに変えて、どんどん背泳ぎで海まで行っちゃう。
動画を見て思ったのは、このパロディには「いまのご時世、誰でも心を病むことはあり得るよね → 病まないようにするのが理想だけど、病んじゃったらしょうがない → だけどそんな時には、自分の価値を思い出して!」というメッセージが込められてるのかなと。
というか、私にはそうとしか捉えられない。(異論は認めます)
そりゃ、もう何もかもに疲れて。枕から頭を上げるのさえしんどい時もあるでしょう。背泳ぎなんてとてもじゃないわ。鬱々とした気持ちを人に話すのもはばかられ、AIに「消えたい」と泣き言を言い「あなたが消えても世の中は良くなりません」って引き止められても、消えたくなる時もある。
自分はポンコツ過ぎて得意なことなんてなんにもない、本当にダメ人間。なんて思いながら飼い猫を抱き寄せようとするも、スルリと逃げられ、ひたすら枕を涙で濡らす。わかります。妙に描写が細かいのは、私がそうなっちゃう時があるから…
でもね、そんな時には本家のオフィーリアじゃなく、背泳ぎでたくましく泳いでいった(パロディの)オフィーリアを思い出してほしい。背泳ぎのオフィーリアでさえ、一度は病んだんだよ?
でも、彼女はまだ持ってたんだ。言葉にすると陳腐になったり、重くなったりしちゃうけど、「可能性」とか「生命力」とかを。それを引き出したのが得意な「背泳ぎ」だったってわけ。
だから、あなたにとっての「背泳ぎ」が何か思い出して。絶対、あるから。私も、思い出しておくから!