幸福論
のてのほう
さて、妻の実家に向かって電車にのることになった。私は金沢という田舎に住んでいるので、移動はほぼ車だ。人が多い場所だとすぐに気分が悪くなるため、電車、バスはもう15年ほど乗っていない。つまり殆ど初体験だ。なんなら、前に電車に乗ったときもその当時の彼女にチケットをとってもらい、「この時間にこの場所にいるように」という厳命のもとになんとか乗れたのだから、定期を使って通っていた高校時代以後、私はほぼ人の運転するものにのってこなかったことになる。
まずは駅ネットでチケットを取った。妻の実家は下呂温泉の直近なので、まずは金沢から高山までのチケットを購入する。駅ネットを使った。っ購入時にJR東海線を利用したチケットは、金沢駅で受け取ることができませんと言われたが、まあ、JR北陸の圏内のチケットをまず受け取り、それからあとは電車のなかで車掌にお願いすればなんとかなるだろうと思った。結果としては全くなんとかならなかった。
当日は仕事もあり、非常にタイトスケジュールであったために、前日に一旦金沢駅に行ってチケットを受け取っておくことにした。
しかし、駅の発券機を使っても全く発券できない。QRコードをつかっても、登録したクレカを使っても、登録番号を入れてもこのチケットは発券できませんとでるだけだ。うーむ。
チケット販売の案内は10時で閉まっていたので、改札の車掌に声をかけ、助力を請う。彼がとんでもなく親切で、なぜでないか調べてくれた。
結論としてはJR東海線に一駅で進入するチケットを駅ネットを利用して購入した場合は、そのチケットは全く受け取れないことになるらしい、だった。金沢駅でチケットを受け取れないので、電車に乗れず、電車に乗れないのでチケットを受け取れない。よって、私の支払った6670円は電子の藻屑と消えた…はずだったが、先程手伝ってくれた車掌さん(さんをつけろよ)が翌日に駅ネットに電話してチケット取り消しをしろと教えてくれて、且つ私があまりに不慣れに見えたのだろう、代わりに発券機を利用してチケットを取ってくれた。ありがとう、東さん。すごくたすかりました。翌日解約のん電話をしろと言われたが翌日の朝も蜘蛛の糸の上を歩くかのようなタイトスケジュールであったため、前日のうちにネット上で解約することにした。
そして当日、今は飛騨古川に向かっている最中だ。私が取った指定席の横に何故か不思議な女が座っており(20回くらい空液であることを確認した)、巡回の車掌に満面の笑顔で追い出されるという不思議イベントがあったくらいで概ね穏やかに妻と子どもたちのもとに私は向かっている。スポティファイの適当なプレイリストから椎名林檎の幸福論が流れ、ああ、これを初めて聞いたのは16の頃だった。あの頃は無敵で、幸福なんざどうでもよかったが、今は家族と過ごすことができる時間が最高に幸福だ、と思った、という話。
ちなみに、のてのほうってのは、何故かワードの文頭に入力されていた謎の言葉だよ。