起業メモ #50 定時株主総会を開催する
これまで、臨時株主総会は開催したことがありましたが、決算の承認などを行う定時株主総会は初めてだったので、その記録を残します。
定時株主総会とは
定時株主総会とは、事業年度終了後の一定期間内に開催する株主総会で、会社法で定められているものです。
具体的には、定款でその開催時期を定めているケースがほとんどで、当社の場合も「毎事業年度の終了後3ヶ月以内」と定めています。
定時株主総会で決議すべき内容
定時株主総会で最低限決議すべき内容は、会社法で定められています。
定時株主総会に関係する会社法の主な条文は次の通りです。
(株主総会の招集)第二百九十六条
定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。
(取締役の任期)第三百三十二条
取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
(監査役の任期)第三百三十六条
監査役の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
(会計監査人の任期)第三百三十八条
会計監査人の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
(計算書類等の定時株主総会への提出等)第四百三十八条
次の各号に掲げる株式会社においては、取締役は、当該各号に定める計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
一 第四百三十六条第一項に規定する監査役設置会社(取締役会設置会社を除く。)
第四百三十六条第一項の監査を受けた計算書類及び事業報告二 会計監査人設置会社(取締役会設置会社を除く。)
第四百三十六条第二項の監査を受けた計算書類及び事業報告三 取締役会設置会社
第四百三十六条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告四 前三号に掲げるもの以外の株式会社
第四百三十五条第二項の計算書類及び事業報告
2 前項の規定により提出され、又は提供された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない。
3 取締役は、第一項の規定により提出され、又は提供された事業報告の内容を定時株主総会に報告しなければならない。
上記の各条文から、定時株主総会では次の2つを実施する必要があることが分かります。
計算書類(決算書)の承認
定時株主総会では、決算書を提出して、その承認をうける必要があります。今回は初年度の決算書を作り終えたところだったので、そちらを提出・承認しました。
任期が終了した取締役、監査役、会計監査人の選任
取締役、監査役、会計監査人の任期終了を迎えていたら、必要に応じてそれぞれの選任決議を行う必要があります。今回は設立後1年に満たない時期での定時株主総会だったので、取締役の任期はあと1年ありました。そこで、今回の定時株主総会では議案に含まれませんでした。来年の第2回定時株主総会で選任(重任)することを忘れないようにしようと思います。
その他は普通の総会(臨時株主総会)とやり方は一緒
上述した会社法で決まっている決議を含めれば、あとは以前実施した臨時株主総会とやり方は同じです。以前のコラムに議事録の残し方などを記録しましたので、興味があればそちらをご参照ください。
また、今回は次の決議を併せて行うことにしました。
新株の発行(増資)
新任取締役の選任
役員報酬の決定
このうち、新株の発行(増資)は、普通決議(過半数の賛成)ではなく、特別決議(2/3以上の賛成)が必要でした。
また、新株の発行(増資)と新任取締役の選任に伴い、登記事項の変更も必要になります。こちらは別のコラムで変更登記について説明しようと思います。
ちなみに、特別決議が必要な決議も、会社法第三百九条(株主総会の決議)の第二項にて、次の12項目が定められています。新株の発行(増資)は、このうちの5項目目(募集株式の発行と割当て)に相当します。
第百四十条第二項及び第五項の株主総会
※第百四十条は、「株式の譲渡に係る承認手続」のうち、「株式会社又は指定買取人による買取り」第百五十六条第一項の株主総会(第百六十条第一項の特定の株主を定める場合に限る。)
※第百五十六条は、「株主との合意による取得」のうち、「株式の取得に関する事項の決定
※第百六十条は、「株主との合意による取得」のうち、「特定の株主からの取得」第百七十一条第一項及び第百七十五条第一項の株主総会
※第百七十一条は、「全部取得条項付種類株式の取得に関する決定」
※第百七十五条は、「相続人等に対する売渡しの請求」のうち、「売渡しの請求の決定」第百八十条第二項の株主総会
※第百八十条は、「株式の併合」第百九十九条第二項、第二百条第一項、第二百二条第三項第四号、第二百四条第二項及び第二百五条第二項の株主総会
※第百九十九条は、「募集株式の発行等」のうち、「募集事項の決定」
※第二百条は、「募集株式の発行等」のうち、「募集事項の決定の委任」
※第二百二条は、「募集株式の割当て」のうち、「株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合」
※第二百四条は、「募集株式の割当て」のうち、「募集株式の割当て」第二百三十八条第二項、第二百三十九条第一項、第二百四十一条第三項第四号、第二百四十三条第二項及び第二百四十四条第三項の株主総会
※第二百三十八条は、「新株予約権の発行」のうち、「募集事項の決定」
※第二百三十九条は、「新株予約権の発行」のうち、「募集事項の決定の委任」
※第二百四十一条は、「新株予約権の発行」のうち、「株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与える場合」
※第二百四十三条は、「新株予約権の割当て」のうち、「募集新株予約権の割当て」
※第二百四十四条は、「新株予約権の割当て」のうち、「募集新株予約権の申込み及び割当てに関する特則」第三百三十九条第一項の株主総会(第三百四十二条第三項から第五項までの規定により選任された取締役(監査等委員である取締役を除く。)を解任する場合又は監査等委員である取締役若しくは監査役を解任する場合に限る。)
※第三百三十九条は、「役員及び会計監査人の選任及び解任」のうち、「解任」
※第三百四十二条は、「役員及び会計監査人の選任及び解任」のうち、「累積投票による取締役の選任」第四百二十五条第一項の株主総会
※第四百二十五条は、「役員等の損害賠償責任」のうち、「責任の一部免除」第四百四十七条第一項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。)
※第四百四十七条は、「資本金の額等」のうち、「資本金の額の減少等」イ 定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること。
ロ 第四百四十七条第一項第一号の額がイの定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。
第四百五十四条第四項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第一号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。)
※第四百五十四条は、「剰余金の配当」のうち、「剰余金の配当に関する事項の決定」第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
※第六章は、「定款の変更」
※第七章は、「事業の譲渡等」
※第八章は、「解散」第五編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
※第五編は、「組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付」