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起業メモ #53 取締役増員と新株発行の変更登記をする

起業して最初の決算処理を終え、2期目に入るのに際して、新たな取締役を1名増員して、その取締役に新株発行することにしました。その際に必要だった事務手続きを記録として残します。

取締役増員と新株発行は株主総会の決議が必要

まずは、取締役を1名増やして任命することと、株式を発行することを正式に行うために、株主総会で決議を行いました。具体的な議案の概要は次のとおりです。

  1. 募集株式の発行に関する議案
    株式を何株、総額いくらで、誰を引受人として発行するかを記載しました。併せて、「株主引受契約書(総数引受)」も作成して、その内容についても議案に含めました。

  2. 取締役増員に関する議案
    1名増員することと、誰をその取締役に指名するかを記載しました。

上記の内容を決議した株主総会の議事録を作成して、正式に承認されたことを示すエビデンスとしました。
また、株主総会後に、新株発行と役員増員について、それぞれ契約書と承諾書を作りました。

株主引受契約書(総数引受)を取り交わして入金してもらう

株主総会を経て新株が発行できることになったので、引受者との間で株主引受契約書(総数引受)を取り交わします。また、発行する株式の総額と同額を会社の銀行口座に振り込んでもらいます。これで株式発行に関する社内の事務手続きは完了です。

就任承諾書を提出してもらう

指名した新しい取締役から「就任承諾書」を受領します。これで役員増員に関する社内の事務手続きは完了です。

変更登記を電子申請する

取締役の増員と新株の発行は、いずれも法人の登記事項の変更に相当します。このため、変更登記を2週間以内に行う必要があります。いずれの変更登記もオンラインで可能でしたので、登記ねっとの申請用総合ソフトを使って、変更登記の申請をしました。

募集株式発行変更登記

株式会社変更登記申請のうち、登記の事由を「募集株式発行」とした申請を出しました。今回は100万円分の株式を発行したため、登録免許税は3万円かかりました。別記として記載する「登記すべき事項」には、次の項目を記載しました。

  • 発行済株式の総数

  • 資本金の額

  • 原因年月日

また、添付書類には次の書類を提出しました。

  • 株主総会議事録

  • 株主リスト

  • 株式引受契約書(総数引受)

  • 払込みがあったことを証する書面

  • 資本金の額の計上に関する証明書

株式会社役員変更登記

株式会社変更登記申請のうち、登記の事由を「取締役の変更」とした申請を出しました。登録免許税は1万円かかりました。別記として記載する「登記すべき事項」には、次の項目を記載しました。

  • 役員の資格

  • 役員の氏名

  • 原因年月日

また、添付書類には次の書類を提出しました。

  • 定時株主総会議事録

  • 株主リスト

  • 就任承諾書

  • 印鑑証明書(就任する役員のもの)

  • 本人確認証明書

変更登記を電子申請してから承認されるまで

電子申請してから2週間ほどした後、法務局から電話が来ました。添付書類に一部不備があるから修正して提出し直して欲しい(しかも紙を郵送で!)、とのことです。

変更登記の申請ができるのは、株式引受契約書(総数引受)に記載の払込期日よりも後の日付

定時株主総会の日(①、1月4日)に承認した株式引受契約書(総数引受)では、約2週間後に払込期日(②、1月17日)を設定しました。一方、実際の払込が行われた日(③、1月6日)の後ならば申請して構わないと考えて、電子申請は2日後(④、1月8日)に行いました。
法務局からの連絡では、このケースでは②の日付の後でないと変更登記申請ができない(未来の出来事に対して申請したことになる)と言われました。具体的には、②の日付を③と同じ日に修正するのが良いだろうとアドバイスいただきました。
改めて調べてみると、「効力発生日」という概念があって、払込期日よりも前に振り込まれた資金はあくまで「預り金」という扱いで、効力発生日(=払込期日)を迎えて初めて会社資金になるようです。

添付書類は一式、紙で郵送して欲しい!

電子申請にあたり、添付書類はすべてPDFにして添付したのですが、それらを一式郵送して欲しいとも依頼されました。電子申請の場合、基本的にはその書類を発行した人が電子署名をする必要があるとのことで、例えば役所が発行した書類(印鑑証明など)は、今回の電子申請でも役所が電子署名する必要があるそうです。
現状では、変更登記の電子申請にあたって、役所の書類を役所が自ら電子署名する機能が無いので、諦めて全ての添付書類を郵送することにしました。
ここ数年で電子申請がかなり普及してきたと感じますが、法人登記の電子申請については、添付書類の種類によっては、まだ道半ばという感じです。

あとは審査が完了して登記変更されるのを待つだけ(のはず)

紆余曲折ありましたが、以上で2種類の変更登記は完了のはずです。郵送した添付書類を確認して、問題があれば再度法務局から電話を頂けるそうなので、気長に待つことにします。
今期中には、本店所在地や電子公告の方法について変更登記しようと考えているので、その際にはすべて電子申請で完結することを祈ります。

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