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起業メモ #49 法人税、消費税の申告を電子申告する

株式会社の経理事務を自力でやる上で、最大の関門だと思われる法人税、消費税の申告を電子申告でやってみました。税理士には一切頼らず、会計ソフトの申告機能を最大限活用しました。

決算時に必要な申告の種類

株式会社で決算を行うと、納めるべき法人税や消費税の金額が確定します。それらを申告書にまとめて税務署や地方自治体に提出するわけですが、その仕組みが非常に複雑で、起業時に最もやりたくない経理処理だと感じていました。
決算や税の申告は、専門家である税理士に任せる会社が多いと思います。一方、税理士に依頼すると年間で結構な費用がかかり、一人で運営する株式会社としては、収益構造にも影響が出ます。そこで、経費節約に加えて、自力でやって仕組みを理解しようと考え、税理士に頼らずに申告することに決めました。加えて、申告を効率的に行うために、全て電子申告で進める方針としました。
使っている会計ソフト(freee会計)には、連携可能な申告ソフト(freee申告)があったので、これを使って申告書類の作成と電子申告が可能でした。そこで初回の決算時から税理士には一切頼らず、freee申告の機能を使って進めました。

電子申告のためにe-TaxとeLTAXのアカウントを用意する

法人税等の電子申告先は、国税はe-Tax、地方税はeLTAXと別れているため、それぞれのアカウントを事前に作成・設定しておく必要があります。e-Taxについてはこれまでの経理事務でも必要で取得済みでしたが、eLTAXは未取得だったので、今回新たに申請して取得しました。
eLTAXアカウントは、eLTAX(地方税ポータルシステム)のサイト(https://www.eltax.lta.go.jp/)から申請できます。ブラウザ(Chrome)に署名用のプラグインをインストールして、電子証明書を用意すれば1日程度で取得できました。電子証明書については、e-Taxと同様に、商業登記の際に取得済みだった電子証明書を使うことにしました。

取得したeLTAXアカウントの情報は、e-Taxの情報と合わせて、freee申告の基本情報に登録します。これで、実際に電子申告を行った場合に、そのアカウント情報を使ってe-TaxとeLTAXに分けて電子申告ができるようになります。

法人税の申告書を作成する

freee申告の「法人税」のメニューから、各種申告書を作っていきます。見慣れない様式がたくさんありますが、freeeが提供している「法人税freee申告ハンドブック」を見ながら、各様式の手入力箇所を埋めて行きました。こちらのハンドブックは、ケース毎に5種類が用意されていますが、今回は「設立初年度赤字法人向け」のものを参考にしました。

法人税の申告書には、決算書も添付することになりますが、こちらはfreee会計で作った決算書を、freee申告側で申告用のフォーマットに変換して自動作成できました。

結局、法人税の申告書として、次の書類を作成しました。

  • 法人税

    • 国税

      • 申告書

        • 別表一青色申告 各事業年度の所得に係る申告書−内国法人の分

        • 別表二 同族会社等の判定に関する明細書

        • 別表四(簡易様式) 所得の金額の計算に関する明細書(簡易様式)

        • 別表五(一) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書

        • 別表五(二) 租税公課の納付状況等に関する明細書

        • 別表七(一) 欠損金の損金算入等に関する明細書

        • 別表十六(二) 旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書

        • 別表十六(六) 繰延資産の償却額の計算に関する明細書

      • 添付書類

        • 法人事業概況説明書

        • 適用額明細書

      • 勘定科目内訳明細

        • 預貯金等の内訳書

        • 仮払金の内訳書/貸付金及び受取利息の内訳書

        • 買掛金の内訳書

        • 仮受金の内訳書/源泉所得税預り金の内訳

        • 借入金及び支払利子の内訳書

        • 役員給与等の内訳書

        • 雑益、雑損失等の内訳書

    • 地方税

      • 道府県民税申告書

        • 第六号様式(道府県民税・事業税・地方法人特別税の中間・確定申告書)

        • 第六号様式別表九(欠損金額等及び災害損失欠損金額の控除明細書)

      • 市町村民税申告書

        • 第二十号様式(市町村民税の中間・確定申告書)

消費税の申告書を作成する

適格請求書発行事業者として登録した課税事業者は、消費税の申告書を提出する必要があります。当面は免税事業者でも良かったのですが、すぐに課税事業者になることを見越して、起業後すぐに適格請求書発行事業者(課税事業者)になっていたので、初回の決算でも消費税の申告が必須でした。

消費税額の計算は、基本的には売上(収入)に対して払うべき消費税額から、仕入れ(支出)時に支払い済みの消費税額を差し引くことで行います。これを全ての売上と仕入れで計算するのは非常の経理処理の負荷が大きいのですが、課税売上高が5,000万円以下の事業者は、消費税額の計算を簡易にできる「簡易課税」が選択できます。
当社も起業後すぐに簡易課税を選択していたので、仕入れ(支出)分の消費税額を積み上げる必要はなく、売上(収入)の50%に対する消費税額を納める申告書を作成することになりました。

消費税額の計算は、freee申告がfreee会計と連携して自動的に計算してくれました。結局、freee申告の「消費税」メニューから、次の書類を作りました。

  • 消費税

    • 消費税申告書

    • 付表4-3(税率別消費税額計算表 兼 地方消費税の課税標準となる消費税額計算表)

    • 付表5-3(控除対象仕入税額の計算表)

法定調書を作成する

法人税、消費税の申告の他に、法定調書と呼ばれる書類の提出も必要です。法定調書は63種類もあるそうで、どの書類を提出する必要があるかから確認して書類作成を進めました。

結局、freee申告の「法定調書」メニューから、次の法定調書を作成しました。

  • 法定調書

    • 税務署に提出が必要な書類

      • 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

      • 給与所得の源泉徴収票

      • 所得税徴収高計算書

    • 市区町村に提出が必要な書類

      • 給与支払報告書(個人別明細書)

      • 給与支払い報告書(総括表)

    • 保管して求められたら提出する書類

      • 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告

      • 給与所得者の配偶者控除等申告書

      • 給与所得者の保険料控除申告書

作成した申告書類を電子申告する

freee申告には、作成した書類をe-Tax及びeLTAXに電子申告する機能がついているため、ぞれぞれのアカウントのIDとパスワードを入力すれば、電子申告がfreee申告だけで完結できました。
送信前のチェックを実施後、電子申告を実行すると、Windows上のfreee電子申告アプリが起動して、電子証明書の指定とそのパスワードの入力が求められます。その結果、電子署名された申告書がe-Tax及びeLTAXに送信され、電子申告が完了します。
以上で、法人税等の申告は完了です、1期目で初めての決算と申告だったので、試行錯誤しながら1.5日くらい(実質8時間程度)かかりましたが、おおよその仕組みとやり方は理解できたので、2期目以降はもう少し手早く決算と申告ができるような気がします。

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