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起業メモ #35 全省庁統一資格を申請する

国や自治体の案件は、ほとんどが入札で行われます。その入札に参加するためには、「全省庁統一資格」を取得しておく必要があります。今後、入札に参加する可能性もあるため、今回早めに申請してみました。

全省庁統一資格とは

国等が事業で公募を行う際、誰でもその入札に参加できるわけではなく、入札参加要件が設けられます。要件には事業内容に関するものなども書かれますが、組織として事前に審査に合格して入札参加資格を有していることも求められます。公募自体は省庁毎に実施されますが、入札参加資格を参加したい省庁毎に申請・審査するのは非効率です。そこで、「全省庁」で統一した入札参加資格を審査・付与する仕組みが「全省庁統一資格」です。

なお、公募というと道路や建物などの建設分野がイメージしやすいですが、この全省庁統一資格が活用できる分野は「物品の製造・販売等」に限られます。建設分野の「建設工事」「測量・建設コンサルタント等」の入札資格は別途申請が必要です。
「物品の製造・販売等」には次の4つが含まれます。調査・研究などの案件は「役務の提供等」に相当します。

  • 物品の製造

  • 物品の販売

  • 役務の提供等

  • 物品の買受け

全省庁統一資格の等級とは

全省庁統一資格にはA/B/C/Dの4段階の「等級」があります。大手事業者などで財務基盤がしっかりした組織であればA等級が得られ、公募の予定価格が高額な案件に入札可能となります。
等級は計算式があり、自社の点数を計算することで自動的に決まります。点数は100点満点で、「役務の提供等」の場合は「年間平均販売高」「自己資本額」「流動比率」「営業年数」の4項目で計算します。
今回申請するにあたって、自社の点数を計算すると次のとおりで、合計は31点した。55点未満は「D等級」なので、申請が無事通った場合、予定価格が「300万円未満」の入札に参加できるようになります。

  • 年間平均販売高:「2500万円未満」なので、15点。

  • 自己資本額:「1000万円未満100万円以上」なので、6点。

  • 流動比率:「100%未満」なので、4点。

  • 営業年数:「10年未満」なので、6点。

計算式の詳細は、「競争参加者の資格に関する公示」の別記4と別記5に記載されています。

新規設立法人でも申請可能!

全省庁統一資格の申請には、次の3点の添付書類が必要です。

  • 登記事項証明書【写】

  • 納税証明書(その3の3)【写】

  • 財務諸表(1年分)【写】

新規設立法人で決算を迎えていないため、財務諸表が提出できないのでどうしようかと考えていましたが。杞憂でした。申請書記入要領の「9.6 新規設立法人等の資格申請について」に、財務諸表無しで申請する際の書き方が載っていました。
登記事項証明書は、以前入手したものが手元にあるので、そのコピーを使いました。
納税証明書は、新規設立法人でも入手可能と書かれていたので、e-Taxで今回入手しました。なお、納税証明書は電子ファイルで取得できる「電子納税証明書」があったので、そちらを申請したところ、申請から数時間で入手できました。

全省庁統一資格をネットから申請する

全省庁統一資格は、インターネットからも申請可能です。申請には「調達ポータル」を使います。新規申請の場合は、まだログインに必要なアカウントがなく、電子証明書も登録できていないので、「ログインせずに申請」を選んで申請します。
申請マニュアルを見ながら、会社の情報や競争参加を希望する地域、希望する資格、自己資本額などを入力して、納税証明書と登記事項証明書のファイルを添付すれば、申請は完了です。インターネットから申請した場合、審査は1週間くらいかかり、完了したら「資格審査結果通知書」が送られてくるようです。

(2024年7月25日追記)

申請の2日後に、受付担当の方からメールをいただきました。申請の種類のうち「翻訳・通訳・速記」については、登記の範囲から外れていて申請しても承認されないため、削除しても問題無いか、との問合せでした。翻訳はできそうだと思って申請したところですが、確かに登記の事業目的には書いていなかったので、削除で差し支えない旨返信しました。審査はまだ続くとのことなので、追加の指摘がないことを祈ります。

(2024年8月5日追記)

申請から2週間ほどで、資格審査完了通知のメールが届きました。資格審査結果通知書は1週間程度で郵送されてくるようです。

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