起業メモ #37 パソコンと資産登録と減価償却
自宅を本社所在地としてコンサル業を起業したので、当面お金がかかりそうなものは、パソコンや各種サーバ環境、資料・文具などくらいです。サーバはほぼクラウドのサブスクリプションで使えるので、大物の買い物はパソコン程度でした。今回はパソコンの購入と資産登録・減価償却についてメモを残します。
起業すると使いたいパソコンが自由に選べる
起業するメリットはいろいろありますが、個人的には「使いたいパソコンやクラウドを自由に選べる」ことの比重が結構大きかったです。前職でも10年くらい前までは仕事で使うパソコンを選べる自由度がありましたが、最近ではセキュリティに加えてヘルプデスクのコスト削減も相まって、一斉調達した1機種が支給されるので、選びようがありませんでした。中庸程度のスペックのパソコンが支給されて、常にメモリ不足・SSD不足・CPUパワー不足に悩まされていました。手元で仮想マシン(Linux)を使いたくても、スペックが足りずに断念していました。
また、日本語キーボードがどうしても好きになれず、Unixワークステーションを使っている頃から英語キーボードを使ってきました。パソコンが自由に選べると、英語キーボードのものを気にせず買うことができるので、非常にストレスが少なくなりました。
欲しいパソコンを買うともれなく固定資産に
サイバーセキュリティ関連の仕事をやっているので、技術的な検証をしないと仕事が進まないケースがよくあります。最近はクラウド環境でできることや、ラズパイなどを複数台買って試せることも増えましたが、日頃使っているパソコン上に仮想マシンがあると、隙間時間でも手軽に検証ができて効率的です。そうした仮想マシンがまともに使えるパソコンを買おうと思うと、どうしてもCPUやメモリ、ストレージが潤沢に必要になり、合わせて値段も高くなります。
今回、私が購入したパソコンは40万円超えになりました。こうなると法人でも個人事業主でも、資産管理と減価償却が必要です。基本的には10万円未満か否かが閾値になりますが、条件によっては20万円未満、30万円未満の閾値もあります。パソコンの経費処理の考え方は次の通りです。
10万円未満であれば、「消耗品」として全額経費計上する。
10万円以上20万円未満の場合、「一括償却資産」として3年間で均等償却する。償却資産税もかからない。
20万円以上の場合、「工具機器備品」に仕訳して、資産登録の上、減価償却が必要。パソコンの耐用年数は4年なので、4年間にわたって減価償却する。
ただし、中小企業の場合、30万円未満であれば「少額減価償却資産」として取得年度に全額償却できる。届出が必要。
パソコンの場合、購入以外にもレンタルやリースという方法があります。いずれの場合でも自分が欲しいパソコンをカスタマイズして調達可能ですが、支払う総額が購入よりも高くなることと、パソコンの所有権の問題(レンタルの場合、故障時にデータが消せなくてもレンタル会社に引き取られてしまう)もあります。職業柄、パソコンは何台あっても困らないので、迷わず購入して減価償却をする道を選びました。
会計ソフトに登録して、後は決算時に考える
私が使っている会計ソフト(freee)でも、上記の経費処理のやり方は詳しく解説してくれているので、その通りに経費処理と資産登録をしました。
経費処理については、勘定科目を「工具機器備品」として支出として登録します。続いて、「固定資産台帳」にこの工具機器備品を登録します。
償却期間は、耐用年数と同じ4年間とします。
償却方法は「定率法」を選択します。
償却方法には「定額法」と「定率法」があり、パソコンのような有形資産の場合は、法人は「定率法」、個人事業主は「定額法」と定められています。法人でも税務署に申請することで「定額法」も選べるようですが、特に差し障りが無いので法定通りの「定率法」とします。償却率は耐用年数によって決められているので、4年間の場合の0.500(50%)とします。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf
以上で資産登録と減価償却の対応は完了のはずです。後は決算資料にどのように反映されるか,最初の会計期の〆を迎える際に確認していこうと思います。