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「犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギー」について説明します。


犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーとは

犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーはどちらもアレルギー性皮膚疾患で、痒みや皮膚炎などの症状を示します。
犬アトピー性皮膚炎は環境中の物質、食物アレルギーは食物中のタンパク質がアレルギーの原因となります。
犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは類似した点が非常に多いですが、治療法は大きく異なるので、どちらの病気かしっかり区別することが非常に重要です。

似ている点

犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは類似している点が多く、以下のような点が挙げられます。

異なる点

犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの異なる点として、以下のような点が挙げられます。


アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの見分け方

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを見分ける前に寄生虫、細菌、真菌など感染症を除外する必要があります。
感染症の除外には、皮膚の検査(細胞診、毛検査、掻爬検査)、試験的治療などが有用です。

当院では、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを見分けるために除去食試験を行なっています。
除去食試験とは、食物アレルギーを起こしづらいフードによって皮膚症状の改善がみられるかを確認する検査です。

具体的には、食物アレルゲンを含まない専用のフードと水のみを最低6週間与え続けて
①皮膚症状が改善しないアトピー性皮膚炎の可能性が高い
②皮膚症状が改善する食物アレルギーの可能性が高い

という判断をします。


除去食試験と血液検査どっちが重要?

アレルゲン(原因物質)の特定には血液検査が有用

除去食試験ではアレルゲンを特定できません
人と同様に動物にも血液によるアレルギー検査が存在し、
アトピー性皮膚炎のアレルゲン特定には血液検査、食物アレルギーのアレルゲン特定には血液検査、食物負荷試験が有用です。

アレルゲンの特定よりも治療法の決定を優先

アトピー性皮膚炎のアレルゲンは環境中に存在するため、特定しても除去が難しいことが多いです。
犬の食物アレルギーは人の食物アレルギーより病気の成り立ちが複雑で、血液検査によるアレルゲンの特定が難しいケースがあります。
アトピー性皮膚炎と食物アレルギーでは治療法が大きく異なるので、当院ではアレルゲン特定よりも治療法の決定を優先し、まず除去食試験を行なっています。


アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの治療法

どちらもアレルゲン(原因物質)の除去が基本

アトピー性皮膚炎、食物アレルギーどちらにおいても治療の基本はアレルゲンの除去ですが、アトピー性皮膚炎の原因はハウスダストなどの環境中に存在する物質であるため、アレルゲンの除去が難しいケースが多いです。

アトピー性皮膚炎は主に内服薬

アトピー性皮膚炎はアレルゲンの除去が困難なケースが多いため、主に内服薬による治療を行います。
治療にはステイロイド性抗炎症薬、免疫抑制薬、オクラシチニブなどを使用します。
当院では副作用長期投与のリスクの少ないオクラシチニブをよく使用しています。

食物アレルギーは主に食事療法

食物アレルギーはアレルゲンを含まないフードを与えることにより治療を行います。
治療には加水分解食、新奇タンパク食などを使用します。

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