77歳 #04 骨髄異形成症候群の治療
免疫抑制薬の副作用
免疫抑制薬のシクロスポリン(ネオーラル)75mgカプセル、これが異様にデカくて独特の臭いがあって飲みづらい。
看護師にそれとなく言うと、
「飲みにくいっていう患者さんは多いです。
製薬会社は儲からない薬は改良しないんでしょうね」
薬を飲むのは得意な母が、これだけは飲むのを渋っていて、飲んだら飲んだで、何時間も「吐きそう」と苦しんでいた。
「もうトイレの前で寝る」とか言い出すので、私はその度に、トイレの前の床に長い座布団を敷いて寝かせて「落ち着いたらベッドに行こ?」と連れ戻す。
トイレ前は冷暖房がないから、冬は寒いし夏は暑い。
薬剤師や医師は「吐き気が出ると言う話はきいたことない」と言っていた。
今は「副作用がない薬は、ありません」ということで、副作用の説明をしないのが基本みたいだ。こちらからつっこんで聞かない限り。
薬の説明書に「何かあったらご相談ください」と書いてあるだけ。
相談しても、結局飲むかどうかは本人次第。
1ヶ月くらい飲んでも吐き気はきつかった。
薬の効果が少しずつ出て来たのか、網状赤血球値が増えていたので、投薬は継続するが、途中でカプセルを小さい物(75mg→50mg)に減らしてもらった。
ここで薬を減らさず、量を増やせていたら、もっと赤血球が増えたかもしれないのになあと思った。
しかし、飲んで吐いて、体力と免疫が落ちるほうが体に悪影響なので、これも仕方なし。
「刺身、生卵、家庭で漬けた漬物、カビを含むチーズは注意してくださいね」と言われた。
「ちょっとならいいんじゃね」みたいなグレーな判断はなく、○か×しかない真面目な母は、絶対に食べなかった。
移植患者じゃないからそこまで神経質にならなくても良いとは言われたけど。
胃の不調
シクロスポリンの副作用のせいでもあるが、薬を飲まなければ!というストレスで胃をやられている気もしてきた。
過去にお腹の手術をしているので、そこが癒着している。
その結果、便秘から吐き気が出やすい体質であった。
胃カメラをしたら「食道裂孔ヘルニア」と言われ、食べたものが上がって来やすい状態になっていて、これにより逆流性食道炎の症状も出ていた。
日によって、普通に食べれる時と、ほとんど食べれない時がある。
状態を見て、どんな食事をすすめるべきか、試行錯誤しながらご飯を作った。
正解は毎日わからない。
「高齢者なのにご飯を食べ過ぎるんです」というご家庭を見ると「う、うらやましい...」という気持ちになった。
食べ物を美味しく食べれるなんて幸せじゃないですか。
要介護者の肥満によって、介護士は腰を痛めてしまうという話もあるので、隣の芝は青いとはよく言ったものだ。
1日3度(2度の日もある)の食事のたびに、気が休まらなかった。