第34回開示請求 新大阪駅での検温施策の経緯、そしてその結果
3月22日からJR新大阪駅で、東京方面からの乗客（だけ）を対象に検温が行なわれていたこと、皆さん覚えていらっしゃいますか？
これに関する文書を請求し、文書を開示いただきました。
3月15日知事レク資料／概要
3月16日 JR東海との打合せ資料／結果
3月17日知事レク資料／概要
3月19日囲み会見フリップ
費用関連資料
（施策を発表した3月19日の囲み会見の書き起こしもいただきましたが、公開は省略）
なお、列挙した請求内容に下記（簡略記載）も入れていましたが、これらに関する文書は出てきませんでした。
・発熱者に対しては呼びかけるのみで、その場で検査しない理由が分かる文書
・発熱者に対して健康観察や保健所・医療機関等への相談を呼び掛けているところ、保健所や医療機関とやりとりした内容の分かる文書
当時の報道向け発表資料でも「府における新型コロナウイルス感染症のリバウンドや第４波を防ぐため」との記載はありましたが、第4波がまさに起きている今、文書でこれを改めて見ると、何とも言えない気持ちになります。
私が、この文書を入手した4月8日、偶然にも、吉村知事の囲み取材でこの施策についてのやりとりがありました（要約記載）。
記者：3月下旬から、新大阪駅で、東京方面からくる方に対して、検温を実施していた。成果や報告は？
吉村知事：数日前の報告では、8名の発熱者を確認した、と。そして8名の方について、注意喚起のチラシを渡すことができたと聞いている。
記者：そこから先、たとえばコロナの感染を証明できた、とかは？注意喚起の紙を渡して終わってる？
吉村知事：そう。元々のスキームがその人をずっと追いかけるものではない。個人情報を確認してやる仕組みではない。「ここで診療や保健所の相談をお願いします」という注意喚起をしたところまで。その先、その人がどうなったかまでは見ていない。
記者：この施策は、首都圏の緊急事態宣言が解除されたタイミングで開始し、次の大阪での感染拡大を防ぐ目的だった。
今かなり関西圏で変異株が猛威をふるっていて、逆に大阪から他の地域に流れていく人たちがウイルスを蔓延させることが懸念されると思う。外に出ていく人たちに対する実施は考えていない？
吉村知事：今は府民の皆さんに不要不急の外出自粛の要請のお願いをしている。府外への不要不急の移動の自粛も呼び掛けているので、そちらのほうに注力する。
記者：仕事で府外に出る方は、不要不急の外出自粛の要請が出ている中でもいらっしゃるだろうし、東京でまん防が適用されることになると、東京でいろんな要請がかかると思う。たとえば、東京で不要不急の外出自粛が解かれた後はまた検温を？
吉村知事：基本的に、2月ぐらいから言っていたが、3月中旬・下旬・4月上旬は感染リスクが非常に高いんじゃないか。大きな波が起こるんじゃないか。それは他人の動きが大きく動くから、という話をしてきた。それを受けての策の一つとしてあったもの。
年度替わりの人の移動はこれから減ってくると思うので、検温については一定の役割を終えた。そのメンバーは危機管理に戻して、いまいろんな大阪府の対策をいろいろ打っているので、そこに人員を充てていく。
とてもかみ砕いて言うと、こういうことを話していますよね？
「不要不急の移動や、府外への移動の自粛を呼び掛けているから、大阪から出ていく人の検温は不要」
「3月下旬～4月上旬は人が動く時期なので、それを受けての策だった。もう年度替わりの人の動きはなくなるから、検温の一定の役割終わり」
目眩がしました。
以下は、あくまでも私個人の考えですが。
移動自粛呼びかけていれば、検温は不要？
「呼びかけ」に比べたら、まだ検温の方が意味があるように感じます。
そして「終わった」とされている一定の役割というのは、何？
そもそも何か始まっていたんでしょうか？
これまで8名の発熱者が見つかっているのに、やったことが注意喚起だけなら、291万円かけている費用対効果があまり良くないような？
（そもそも、出張や遊びに出かけている時にこういう注意喚起をされて、「よし、保健所に連絡しよう」となります？）
せめて、発熱者に検査キットを配布するぐらいはしたほうが良いですよね。
私は、府民の一人として、体温が高かった方を検査するのに税金を使っても、別に怒らないです。
もしくは、リバウンドを防ぐために費用をかけて何かをするのであれば、新幹線で移動をする人に対して検査キットを配布するのでも、啓発になったのでは？
文書を開示いただいても、いまいち意義やねらいがよく理解できず、そして府として目的が達成されたのかもよく分からない施策でした。
最後になりますが。
吉村知事は、移動の自粛を呼びかければ、大阪から出る人の検温はしないと言っていましたが、他府県の方からすると「お願いだから、検温して！発熱者を外に出さないで！」と思われているのではないかと考えます。