第12回開示請求 市長Twitter発信の是非
松井市長のTwitterアカウントから、特別区設置の住民投票の告示日以降も、賛成を呼び掛ける投稿がなされていました。
選挙期間中(今回は選挙ではないですが)のインターネット上での運動が、現在は可能であることは承知しています。
しかしながら、私は政治家・松井一郎としての発信であっても、アカウント名に(大阪市長)と併記されていることにより、『行政長である市長が賛成を呼び掛けている=市が賛成を推奨している』と受け手に誤解を与えるのではないか と疑問を抱きましたので、公開請求をしていました。
また、賛成を呼び掛ける投稿には「スタッフより」の添え書きがありました。
これは市長本人またはスタッフが、このアカウントから賛成を呼び掛けることに何らかの懸念点を抱いているからではないか、との思いもありました。
結論としては、該当する公文書無しなのですが、各部局に考え方などを教えていただきましたので、その結果をここで共有します。
①選挙管理委員会
選管が妥当性や適切性をそもそも検討したことがないし、選管が判断するものではない。
公務員の選挙・政治への中立性については、「職員の政治的行為の制限に関する条例」と「政治的中立性を確保するための組織的活動の制限に関する条例」があるが、管轄は選管ではない(後述)。
市長側から、選挙期間中にできる投稿内容について問われれば回答をするだろうが、聞かれていない。選管からも伝えていない。
基本的に、住民投票も選挙も、関係者や候補者がどういう内容を発信しているか、正しいことを言っているかどうか、選管はノータッチ。
選挙運動は、候補者等がそれぞれの判断で、自分の主張を発信するもの。
一般論として、「●●候補がこのような数値を言っていますが、本当ですか?」のような具体的な問い合わせがあれば、行政側で関連部門が回答することはある。
②人事室
「職員の政治的行為の制限に関する条例」が大阪市にはあるが、これで政治的中立が求められている対象は一般職員であり、市長等の特別職はこの条例の対象外。
この条例はこれは地方公務員法に紐づいているもの。法がそもそも特別職を対象にしていない。
③政策企画室 秘書担当
松井一郎名義のTwitterは市で管理しているものではなく、投稿内容について問題があるかないかについて、判断できない。
「政治的中立性を確保するための組織的活動の制限に関する条例(※)」は、基本的には市長選挙の時が対象(この条例が、住民投票は対象外であることは、選管に確認済)。
行政の長たる松井一郎が職員に対して特定の政党を応援を指示したり、行政長の立場で特定の政党を応援する演説をしてはダメだと定めているもの。
政治家・松井一郎の行動まで、制限するものではない。
市長は地方公務員法上の特別職である以上、政治家としての発言、行動についてまで行政がタッチできない。
(※この条例は、②で人事室が挙げたものとは異なるものです。詳しくはこちら)
Twitterは完全に個人の責任において管理しているもので、行政は何も関与していない。
Twitterへの意見は前からいただいているが、毎回「個人で作られている以上、大阪市としてのコメントはできない」と回答している。
市民からいただいている声は上司には報告はしているが、市長の耳にまで入っているかは分からない。
アカウント名に(大阪市長)と書かれていることについても、彼が大阪市長であることは事実であるから、コメントできない。
(大阪市長)と書いていることで、市が推奨するかのような誤解を与えるという意見は常にいただいているが、本人が市長になる前から使っているアカウントであるため、アカウントを市で管理することまではできない。
Twitterの中身は行政の指示でも決定事項でもなく、あくまで本人が呟いているだけ、という認識。
私見
つまり、各部局の趣旨としては、個人として・政治家としての発信内容に対して行政として関与することはできない、ということでした。
法や条例をふまえ、各部局がそのようにとらえてらっしゃることは理解できました。
また、発信内容について選管や行政が踏み込めないことは、選挙活動の自由を保障するうえでとても重要なことだとも考えています(今回は選挙ではないですが)。
しかしながら、今の「嘘だろうがハッタリだろうが、言ったもの勝ち」ともとれる流れを見ていると、どうしても腑に落ちません。
何より、(本人が市長であることは事実だとはいえ)公職の市長の肩書を添えて「政治家・松井一郎」の主張を発信することに対して、納得がいかないところがあります。
その肩書があることによって、発信情報に確からしさを感じてしまう受け手もいるのではないでしょうか。
本人はどうとらえているのか
ところで、松井市長自身は市長/政治家、どちらの立場でTwitterの発信をするものだと、とらえているのでしょうか?
それが分かるやりとりが、10月22日の定例記者会見内の質疑応答でありました(参照先はこちら、一部改変)。
記者:Twitterで、賛成への呼び掛けがあった。アカウントには(大阪市長)とあるが、維新の代表とも書かれている。賛成への呼びかけは、市長、代表どちらの立場での発信だったのか?
松井市長:ほんなら、世の中の市長で、政治的な発言と、公的な発言を分けてるの、いてる? いや、僕は今、市長で、政党の代表なんだから、松井一郎としての要はつぶやきですよ。
記者:(スタッフ)とあったが、スタッフが投稿したものだったのか?
松井市長:だからスタッフって書いてるときは、僕じゃない。
本人は、政治的な発言と公的な発言を分けずに発信しているんですね!
以上です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?