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なぜ三条市ふるさと納税は1年半で7億→50億円を突破できたのか

こんにちは!三条市CMO(チーフマーケティングオフィサー)の澤です。2021年10月1日より新潟県に移住し、三条市CMOに就任、三条市役所で働く公務員です。ふるさと納税や情報発信など、三条市のブランド価値を全国に広めることをミッションに働いています。

三条市のふるさと納税は3月末にて年度を締め、令和2年度7億円→令和3年度15億円→令和4年度50億円とおかげさまで大きく躍進することができました。なぜ三条市ふるさと納税はここまで成長することができたのか、その秘訣を大公開しようと思います!

そもそも三条市がすごかったから

元も子もない話をしてしまって申し訳ないのですが、そもそも三条のものづくりや特産品の競争力が高かったからです。燕三条の一翼を担う三条市ですが、隣の燕市は令和2年度で49億円を達成しており、私も着任する前からそのポテンシャルの高さ、伸びしろの大きさは感じていました。

実際に三条に赴任してからも、三条のものづくりについてはクオリティの高さだけでなく、開発ストーリーや作り手のストーリーも含めて、ネタの宝庫であることを思い知らされました。また、ものづくりだけでなく、果物や米もとてつもなく美味しく、農家さんたちの日々の努力に感動しっぱなしでした。その感動を返礼品ページに載せるというチームの努力はあったものの、ネタがなければPRもできないので、そもそものプロダクトが強い、というのは寄付額を伸ばすうえで、必要不可欠でした。

地方に行くと、「うちには何もないですから」、ということをよく聞きますが、そういえば三条ではあまり聞かなかったように思います。それだけ作り手もプロダクトや三条というまちにプライドを持っているのだと思います。


ふるさと納税のミッションとビジョンを共有し、事業者の皆さんに共感いただけたから

面接をしていたときからミッションやビジョンの重要性を訴えてきました。なぜなら、寄付者はもちろんのこと、三条の事業者の皆様、市役所の同僚たちも巻き込んで、協力してもらわなければいけなかったからです。本気になってもらうために、何のためにやるのか、ふるさと納税を通して何を目指していくのかを明確にして、共感してもらう必要がありました。おかげさまで、三条の事業者の皆さんには自分ゴトとして捉えてもらい、主体的に、そして、まちを挙げてふるさと納税に取り組めたのではないかと思っています。

また、単なる金稼ぎではなく、全国に三条の魅力を伝えること、税収を稼いで三条に還元すること、職員や事業者の皆さんのレベルアップを目指していくことが目的であるということに、市長以下、職員も常に立ち返ることが必要だと考えていました。ふるさと納税の理念を無視して、金稼ぎに走る自治体が多くなってきたと感じていましたし、そういった自治体は目的が金稼ぎになっているから、もしくは、何も立ち返るところがないから中長期的な地域の価値をおとしめてまでこの事業に躍起になっているのではないかと考えています。

逆説的ですが、三条市では単なる金儲けを目的にしないことで、多くのステークホルダーに応援してもらい、結果として寄付額が伸びた、と捉えています。

市役所直営体制

昨年の4月から市役所直営体制として、運用を行ってきました。これも、「自治体が国民に取組をアピールする」というふるさと納税の理念に沿った運用をするべきだと考えたからです。全国の多くの自治体は中間事業者という民間企業に運用を委託をしており、それ自体は悪いことではないのですが、いわゆる丸投げになってしまっているところもあります。それでは自治体としてのアピールする力は養われないだろうと考えます。

また、前述したミッションやビジョンも市役所から直接メッセージを発信したほうが伝わりやすい、ということもありましたし、せっかく三条市に来たのだから職員の皆さんに文化の違う私の考え方なども知っていただきたい(取り入れるかどうかは別として)と思っていました。

昨年3月から運用フローを構築しましたが、社会人になってから一番頭を使いましたし、一番働きました。三条市では幸運なことに大変協力的に引継ぎをしてもらい、運送会社さん、システム屋さんなど、優秀なパートナーに恵まれ、超急ピッチで体制を構築することができました。どのピースが欠けてもうまくいかなかったと思っています。

チームビルディング

直営体制にしたものの、私も含めて全員がやったことのないことをやるので、強いチームになる必要がありました。ここでもやはり、ミッションやビジョンを言い続け、チームのカルチャーをみんなで創り上げてきました。急造のチームでしたが、三条市のふるさと納税チームは自分ゴトとしてハードワークをしてきました。

就任当初のチームメンバーの表情は今でも覚えており、おそらく外資系に買収されて社長を送り込まれると社員はこういう顔をするんだろうな、という感じで不安な顔をしていました。その中で、私が気を付けてきたことがあります。なぜその仕事をするのか、もしくは、その仕事は無駄なのか、についてコンテキスト(背景とか文脈)と理由を必ず言う、もしくは、聞くようにしました。

それは、ある意味でお互いに異文化(私はあんまり思っていなかったのですが、職員は思っていたのではないかと!笑)であり、多様性の中では前提条件を共有したうえで、ロジカルであることがよりどころになるから、ということを身をもってわかっていたからです。カルチャーの違いも「なぜそうなのか?」という理由がしっかりしていれば分かり合えるとインターナショナルなプロジェクトを進める中で思い知らされてきました。それは今後多様性が大事になる日本にも共通して言えることだと思っています。

結果として、自ら頭を使ってゼロベースで考える強力なチームになれたと自負しています。新年度は半分が異動で、また新しいメンバーが入りましたが、また一回りパワーアップしたチームをみんなで創っていきたいです。

テクニック

ここは企業秘密なので具体的には公開しませんが、諸々のテクニックを駆使してきました。ただ、それはビジネスでは普通のテクニックですし、トライ&エラーを積み重ねながら構築してきたテクニックになります。

最近では「PDCA」も古くなってきたようですが、私もどちらかというと細かい計画までは立てずにとりあえずやってみる派です。ただ、仮説を持ってやってみて、検証をすることはやってきました。やはり変化の速い時代、かつ、短期間で結果を出す必要はありましたので、そのサイクルを回すスピードはなかなか高速だったかと思います。

また、テクニックに溺れず、プライオリティは何なのかをチーム全体で意識しながら、運用ができたことも大きかったかと思います。

寄付額や目標に囚われなかったから

前述もしましたが、金額に囚われなかったことが、結果として寄付額が大きく伸びた要因になったかと思います。ビッグピクチャーを見て、目の前に広がるやるべきことをチーム全員で一生懸命やることに集中しました。令和4年度の目標値は25億円でしたので、目標に囚われていたら25億円に到達して、それで終わっていたと思います。そうではなく、ビジョンに近づき、ミッションを遂行するために働くことで、大きな成果になったと考えています。

外部環境も日々変わっていく中で目標値を計画して持つことのナンセンスさを営業時代からずっと感じていました。目標値を一生懸命計算したところで生産性はあまりなく(もちろん株主がいて、説明責任などある場合は別ですし、走っている中で都度予測することには意味があると考えますが)、その根拠はだいたい怪しいと思っています。皮算用したり、目標値に不安がったり、安堵する時間があるのなら、自分たちでコントロールができる意味のあること、生産性のあることをプロとして全力でやり切る姿勢を持つほうが有意義だと考えています。


三条市のふるさと納税はまた新年度を迎え、次のフェーズに入っていきます。まだまだ足りないところもあり、改善の余地があったり、もう一つ上の意識を持って令和5年度はこの事業に取り組んでいきたいと考えています。引き続き、全力疾走でいきたいと思いますので、皆様の応援をどうぞよろしくお願いいたします。

最後に、記事を見てくださった全国の皆さん、こんな三条のふるさと納税っていいなー、と思ったら、ふるさと納税は三条市でお願いいたします!

楽天ふるさと納税(三条市返礼品ページ)

ふるさとチョイス(三条市返礼品ページ)

ふるなび(三条市返礼品ページ)

さとふる(三条市返礼品ページ)

※三条市民の皆様は三条市に寄付しても返礼品はもらえませんよ。

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