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ふるさと納税を考える。何ができるかも考えてみた。

こんにちは!三条市CMO(チーフマーケティングオフィサー)→4月から三ツ目株式会社代表の澤です。2021年10月1日より新潟県に移住し、三条市CMOに就任、三条市役所で働く公務員になりました。ふるさと納税や情報発信など、三条市のブランド価値を全国に広めることをミッションに働いてきました。

三条市役所を3月末で退職し、2024年4月から三条市に会社を登記して経営者として新たなスタートを切ることにしました。

これから立ち上げる三ツ目株式会社では下記の4つの事業に当面注力をして日本に貢献していきたいと思っています。

  • ふるさと納税支援事業

  • 企業伴走型支援

  • 広告代理店的なお仕事

  • 100DIVE

今回はふるさと納税支援事業について、なぜやるのか、どのような支援を行うのかを書きたいと思います。


なぜふるさと納税支援事業をやるのか?

ふるさと納税が本来の趣旨とはかけ離れたところで運用されていることもよく見受けられ、三条市役所で働いた2年半、ふるさと納税事業に従事していく中で私自身が疑問に感じることが多かったです。

自治体も寄付者もふるさと納税にまつわる企業も本来の趣旨に今一度立ち返ってもらいたい。一方で、理念を大事にすることと稼ぐことは両立可能であることをさらに全国に広めたい、という思いがあります。

私がやりたいのは、ふるさと納税の理念を大切にしつつ、真っ当な地域のPRを行うことで寄付額を伸ばして、地域に還元してもらう、そして、地元に運用できる体制を残す、ということです。

ふるさと納税の視察やイベントで他自治体のご担当者とお話する機会も多かったです。2パターンの方にお目にかかることがよくありました。

  1. 寄付額は伸びている。いかに総務省の地場産品基準について抜け道を探し、すり抜け、グレーゾーン(例えば、他地域の肉やどう考えても海外工場で作ったものをどうすれば地場産品として認められるのかの作文方法や解釈)を攻めるのか、ばかりをお話しされる方。

  2. 中間事業者(委託先)に丸投げをしてしまっている自治体で寄付額も伸びず、どうしたらいいかわからない。委託先も変えなければいけないのはわかっているけれど、変えてうまくいくかどうかわからない、もしくは、地元のしがらみがあって変えられないという方。本当は職員主体でやってみたいが、寄付額を伸ばせということは上から言われる一方で、人を増やせるわけではない。

1の場合、何のためにこの制度を運用しているのかの目的がよくわかりませんし、大切な税金を他自治体から譲っていただいているのですから、グレーゾーンを攻める、という考え方自体がモラルの欠如も甚だしいと感じます。

2の場合、総務省は「自治体が国民にPRする」とうたっているにも関わらず、思考停止をして、丸投げをするということになっています。背景としては、自治体の人材不足&戦略不足があると私は考えています。公務員も人材不足で職員もカツカツなところで仕事をしています。だからこそ、戦略がなおさら必要になります。戦略とはどこにリソースを割くか、ということです。人を割けないのであれば、ふるさと納税を大きく伸ばす、ということを考えない方がよいのだと思います。

寄付額を伸ばしてからなら人を増やすよ、という首長さんや上層部の声も聞かれるのですが、リスクを取らずに安全圏から美味しいところだけもらおうとして、何も得られない日本の現状を象徴しているように思えます。

どこを目指すのか?

理念を大切にしつつ、しっかり稼ぐふるさと納税

もちろん寄付額を伸ばすノウハウは大事ですが、地域のこと、特産品をしっかりアピールしていくことが大前提としてあります。グレーゾーンばかり攻めて、地場の物とは言えない返礼品を出していることをよく見ますが、とてもリスクが高いと思っています。地域のブランドを棄損する、ということをよく考えてほしいです。

また、総務省の定める地場産品基準の抜け道を探らなくても寄付額は普通に伸ばせます。理念vs抜け道、のようになっていて滑稽に思うのですが、理念を持っていないところは長続きしませんし、小手先で地域ブランドはつくれないといい加減に理解してほしいと思います。

私はこの事業を通して、ふるさと納税の3つの意義を大切にすることを全国に浸透させたいです。

第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。
それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になります。
第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。
それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になります。
第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。
それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考えるきっかけへとつながります。

総務省ふるさと納税ポータルサイトより引用
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/policy/

地元の人が運用する体制

できれば自治体職員を中心にふるさと納税の事業はしていただきたいです。現状多くの自治体では中間事業者という大手委託会社に業務委託をしており、返礼品の受付、返礼品ページの構築、受発注、コールセンター業務など様々な業務を委託しています。

職員にふるさと納税を運用してほしいと思う理由としては、

  • そもそも自治体がPRすることだし、自治体全体としてのマーケティング力が磨かれるから

  • 自治体と民間の接点になるから

  • 職員の大きな成長につながるから

総務省は「自治体が国民に取組をアピール」ということをうたっています。意図としては、自治体が自ら積極的にPRをすることで、自治体自らがマーケティング的な視野を持ち、その結果として税収も稼いでいくようなことを想定していたのではないかと思います。

懸念点としてよく挙げられるのは、①異動があるのでノウハウが蓄積しない、②職員にはマーケティングのノウハウがない、ということです。

福祉の部署に異動になって、福祉の知識がありません、教育の知識がありません、ということですべて外部委託してよい理由になるのでしょうか?当たり前ですが、そんなことはなく、異動を繰り返しても業務を回しているはずです。

マーケティングノウハウがないからやらない、ということは職務放棄に近いと考えます。また、「マーケティング」というと仰々しく聞こえてしまいますが、どうやったら地域のことを全国の皆さんに知ってもらえるのだろう?地場産品を選んでもらえるのだろう?ということになりますので、地頭がよい公務員の皆さんなら必ずできると思いますし、三条市で私が一緒に働いた公務員たちは実際にできました。

異動があるのはわかりますが、それでは他の業務についても異動したらノウハウが蓄積しないのでしょうか?そうであればふるさと納税の問題ではなく、もっと大きな自治体自体の問題だと考えます。また、異動の時期を一気にメンバーが変わらないようにするなど、いくらでもやりようはあると思います。異動が多く、ノウハウがたまらない、という事業は実際にはたくさん見受けられますが、それはもっと大きな構造として日本の自治体全体として考えていかなければいけない問題だと感じます。

また、職員が出せない、ということであれば、東京からやってくる大手に丸投げするのではなく、地元の勢いのある会社と一緒にがんばるなどもよいと思います。一方で、公務員になってみて初めてわかったことは、地元だからという理由だけで受注をする事業者が多いことです。地元だろうと東京だろうとサービスレベルが高いところが受注すべきで、地元の企業も地元であることに甘えないでほしいです。どこがサービスの普通の基準なのかをしっかり理解してビジネスを展開をしないと単なる地元企業の既得権益になってしまい、切るに切れない、という構図になる危険性があります。

ふるさと納税がなくても産業が強い状態

ふるさと納税はご批判も多い制度です。いつこの制度が縮小されるかわかりませんし、この制度に頼るビジネスも健全ではないと考えています。三条市の事業者さんにはふるさと納税だけでなく、既存の販路も大事にしたり、新規の販路を開拓してビジネスを伸ばしてくださいね、ということを言っています。

ふるさと納税で得た利益をしっかり投資に回して、ふるさと納税以外のところでもしっかり伸ばしていく、ふるさと納税がなくなっても困らない体制を事業者が作っていき、ひいては地域産業が強くなることが大事です。

昨年10月には総務省から地場産品基準のルール改定がありました。今後もそのようなルール改定は想定されるわけで、そこでふるさと納税で流通できなくなったからビジネスが成り立ちません、ではビジネスとしてあまりに浅はかな戦略ではないかと思います。

三ツ目は何を支援するのか?

私が立ち上げる三ツ目株式会社では以下の領域を支援していきます。フルパッケージでの中間事業者としての委託事業も受けられる体制はありますので、受託は可能です。ただし、上記で書いている通り、できれば自治体の職位や地元企業のレベルアップをして、将来的には地元に残すかたちでの展開をすることが健全だと思っています。

理念の策定

それぞれの自治体で何のためにふるさと納税を行い、どこを目指して、何を大切にして事業を運用するのか、を最上位概念として置くべきだと考えます。どこまで稼ぐかの寄付額目標だけ独り歩きしていく自治体がありますが、無理な目標値に対して真面目な人ほど盲目的に数字を達成しようとします。その場合、ひどい場合には、産地偽装や不正などにつながる恐れがあり、判断の基本として、立ち返ることができる理念が必要だと思っています。

三条市の例です。稼ぐだけではなく、その過程で得られるメリットやその先にあるまちづくりについて言及しています。また、抜け道に頼らず、「ホンモノ」で勝負することをうたっています。

ミッション(三条市におけるふるさと納税の意義、使命)
三条市や産品の魅力を全国に伝え、チャレンジする姿を見せながら、ビジネスの力を向上、ふるさと納税の税収を増やすことで経済、福祉政策への投資を行い、三条市民が誇れる持続可能なまちづくりに寄与する

ビジョン(ふるさと納税を通してどうなりたいか?)
ホンモノの価値でチャレンジし「選びたくなるまち」へ

戦略策定

寄付額が伸びていないところでよくみられるのは全方位的にやろうとしていて、ここが伸びるところ、というポイントにリソースを割くことができていない、ということです。どこのポイントに人をはじめとしたリソースを投下していくかを考え、重点的に施策を行うことで、大きなリターンを得ることができます。

ここでもやはり立ち返るのは理念のところになります。とにかく金を稼げ、ということになれば、抜け道にリソースを割く、という判断に帰結してしまいます。戦略を考え、実行するところでも理念が効いてきます。

寄付額を伸ばすテクニックを実践する、教える

アクセス数を伸ばしたり、ページに訪れてから寄付につながる打率(コンバージョン率)を上げるテクニックを持っていますので、基本的な考え方から細かいテクニックまで教えることができます。

職員教育

一緒にプロジェクトを進めていただければ、このレベル感で仕事をしないといけないのか、というところを感じ取っていただけると思います。都度何ができていて、何ができていないのかのフィードバックもします。また、三条市役所や他の自治体に依頼されて、基礎的なビジネススキルの研修も行っていますので、希望があれば自治体職員向けや地域向けにセミナーなども開催可能です。

地域・地場産品のPR

メディアの琴線に触れるようなふるさと納税の施策を企画し、メディアに掲載いただくための戦術を考え、実行します。例えば三条市では、ご取材いただける地場産品が出たときに、プレスリリースを出すのはもちろんのこと、一緒に工場めぐりのメディアツアーを開催します。そうすることで、三条という「ものづくりのまち」を象徴する映像や写真を撮ることができ、当日夕方のニュースに載せることができる、など掲載されるまでをメディア目線で考え、発信をしていきます。

さいごに

ふるさと納税は賛否両論ありますが、使い方によってはよい制度になりうると思っています。この制度について一緒に考え、一緒に成長していけるような自治体と一緒に仕事をしていきたいと思います。理想だけでなく、現実的な結果も残す。むしろ、理念があるからこそ、結果を残せるということを証明していきたいです。

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インスタ@masafumi.sawaやってます。三条での暮らしなども引き続き投稿していきたいと思います。

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