おばあちゃんち。
おばあちゃんちと言うのは…子供の私にとって恐い場所だった。
特に、母方のおばあちゃんち。
おばあちゃんが子供の頃から染物をしていたその家は、「The・日本家屋」みたいな家。
時が経つにつれて、昔の様な染物屋さんではなく、いわゆるTシャツにプリントするとか、チームジャケット?にプリントをする…そんな感じになってきていた。
部屋の外は工場みたいになっていた。
広い敷地。
どう説明すれば良いのか良く分からないけど💦
とにかく広いの。
そして薄暗いの。
昼間は太陽光が入ってくるからそれなりに明るい。でも暗いのよ。
電気は蛍光灯。
夜、工場の方へ行くには、通路の真上にある蛍光灯だけ点ける。
大元の電気を就けてしまうと、工場内全部の蛍光灯が就いてしまうから。
おばあちゃんちの御手洗は、部屋を出て工場を突っ切った、一番端にあった。
小学生の私にとっては、夜に御手洗へ行くのが本当に恐かった。
別にお化けが出るわけでもないし、大きな声を出せばおじいちゃんも、おばあちゃんもいた。
御手洗へ行って、お台所で手を洗えば良いだけ。
しかし恐かったのだ。
「御手洗に行けば明るいじゃない」
なんて思うでしょ。
ノンノンノン🤞
今の綺麗なおうちにある様な、お花畑にいるような良い香りのする、可愛らしい壁紙を用いた御手洗を想像したらダメよ。
おばあちゃんちの御手洗は、今では懐かしい「汲み取り式」。
いわゆる「ぼっとん」と言うやつ。
若い子は知らないだろうし、下手したら聞いたこともないんじゃないかと思うくらい、もう「重要文化財」に指定されてもいい様なものな訳。
だから、暗い廊下を走って御手洗へ逃げたとしても…ドアを開けるとそこには…薄暗い小さな木造の小部屋と、ふかーーーーーーーーーーい穴…がある。
もう御手洗も怖いわけ!
小学生にはキツすぎる、ホラーな家なのよ(笑)
いや、本当に!お化けが出るとかはないの!
安全な家のはずなの!
怖い気持ちを何とか紛らわせながら用を足す。
怖いから早く終わらせたいのに…そういう時に限って…出なくなる…(笑)
今ならおばあちゃんが居るから大丈夫!早くしろ、さわ!
って幼い頃の私は一心不乱に用を足そうとする。
でもどう頑張っても出る気配は一向にない…
でも寝る前にしとかないと…夜中に行くのなんて絶対無理😭😭😭😭
早く早く😭
なんて思ってると…
深い深い穴から…白い女の人の手が…
なんてことを考えてしまって…幼い頃の私…「チビさわ」は怖くて泣き出す。
これでもかってくらい大声で泣く。
すると外から…
「また泣いてるっ!何!うるさいなぁ!」と声がする。
お姉ちゃんだ!!!!!
泣きながら姉に「おっおっおっ…😭😭😭おねぇえちゃん…助けてよぉ😭😭😭😭」と訴えるチビさわ。
「うるさい!さわは毎回毎回!やめてよ、テレビ見たいんだからっ!早くして!」と姉。
「だってぇ…😭😭😭😭
怖いんだもん……
うわ~~~~~~ん😭😭😭😭😭」
もう御手洗の怖さより、早くしないと姉の怒りをかうほうが怖くなってくる私(笑)
「んもーーーーっ!は!や!くっ!」
と姉(笑)
いよいよもう、出ないし諦めよ…と思ったその時…
「さわ~。ゆっくりで良いよぉ。ゆっくりしてきな。」
おばあちゃん!!!!!
優しいよぉ~😭😭😭😭
救世主現るだよぉ~😭😭😭😭
御手洗の外にはお姉ちゃんとおばあちゃんが居る!
と思うと同時に、ニュルニュルと引っ込んで行く私の妄想の中の白い手。
無事に用を足し、鼻水と涙にまみれて御手洗から出る私をぎゅっと抱きしめて、
「あらあら、こんなに泣いて。ふふふ。可哀想にねぇ…これからは着いてってあげるから、おばあちゃんに言うんだよ?」と優しく言うおばあちゃん。
そこへ…
ビシッ👋
「バカさわ!弱虫っ!」
と頭を叩きながら言う姉。
え、なにこれ。
トトロやん。
メイとサツキと婆ちゃんやん。
子供の頃のばあちゃんちは、とにかく怖いとこが多くて、だからこそ、姉とおばあちゃんの優しさを感じられるトトロチャンスが沢山あった。
夏になると思い出すな…
おばあちゃん。
あの弱虫さわも、もう1人で御手洗行けるよ!(当たり前)
でも、おばあちゃんは心配性で優しかったから…
夜中に1人で御手洗行く時とか…そっと見守ってくれてるんだろうな。
そして今はすっかり丸くなった姉は、私が暗いとこに1人で行く時、初めての人と会う時、必ず「何かあったらスグ行くから呼んで!」と言う。
いや…もういい大人過ぎる歳なので…大丈夫です(笑)
と、思いつつ、いつの日も姉さんは私の事心配してくれるんだな…と、チビさわに戻ってしまう。
「ありがとう、お姉ちゃん」と答えてしまう。
※あの…書き始めたのは夏だったんです。