
旅の思い出はクラウドに・・!!
旅行に行ったら、お土産は買わない主義だ。
べつに、何か特別な理由があってそうしているわけではない。単に、お金がないからでもあるし、あまりお土産に興味が湧かないからというだけだ。
それに、行く時よりも帰りの方が荷物が重いという状況も回避したい。クタクタな状態で、そんなものを持ち運びたくはない。
しかし、せっかく重い腰を上げて行ったのだから、何か行った「証」みたいな物が欲しいとは思っていた。もし、高橋さんに疑われても大丈夫なように。
しばらくして、ニコンの一眼レフカメラを買った。レンズはシグマ。そう、思い出は写真だけでいいと思ったのだ。
旅行に行くときはいつもバックに入れた。そして、帰って来たときにはハードディスクという古典的な感じがするデバイスに思い出を保存した。
しかし・:・
壊れちゃったんだよ!
旅の思い出が!!
アリバイが!!!
高橋さんに疑われる!!!!
冗談ぽく、言っているがめちゃくちゃショックだった。好きだった女の子からもらった、たったひとつの宝物をジャイアンに海に投げられたときくらい凹んでいるし、いっそのことクソみたいな世の中からおさらばしてやろうかと昨日まで考えていた。
もし、あのとき面倒くさがらずに(実際はめんど臭くない)iPhoneに思い出を保存していたら、淑芬(シュフェン)ちゃんとAchara(アチャラ)ちゃんとの思い出もなくならず、こんな気持ちになることもなかったのにとも思った。
旅行の思いでは、クラウドに・・だ。
こんな無様な男の思い出まで、Google様やApple様は責任をもってきちんと保管してくれる。こんな有難いサービスを使わないなんて、流行に鈍感な35歳以上の男に決まっているではないか。
以下の写真はFACEBOOKに残っていた数少ないアリバイだ。私は確実にここにいたのだ。そして、これが唯一の旅行の思い出なのだ。高橋さんに疑われないためにもここに残すことにする。

スコータイ遺跡の裏手で、だいぶ前に一人旅の日本人女性が何者かに殺害される事件がおきた。犯人は捕まっていない。少し、警戒はしたけれど、行ったからにはやっぱり現地の人と触れ合いたい気持ちを抑えきれなくなってしまった。
カタコトの英語とタイ語しかできないけれど、ココナッツ畑の住人に思い切って話かけてみた。
人を一瞬で殺められそうな、ナイフを私に向けながら歩いてきたときは「なんでもないです!」とその場を立ち去ろうと思ったけど、そんな自分を恥じた。

彼は自分が育ているココナッツをご馳走してくれた。そして、バス乗り場までクルマで送ってくれた。別れ際にチップも受け取らなかった。つまり、メチャクチャいい人だった。
※タイの人は自分が見てきた限り、悪い人はいなかった。日本なら見ず知らずの人に声をかけることなんてないと思う。でも、それは、日本の中の常識だ。固定観念を打ち破るために、近くの国に旅にでるのも悪くないことだと思う。

自分のたった3つしかない夢がかなった瞬間。
幼いころ、テレビで見て憧れた首長族に会えたことが本当に嬉しかった。そして、首長族になってもいいと思った。彼女が許せば。首輪は重かった。
しかし、テレビで華やかな首長族を想像していたけれど、現実は違った。何だか悲しい気持ちになった。
閉鎖された空間、入場料。まるで、人間農場みたいだ。
首長族に会えた嬉しさもあったけど、彼女が幸せに生きれることをこのときばかりは願った。いつもは他人の幸せなんてどうでもいいと思うくらい残酷な人間なのに。。

幼いときに見た風景。
この場所に来るなんて、そのときはまったく思わなかった。
スト2に熱狂した人なら何となく分かるはず、そう、サガットステージのモデルになった場所だ。
野犬の群れに追われるという日本ではあまり経験できないことを体験したし、「アッパカー」と声も聞こえなかった。けど、この場所に来れて良かったと思う。
記念に昇竜拳でもかましてみようか?と思ったけれど、日本の大学生らしいしいグループがいたのでやめた。
「うけるっっっw」
って、人の顔が見えなくなったら絶対いうでしょ??日本人の思考法はだいぶ学んできたつもりだ。

どうやら、タイという国は「アル中」に一歩足を踏み入れた人にはお金に困らない楽園らしい。
深夜0時をすぎると、ファミマの店員が不機嫌になり、売ってくれないという日本ではありえないことが起こるが、「ワイ」と呼ばれるポーズを真剣な顔で悪用すれば、大丈夫だ。
つまみは「ソムタム」
食べ物を食べて「今日が最後の日」だと悟ったことは、後にも先にもこの時が初めての経験だった。

タイではソンテウというバスにも乗った。
見えている4本の足の国籍はイタリアで、左から頑張って生まれてきたのが右にある2本の足だ。一般的には親子と呼ばれている。
目的地までの短い時間だったけど、右の2本の足とは少しだけ笑顔で会話をした。もちろん、英語やイタリア語などできないので、意味はあまり分からない。「私は日本から来た、あなたはイタリアから来た」くらいなものだ。
しかし、そんな楽しい会話も左を向いたときに、崩れ去った。
今でも、忘れない。お母さんの偏見に満ちた表情や「私の娘に話しかけないでよ!この薄汚い野良犬め!!」と言った表情を。
人はそうやって大人になるのだ。と、このとき悟った。国籍は関係ない。あの軽蔑するような目は私のお母さんと同じだったのだから。

フィリピンの首都マニラからバスに乗ること2時間??ルソン島の南端に「バタンガス」と呼ばれる場所がある。
上の写真の楽園プエルトガレラに行くためには、「私の荷物を断りもなく運び、1000ペソを請求する集団」がいる街。いわば、人生の真理とでもいう場所。バタンガスをくぐり抜け、船に乗らなければならない。
何の苦労もなく、天国に行くことは許されないのだ。
私はバスを降りた瞬間に奴らに囲まれた。そして、荷物を無理やり運ばれた。ボスみたいな奴はこう言った。「俺に1000ペソをよこせと。。。」
もし、私がそのとき腹ペコな旅行者だったら、インターポールも恐れず奴を殺害し海に投げ捨てたと思う。
しかし、私は潤っていた。過去最大のボーナスを受け取っていたからだ。私は抗議もしなかったし、迷うことなくボスに1000ペソを払い、楽園プエルトガレラに渡った。
よく高橋さんには、「プエルトガレラと沖縄の海。綺麗なのはどっちなーんだーい?」と筋肉君みたいな質問をされるので、返答に困ってしまう。綺麗さはどっちも同じだからだ。

どちらの場所も船でしか行くことはできないことも共通している。
悩んだ結果いつも私は、「経験のガレラ、安息の座間味」と答えている。高橋さんの満足そうな表情を見ると、なんだか嬉しい気分になってくる。

この写真が残っていて嬉しく思う。なぜなら、重いニコンの一眼レフカメラを抱え、初めて海外一人旅を決行した思い出の写真だからだ。
場所は「龍三寺」だったと思う。「胡椒餅」の近くだから間違いない。
それに、我ながらこの写真が好きだ。いったい彼は何をお願いしているんだろ?といつも気になってしまう。
もしかしたら、後ろの彼女とは不倫関係なのかもしれない。彼女の視線の先に彼はいないが、もし、不倫の関係っであったとしたら説明がつく。叶わぬ恋仲の場合、目線を合わせないことは、基本中の基本だからだ。
と、まあ、そんな具合に想像力を掻き立てられる写真なのは間違いない。盗撮のような構図になってしまっているが、私にはそんな気はまったくなかった。この場を借りて弁解しておこう。
以上が旅の思い出写真だ。
こうやって振り返ってみても、忘れていた記憶がじゃんじゃん浮かんでくる。やはり、旅行の思い出作りは写真にかぎる。これが、パイナップルパイなら1週間で消滅していたことだろう。
そして、もう一度言う。
旅先から帰ったら、いつ壊れるかも分からないハードディスクなどではなく、「クラウド」に保存しろと。
大切な思い出はマスクが反乱を起こさない限り、生涯守ってくれるのだから。
ありがとう。