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アラスカと、人と。
先日久しぶりに星野道夫さんのエッセイを読んでいた。
2ページくらいずつの短いエッセイは、
どれも優しくて、芯があって、
何よりなんて透明な文章を書く人だろう、
と思った。
訪れたことのないアラスカの雄大な自然が、
何も邪魔されずに透明な文章によって、
目の前にそのままイメージで立ち上がってくる感じ。
その時、ふと思ったのは
「アラスカの自然は、星野さんがいるから存在するんだ」と言うこと。
空も大地も、雪を被る山々も、
静かな水面も、限りなく広がる雪原も、
そこを歩くバッファロー達も、
星野さんが表現してくれたから、今私の目の前に立ち上がってきた。
ああ、これが人間の天地人としての役割なんだ、とその時思った。
天があり、地があり、その間に人がいる。
天を認識し、大地を察し、意識していくのが私達人間。
その3つが揃ってこの世界が成立する。
私達がいるから、この宇宙が成立する。
脳裏に浮かぶアラスカの自然と、
天地人の役割が
稲妻のように繋がった瞬間。
私の中でも稲妻や雷が落ちた時のように
何かが始まった証かもしれないね。
しかもエッセイのタイトルは
「旅をする木」
雷は陰陽五行の「木(もく)」で
春を表す。
春は長い冬が終わって全てが動き出す始まり。
色々繋がってるね。