悪気がない、で許すのか〜ブラジル人おばちゃんと先生〜
差別を受けたことがないわけではない。
だけど全く悪気がなくその行動をされたのは初めてで、びっくりしすぎて何も言えなかった。
マルタに滞在中。
語学学校のクラスは入れ替わりが激しいのに、私のクラスは大体 ”ブラジル人:日本人:韓国人:その他=5:2:2:1” の割合でかなり偏っていた。しかもかなり年齢層高め。
席は自由なので着た順に好きなところへ座る。
ある日隣にブラジル人のおばちゃんが座った。
旦那さんは違うクラスだけど一緒にバカンスついでに通ってた。(30歳オーバーコースなので、余暇を楽しむついでに通う人も少なくない。ただ旅するより人と話せるから楽しいのだろう)
教室に机は4つあり、後ろ2つは横にしてくっついている。その中央に私たち、その周りを偶然日本人と韓国人が囲んだ。
それに気づいたおばちゃんが興奮してみんなで写真撮りたい!と言い出した。撮ろう撮ろう!と和気藹々してる時、ふと隣を見たらそのおばちゃんがつり目ポーズをしていた。
え?
ニュースで見たり記事で読んだりはしたけど、やる人ほんとにいるんだ。
他の人は気づいていない。撮る方も撮られる方もなんかみんな楽しそうにしてる。だからより言えなかった。もし言ったとして、なんで駄目なの?と聞かれたら上手く答えられない。しかも英語で。
ただ私は見逃さなかった、先生だけは笑ってなかったのを。
その日はずっとモヤついていた。
おばちゃんは悪気なく、むしろ親しみを込めてやっているのは明らかだった、けど、やはり気分は良くない。
あまりにも思考がぐるぐるしたのでその晩レポートに書くことにした。(よく勝手に宿題を作って先生に見てもらってたのでその一環として)
次の日、休憩時間に先生に、これをあなたに見せるべきなのかどうかわからないけど見てほしい、と言って渡し、コーヒーを買いに教室を出た。
帰ってくると目が合い先生のところへ。
私も居心地悪かったんだけど、みんなかなり歳の離れた方々だから言えなかった、ごめんなさい、と先生は言った。
やはり先生も同じ気持ちだった。よく欧米では年は関係ないとかいうけど、やはり倍くらい年の離れた相手には言いづらいのか。気持ちを共有できてなんだか少しだけ報われた気がした。
色々な人種の生徒を相手にしているのだから彼女が注意するべきだ、という意見もわかる気もするが、やはり自分でどうにかする術を持つべきだ。
現場にいた日本人にこの話をしたら、全然気づいてなかったし、えー?そーなんだふーん、ってなんとも思っていない感じだった。
違うクラスの日本人にもしてみた。彼女はそういう差別があることすら知らなかったようだが、ちょっと調べてみようかなぁと言ってくれた。
英語での説明が難しすぎるので韓国人の友達には聞かなかった。今思えばそんなに難しくないし、どういう考えを持っているのか聞けば良かった。
そしてそれを見ていた他のクラスメイトはどう思っていたのだろうか。
私が敏感に反応し過ぎなのか?
2ヶ月滞在した後、友達に会いにパリに寄った。
そこでもこの話をしてみたら、友達はこんな話をしてくれた。
ある日その子(Y)が友達とレストランに行った時のこと
5歳くらいの男の子がYのところへ寄ってきて、日本人?と聞いてきたそうだ
そうだよ、と答えると、日本人てこんな顔してるよね、とつり目ポーズをしてきた
Yは子供だし苦笑いで切り抜けようとしていたら、友達が、じゃあ君はこんな顔してるよね、と目を指で上下に見開いて見せたらしい
すると男の子は、僕そんな顔じゃないもん!と
友達は君も同じこと私の友達にしたんだよ
とかなり強めに怒ってくれたらしい
からかったわけではなかった、悪気がなかった、ただ事実を伝えただけだった、
としてもやられた側が良い気はしないことはやってはいけない。
だからちゃんと言っていいんだよ、と教えてくれた。
そんなの流しとけばいいじゃん、と言う人がいる。
なぜ不愉快なことされて、流す、という行為をこちらがしなければならないのか。
世の中理不尽なことばかりだが、そもそもそんなこと最初からしなければよいのだから。
悪気がなくやってしまうことも良くないが、
それを不愉快なこと、と気づかないのもよくないのではないか。
また、あの場面で私がそれはやめて欲しい、と言えなかったことで、あのおばちゃんはまたそれをやる機会を持つ可能性がある、ということも忘れてはいけない。
最後に先生について、彼女はまだ20代の若い先生だったが、時間にもきっちりしていたし、ユーモアと熱意をもってわかりやすく教えてくれるとても信頼できる良い先生だった。
フランチェスカ、あなたは本当にlovelyな先生だったよ
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