1-7 2社目を辞めた理由
大手日系メーカー、ベンチャー企業、と2社を経て、やりたいことがよくわからなくなってとりあえず仕事を辞めてみた29歳、独身、男。仕事について、人生について、考えたり、サボったりするリアルな様を、自伝エッセイ風小説にしています。最後、現状の自分に追いつけるような予定です。ぜひお付き合い頂ければ幸いです。
今考えると、エネルギーのあるうちからベンチャーに行くべきだった。
でも、大学を卒業する時点では考えられるわけなかったよなぁ。
視野狭窄で、職業選択のことなんてあんまり考えられなかった。
大手志向・安定志向(当時は周囲のそれが大手志向・安定志向だということすら気が付かなかった)だった周りの環境に流されてしまう。
そして、2020年に僕は日系大手メーカーを辞め、改めてベンチャー企業に行くことになった。
コンサルティングを主業にうなぎ登りで成長している企業だ。
そこで僕は打ちのめされた。
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自分は強いと思っていた。
どんなことでもできると思っていた。
出来ないことも出来るように努力できると思っていた。
でも、そんなエネルギーを僕はどこかに置いてきてしまったみたいだ。
次々に降りかかる仕事上の「ワカラナイコト」。
上司からの厳しい目と長い労働時間。
コンサルティング企業でやっていくには、ビジネススキルが稚拙すぎて自分に幻滅する。
大学を卒業した時点での自分だったらもしかしたら跳ね返せたかもしれない。
でも、なぜか今は無理だった。
あると思っていた粘り強さが無くなっていたみたいだった。
そして、僕は1カ月でそこを辞め、プライドもクソも全部打ち砕かれた。
自分は明らかに使えない人間でいらない人間だった。
完全に仕事に対して、自分に対して自信を無くしてしまった。
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環境も今一つ好きになれなかったことも驚きだった。
新しい環境は勢いのあるベンチャーらしくゴリゴリの雰囲気だ。
物事を遂行するとき、「やり方」や雰囲気がある。
集団で熱い感じに盛り上がってやるやり方。
ドライに淡々とするやり方。
和気あいあいと進めるやり方。
自分は集団スポーツの人だったので、基本的には集団で熱い感じに盛り上がって物事を進めるタイプの集団にいた。
でも、その集団の中にいる自分は、自分が持つ色んな人格がある中での一部分でしかない。
むしろ1人でいるときの自分は割と静かだ。
集団において役割を演じていたのは知っていたけども、新しい環境でも必要に迫られれば自分の役割をうまく演じられると思っていたんだ。
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実際は違った。
日系の大企業にいて、大学以来、しばらくそういった「アツい」集団からお別れしている間に、僕はあの雰囲気がすっかり苦手になっていた。
そこでこう気が付いた。
これも今思えば当たり前のことなんだけど、重要なことほど後になって思い出す。
これは僕の悪いところだ。
11年間も部活を続けていたのはあの体育会ノリが好きなんじゃなくて、ただのオタクだったからだ。
やっていたのはハンドボールだ。
僕が部活をやっていたのは、ハンドボールという競技のゲーミング性や、戦術理解、そして競技が上達するクエスト感が好きなことに加えて、一緒に競技をする仲間が好きだったからだ。
だから、僕はむしろ「あのノリ」には一切興味がない、ただのハンドボールオタクだった。
やっとこさこのことに気が付いた。
遅すぎ。
to be continued……