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オムニバス短編小説

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オリジナルのオムニバス短編小説4部
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#虫

短編小説「虫」

第1話 プロローグ 虫達は自然の偉大さを良く知っている。 そして生きる事に対して熱心である。 もしあなたが蟻のような小さな虫だったとしたら、 そよ風は竜巻に思えるし、 小雨は洪水の前の嵐に思えるでしょう。 第2話 トンボ取り 商社マンの柳村健二は、久しぶりの休暇を家族と実家のある山村で過ごしていた。 健二には9歳と7歳の男の子供がいた。 本当はその二人の間にもう一人子供がいるはずだったが、妻の恭子は流産していた。 柳村の実家は農家で、そこは自然に恵まれていた。 夏、暑