王立 穴ポコ学園 クリア後レビュー、感想 長文
王立穴ポコ学園、プレイ時間55時間+でエンディングを迎えました。
85点(100点満点)の良作、意欲作でした。
エンディング後の追加要素は全クリしてないのですが、多分全クリまでやらないような気がするのでその前に書きます。
ストーリーの核心やネタバレ等はありませんが、システムのネタバレを含みます。後述しますがシステムの理解と解明が面白さの中核を占めるゲームなので、プレイ予定のある人が読むのはおすすめしません。
どんなゲーム?
アクトレイザーや作曲家(経営者でもある)古代祐三氏で有名なエインシャント製のSwitchDL販売限定のRPG。定価2800円。
自分は前々から気になっていてチェックしていたけど、今回セールがきたのと周囲でも評判が上々なので買いました。
どんなゲーム?2
様々な要素がシンプルながらに複雑に関係していて、ゲームの仕組みを適切に説明するのがとても難しい……ので説明をある程度放棄します。
感触的には、和製フリーゲーム、同人ゲームなどに見られる独特な戦闘システムのあるRPGが好きな人に向いてると思います。ざくざくアクターズとか巫女瓜系とか、そういうやつ。でもあそこまで難儀ではなく間口は広い。
どんな要素があるのか、ざっと挙げると
・ターン制バトルRPG
・装備パズル、ビルド
・SLG(FE、スパロボ的な)
・敵の行動の未来予知(見切りみたいなシステムある他ゲーって何かあったかな…ゼノブレは未プレイだけど違うよね)
・世代交代型育成(俺屍みたいな)
・ハクスラ
これらが同時に並ぶのわけわからないよね、書いてて自分でもわけわからん。属性盛りすぎでしょ。
でも実際にこれらの要素が同じぐらいの比率で混ざってくる。
これは恐らく公式の紹介動画を見ても理解は難しくて、実際にプレイして体験してみないと理解ができないと思う。でもやればわかる。やってみましょう。
あとはこれ。
うまいことゲームを表したネタ漫画ですが、しかしこれは冗談ではなく、次の戦闘のためにAP(一般的なMPと同じだが防御で回復ができる。また素早さでもある)の回復の稼ぎ行動が絶対に必要になるゲームです。こういうチマチマした稼ぎは嫌だ、俺はやりたくねえ!っていう人は絶対買わない方が良いよというぐらい頻繁に発生します。ただ実際のところ、めちゃくちゃサクサク進んで一瞬で終わるのでAP回復のターン稼ぎはそんなに気になりません。
で、どうだったのか
自身でゲームを把握、発見、理解、解析して攻略する楽しさがある。うまいことパーティビルドが噛み合った時は楽しいし、メンバー入れ替わりなどにより想定してた構成が組めないから代替の普段使ってない装備を使ってみたら想像より、いや想定してた強構成よりも強かった時も楽しい。
ヘルプはなく、ヘルプやチュートリアルにあたる内容を、全て順次追加される選択式クエスト(作中では小課題と呼ばれる)内で行うのはかなり思い切りがある。後からアンロックされる要素も多いが、それも後に追加されるクエストで説明される。
比較的高難易度寄りとされているけど、それをものともせずにドンドン進めると説明のタイミングがアンロックのかなり後になる事もあるがご愛嬌。
必要な事はだいたいゲーム内で順次で教えてくれる&細かい事は自身で試してみるという流れなので『自分なりの攻略法、戦略を考えて編み出し、俺TUEEEを目指すゲーム』という解釈をしました。
なので、攻略情報を見てみたいという気持ちはありつつも、見てしまうとつまんなくなる事が間違い無しなので自分を抑えてプレイ、クリアに至る。
だから、自分はどういう風に考えてどのスキルが強い、どれがどう、みたいな事をアウトプットするのは楽しいし、プレイ済みプレイヤーもそういうのを見るのは楽しいと思うんですよね。それが別記事のnoteです。
何も構成考えずに適当に書いたのでかなりとっ散らかってしまったのと、中盤から後半では序盤ほどの目まぐるしい発見や変化が無かったので歯抜けな感じで少々見苦しいと思っています。が、今になって整形するのもなんかおかしいので放置。
難易度について
巷では高難易度で楽しい、世界樹みたいな印象のように言われてますが、自分でも各システムに慣れない序盤はそう思う所もあったけども、システム理解して使える手段が増えて戦略も固まった中盤からは正直なところそこまでの歯応えはなかった。
きちんと各種対策、下準備をしていれば、見切りなし防御なしのノーガードで強攻撃受けても即死する事もほぼない。稀に死ぬぐらいなら簡単にリカバリできる。……というか、見切りをしてもその後に選択する行動が見切り無しとほぼ変わらないなと気づいてしまい、見切りは殆ど使わなくなった。瀕死の前衛が居る時なんかに使うぐらい。
ボスも苦労するような奴はいなくて、自分が考えた戦略でどいつもこいつもあっさり死んでしまった。序盤中盤ぐらいのやつが毒トラップで割合でモリモリ減ったのはあれ想定された仕様なんかな……。危ないシーンは稀にあったけど全滅の危機はなかった。
というより、想像もしていないような極端な特殊行動でもしない限りは対処できるように構成して準備してるから、それはそう。対処不能な強行動をもっとやってきても良かったと思います。
大課題の大ボス到達までは本当~~に長いので、たどり着ければ全滅にならずに倒せるでしょうぐらいの難易度調整にされてるんだと思う。ですよね?
他ゲーで敵を好き放題にさせると一瞬で即死する難易度に慣れすぎてしまったために物足りなさがある。とはいうものの事前情報無いと即死ゲーも面白いわけではないからさじ加減。
ただ、難しいという意見も多く見るし、それに対応するためのカジュアルモード切り替えもあるので、やっぱり世間的には難しめなのではないでしょうか。上に挙げた通りゲーム内の要素が多く、戦闘以外でもとにかくあれこれ考えることが多いゲームです。
あ、ちなみにクリア後コンテンツの難易度は、相当育成進めてないとレベルで殴られて死ぬ。これは難易度の問題じゃなくてシステムの限界。もういくらかは積めるだろうけど今の戦力では難航課題のクリアは無理。
よかったところ
・とにかくウェイトが少なく快適な操作性。一瞬で進むので、戦闘演出の合間にスマホ見る暇ができない。ロードなども短い。
・全体的にクオリティが高く、個人の趣味で制作されたフリーゲームや低価格インディーズゲームとは一線を画す、値段なりのクオリティがある。ただフルプライスほどではない。
・上で挙げた独特のシステムが楽しい
・森長あやみ先生の120人のキャライラストと、シーンの合間に表示される4コマ漫画。しかも4コマ漫画はゲームが進むとバリエーションが増えちまうんだ……!!
4コマはゲームやキャラクターへの愛と解像度が深い内容で本当に面白い。
・Switchなのでゴロゴロしながらプレイできる(重要)
微妙だったところ
注意事項:だらだらながなが書いてますが、ハマってるゲームほど楽しそうにゲームの不満を言う(レベルE)のやつなので、マジトーンではないです
・クリア後の育成があまりにも作業すぎる。ストーリークリアまではほぼ大課題スキップせずに(序盤の時期の1年だけ見送った)ほぼ一直線でストーリーを進め、小課題も極力新しいものを進める方向でやっていて、それでエンディングより小課題最終日を迎えるのが遅かった。
ただ、小課題を全部終えてからエンディング目指して年を重ねるだけという段階になるとめちゃくちゃにだれるの間違いなし、積んでもおかしくなかったので、その前にエンディング見れてよかった。
終盤の小課題それぞれはそこまで特色があるわけではないけれど、同じマップを繰り返すのか、見た目だけでも違うマップをプレイするのかはかなり違う。
この理由から、クリア後コンテンツやりたい気持ちはあるけどもう終わりかな~っという感じに。やれる人は無限にやれているので、ここはもうただの個人の趣向の問題です。
・全クラスを一通り育てて全てのEXスキルを集め終わると、それまでのどんどん手札が増える感じがストップして一気に単調な感じになってしまう。とはいえこの上に変にスキル合成とか出てきても面倒になるばかりだし落とし所かも。
・スキルバリエーションがそこまで多くない。複数マス範囲攻撃出たあたりは「おっ!」となったけど、上のEXスキル追加も合わせ、中盤過ぎあたりからずーっと変わり映えしない行動の繰り返しになる。
・作中では、育成は平均的も特化もアリと言われるが、EXスキルシステムの都合上、満遍なく上位クラス10を目指さないといけない。その後はレベル上限上げるために伸ばしたいクラスのレベルを最大にしないといけないし、言われているような自由度はない。一通りの育成終わったら使いやすいクラスばかり使って集中的にレベル上限を上げるor平均的にレベル上限を上げるぐらいの差しかない
・終盤の難易度カーブがなんか雑。
・BGMが惜しい。古代祐三氏の会社のゲームだけど古代祐三作曲ではない。悪くないBGM群だけどBGMが凄い良かった!と話題になる程ではない。
低価格帯インディーズゲームは、画面やシステムがややチープでも、良い曲があると圧倒的に印象に残るため評価がうなぎ伸びる(持論)。音楽の力は偉大。一番最初に聞く(確か…)フィールド・戦闘曲の出来はかなりいいので、これに加えて1曲2曲、序盤の曲の壮大な豪華アレンジとかあると良かったと思うんですが、そこはもう予算の問題とかあるので仕方ない。
・やってると物凄く眠くなる。特に寝る前にやってる時。あまり戦闘に変化がなくて、決まった行動を順番に繰り返す作業感が強いからかな……。でもそれもターン制RPGならそんなもんな筈なのでよくわからない。入眠ゲー。
さいごに
序盤の感触はかなり良かったんですが、終盤までそのクオリティの維持は難しかった。
特殊なゲーム性ということもあり、少しおすすめしづらいなというところです。
それをひいても序盤の面白さは目を見張るところがあるので、興味ある人はセール対象になってたら買ってみてもいいのではないでしょうか。
驚くのは、この価格帯で一度大規模アップデートがきていて、さらに小規模アップデートもぼちぼち続いていること。執筆時点(6/13)でまだ次が予定されてるらしい。
嬉しい話だけど、ゲームとしてはもう完成されていると感じるので、バグがあればバグフィックスはして欲しいけどそれ以上のコストは新作の開発に注いでくれ!って心配してしまいます。
エインシャントに幸あれ。がんばれハム式。
6/15追記
えっこれからさらに追加要素やDLC出るのマジ!!??!!??