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昔ながらの江戸前寿司体験

堀田湯でサウナした後に軽く寿司をということで、都心に戻ってメイン通りからちょっと小道に入ったところに佇む寿司屋に入ってみた。いわゆる町寿司というやつだろう。

この手の寿司屋は自分の中ではとにかくハードルが高い。そもそも美味いのか。値段いくから。頑固で強面な大将ではないか。などなど。オマケに酒は飲めない。

今回お邪魔した富岡八幡近くの寿司屋も、入った瞬間にひと目見てあの人が大将だなという寡黙そうな職人が板前に立っていた。

寿司を食べる前に煮魚などのつまみで日本酒を煽っているペアを対応している間にこちらはノンアルビールを注ぎながらおまかせ10貫をオーダー。突き出しのしじみの煮物を摘んでいると大将がやってきた。

おお、やっぱり寡黙だ、、!とんでもない電光石火。見事な包丁捌きと握りでサクサクと寿司を出してくれる。

なるほどサクッと食べてサクッと飲んでお会計みたいな話は聞いたことがあるが、こういうことかー。見事すぎる。

大トロ中トロから始まり、アサリ煮や鯛を胡麻醤油で食べさせてくれるなど、随所に江戸前的なニュアンスを入れて楽しませてくれる。

あ、怖いと思ってたけど、ひとつひとつの寿司を出す時に「これはそのままどうぞ」とか「これは〇〇で仕入れた」とかさりげない一言の情報がまた美味い。

結局乾いたネタ出されるのが一番怖いわけだけど、クオリティは高い。程度の差こそあれど、基本的には高級店も町寿司も豊洲から仕入れたもの。回転寿司ではないのでそれほどに大きな差は普通に考えたら無いのかなーと思ったり。

あっという間の10貫フィニッシュ。素直に美味しかったのでいくらでも食べれちゃうなということで、オススメ3貫をさらに2セット追加。

写真のアオヤギとか食べたことないような、the 江戸前寿司も堪能。鮮度がないとすぐに臭みが出て食べれなくなってしまうという。なるほど、ここにこの大将の江戸前寿司に対する愛情や誇りが詰まっているように感じた。足の早い素材だし、別に出さなくても客は困らない。無くても良くてリスキーなものをあえて出して、他ではあんまり体験できないようなもなを食べさせてくれるあたり、素晴らしいなと。

最後の締めね、と言って出してくれたのはなんと干瓢巻き。それも長めの海苔巻きをかじるスタイル。おおーなるほどこうきたかー、と。実に面白い。

締めは大トロだのノドグロだのになりがちだが、ノンノンノン。超正統派なフィニッシュ。

しかも海苔は、パリッとしたものではなく、ご飯の水分にやさしく馴染むタイプ。でも安っぽい感じではない。タモリがなんかのテレビで「僕はうどんにコシはいらない」って言ってたんだけど、その感覚かなー。昔ながらのクラシカルな干瓢巻き。すごくよかった。

最後連れが「小さい子供も連れてきて良いか」と恐る恐る大将に尋ねたら「もちろんどうぞ!」と答えてくれて、なんか幸せな気分になった。腹満たすだけの回転寿司に行っても仕方ないし、夫婦で食事を楽しめるこういう町寿司は、店にもよると思うけど、子連れにもとてもいい場所だなと思った。

粋な江戸前寿司体験を堪能できてなによりだ。

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