サウナ好きの「あったらいいな」を詰め込んだ、コクヨのサウナポーチをご紹介!
こんにちは!
今回のnoteでは、コクヨサウナ部発の新ライフスタイルブランド「SAUNA BU(サウナブ)」のプロダクトの中から、一番の目玉アイテムのサウナポーチについてご紹介します。
一見優しい色合いのシンプルなポーチですが、普段は文具を担当する開発者の熱いこだわりがつまっています。長く日用品とその使い手を見つめてきたメーカーだからこその視点で、サウナのシーンを見たときに、どんなプロダクトが生まれたのか。ポーチの開発を担当した、コクヨの土岐一貴(とき かずき)のインタビューをお届けします!
ありそうでなかった、サウナ専用のインナーポーチ
―まずは土岐さんのサウナ歴から聞きましょうか。
正直このプロダクトに関わるまでは、まったく興味がありませんでした(笑)。今はリサーチも兼ねて行きますが、水風呂には入れないです・・・
―それはもったいない!
今後トライしていきます(笑)
―サウナに興味のなかった土岐さんが、このプロダクトに関わった経緯は?
僕が当時縫製品の開発チームに所属していたので、担当することになりました。コクヨはワーカー向けのバッグのブランドも出していて、文具中心のメーカーではありますが、人々の生活や仕事を支えるツールは広く手がけています。今回も元々は、コロナ禍の需要回復を意識した旅行バッグの企画でした。
―旅行用からサウナ用に変更になったのはどういった経緯で?
この旅行バッグには、旅先のお風呂や温泉にそのまま外して持っていけるようなサブバッグを付属させるアイデアがありました。検討する中で、これってサイズを変えればサウナやジムに行く人にも便利かもね、という話になったんです。当時一緒に開発していたメンバーのひとりがサウナ好きだったこともあり、川田さん(コクヨサウナ部部長)に一度話を聞いてみようとなったのがきっかけです。
―その流れで、いつの間にかサウナがメインになっていたと(笑)
そうですね(笑)旅行用とサウナ用を兼ねようと思うとどうしても企画がボケてしまって。川田さんから、サウナ専用で考えるなら、サウナ用のリュックとかはすでにあるし、大きなバッグよりもインナーバッグの方が領域としては独自性が出せるかもしれないというアドバイスももらって、サウナに特化した方がよりコアで面白い商品になりそうだなと考えるようになりました。
―インナーバッグを持ち歩くシーンとして特に想定したものはありましたか?
川田さんからサウナがワーカーのウェルビーイングにつながるという話も聞いて、ワーカーが仕事帰りにサウナに立ち寄るシーンが見えてきました。コロナ禍を経て、仕事場としてオフィスと自宅を行き来するようになり、パソコンや資料などワーカーの荷物が増えています。そういった中で、帰りにふらっとサウナに立ち寄れるよう、最低限の荷物をできるだけコンパクトに持ち歩けるポーチのようなものをイメージしていきました。
登山用バッグから発想、コンパクトさと乾湿の住み分け
―プロダクトを見ると、コンパクトながら、色々な機能がありそうでワクワクしますね。
こだわったのは、まずもちろんコンパクトであること。あとは、困ったことがある人も多いと思いますが、帰りに濡れたものを分けて持ち帰られること。この二つの視点を両立できる仕様を検討していきました。
基本構造は、左右それぞれにポケットのついたポーチで、二つ折りに畳んで持ち歩くことができます。この写真では右側はタオルやサウナハット、左側は文房具になっていますが、その使い分けは人それぞれで、例えばタオルと化粧品、タオルと着替えとかで分けてもいいかもしれません。
―濡れたものはどこに入れたらいいんですか?
見開きポケットとは別に、外側にくるくると巻いて圧縮できるポケットが付いています。濡れたものがない「行き」はぺたんこにつぶしておいて、「帰り」は濡れたタオルやハットを入れられる。くるくると巻ける仕様や、サイドのカチっと留めるバックル、長さ調節ができるアジャスターも付いているので、容量に応じてできるだけコンパクトに圧縮できます。
―面白い仕様ですね!どうやって発想していったんですか?
コンパクトになる可変性や特殊な機能を持つという視点で、バッグやポーチをあれこれリサーチしていきました。サウナ用だとスイミングバッグを使っている人が多くて、コンパクトさや機能の部分で参考になるものは見つかりませんでした。一番参考になったのが山登り用のスタッフバッグと呼ばれる分野です。登山は極薄軽量が基本なので、小分けや圧縮の機能が装備された特殊なバッグを色々と見つけることができました。
―普段の文房具の開発でもこういったリサーチを行うんですか?
はい。開発の初期段階で、結構色々なサンプルを買い漁って(笑)研究します。もちろんピンポイントで参考になる仕様を探す目的もありますが、それよりも新しい視点を得るために、あまり分野を絞りすぎずにリサーチすることが多いです。
―何かマニアックにこだわった点はありますか?
バックルやアジャスターはなるべく小さく、ポーチのデザインの邪魔にならないものを探しました。元々はポーチを縦に横断して留めるバックルで検討していましたが、今回デザイン面を監修してくれた社内のデザイナーに、サイドで留めるタイプの方がすっきりして良いと要望をもらいました。ただ、サイドで留めるタイプにすると、左右にアクリルテープ(紐)が付いて、ブラブラするのが嫌だったんです。何か解決方法がないかと考えていたときに、子ども用のヘルメットの紐をOリングで束ねているのを見かけて、これだ!と思いました。
―Oリングとは・・?
ゴム製のリングで、機械装置の内部の気体や液体が外に漏れないように、密閉するために使う部品です。
―かなりマニアックな話になってきましたね(笑)
はい、どれもコンパクトに持ち歩くためのこだわりです(笑)
使い手とコミュニケーションしながら、変えていきたい
―まだマニアックな話はありますか?(笑)
見開きポケットの片側の底面は透明のシートになっていて、奥が透けています。奥には濡れたものを入れられる外側のポケットがありますが、そこに何が入っているかも一覧で見えるようになっています。この一覧性は開発者としてこだわった部分です。コクヨは近年開発のプロセスにインクルーシブデザインの手法を取り入れています。「インクルーシブ」は「包括的な」という意味ですが、これまで製品開発のターゲットから除外されがちだった多様な背景を持つ人たちと一緒に、企画開発を進めるデザイン手法のことです。旅行かばんの企画の際に、発達障がいをお持ちの方などさまざまな方のご意見を聞く機会がありました。忘れ物をしやすいので、かばんに入っているものが一覧で漏れなく見える機能がほしいと。その視点は万人に役立つものだと思いました。
―サウナも、サウナハットとか忘れ物が多いと聞きますし、これはうれしい機能ですね!
この透明のシート部分にはもう一つ仕掛けがあって、シートが上下に動きます。なので、行きは内側に入れていたタオルやハットを、帰りは濡れたので外側のポケットに入れても、シートを動かすことで、全体のコンパクトさが変わらないようにしています。
―なるほど!行きと帰りで荷物の量は変わらないですもんね。
全体量は変わらないので、入れるポケットを変えてもコンパクトさが失われないようにしました。
―開発者魂の詰まったサウナポーチですが、今後の展開で考えていることはありますか?
普段はもう少しマス向けの商品を担当しているので、今回使い手がこれだけリアルに見える開発が新鮮でした。今回のような縫製品は金型などが必要なく初期投資が小さく済むという利点もあります。このサウナポーチはきっとサウナを愛する方々に使っていただけると思うので、さまざまなこだわりをお持ちでしょう。今回で完成ではなく、ユーザーの方々のご意見を聞きながら、改良していきたいです。どことは言いませんが、すでにここは変えたいなと思う箇所もあります(笑)。
かなりマニアックな話になりましたが、コクヨの少々変態的な開発スタンスを感じていただけたのではないでしょうか?(笑)
こだわりの詰まったサウナポーチ、皆さんに使い倒していただきたいですし、ぜひ使ってみてのご意見もお待ちしております!