井上勝正さんの話 その1
本日は表題の通り「熱波師 井上勝正さん」について大いに語ります。
ただ、1人で語るには素材の味が強すぎる、人間が大きすぎるので、卑怯にもこちらは2人がかりで、交互に攻めていきたいと思います。
届け! おれたちのダブルインパクト!
■ファーストインプレッション(ササウナ)
というわけで先攻のササウナです。よろしくお願いします。押忍!
初めて井上勝正さんを視認したのは2020年夏でした。
「人生で1回くらい、新橋でサラリーマンをしてみたい」というよく分からない理由で新橋らへんで働きはじめたものの、5年に及ぶ名古屋転勤によりウェルビー名駅で鍛えられ、並のサウナでは満足できない悲しきモンスターになった私を、文字通り温かく迎えてくれたサウナ。
それが新橋に聳え立つ、オアシスサウナ アスティル。
だいたい平日の始業前(7:30-8:30)か、早く終わったとき(18:30-19:30)のスピードコース利用だったので、平日の日中または日曜日に来ているっぽい勝正さんとはニアミスしかしたことがなかった。
ただ、館内掲示のポスターをみて
「初めて出会うタイプの
熱波師だ!
実際見てはいないが
今まで出会ったどの
熱波師をも超えている
凄味を感じたッ!
エンジン音だけ聞いて
ブルドーザーだと認識
できるように分かった!」
と、初めてザ・ワールドの片鱗に触れた花京院みたいなことを思った。
■ファーストインプレッション(サシミンク)
後攻のサシミンクです、こんにちは(ラッシャー木村さん風)
サウナに行く頻度が極端に増えた、2022年の5月。色々なサウナを巡るようになり、サウナに関する雑誌やSNSもよく見るようになる。
そして、その中で一際存在感を放っている方が井上勝正さんであった。
勝正さんの情報に触れていく中で、一際輝きを放っているワードが
『サウナそのもの』
この言葉に惹かれない人がいるのだろうか?
私はこのワードに撃ち抜かれたのである。
並では情報量によって、物凄く惹かれていく一方で、最初の熱波道に参加するまでにはおよそ半年ほどかかってしまった。
当時は熱波道やアウフグースに対して、謎にハードルが高いイメージがあって、まだその時ではないのかもしれないと及び腰であったのだ。
参戦するきっかけになったのは、2022年の秋、ササウナさんから『サウナ合宿をしよう』と声をかけていただいたことがあった。その際、北欧に宿泊することになったのだが、その日はアスティルで熱波道開催という、偶然さんもびっくりな日だったのである。ササウナさんといくなら怖くない!と思い、北欧に泊まる前に、アスティルに寄ろうと決意したのでした。
↓北欧に宿泊した際の記事はこちら!
■新橋アスティル デビュー戦(ササウナ)
・いつものアスティルじゃない
それから何度かアスティルには寄ったものの、相変わらず井上勝正さんのポスターは気になる。
そしてとうとうその、抗いがたい魔力により、井上勝正さんのことを調べてみたところ「元プロレスラー」ということが分かった。
そういえばサシミンクさんはプロレス好き、これはええんではないだろうか。
そんな軽い気持ちで、「アスティルの熱波、いてみょう」と誘ってみました。
とある日曜日、昼のプログラムに合わせられそうなので、我々は向かいました。
おん…
なんでしょうか、慣れ親しんだはずのアスティルのはずなのに、初めてネフェルピトーに対峙したときのゴンとキルアのような、そこはかとない熱気を感じる。
日曜の昼なのに人がやたら多いし、なんでしょうか、皆、目が爛々としてるような感じがして怖い。
これは、みなさん勝正さんのお客さんだッ!
「これは…まずいかもしれないな」
そんなことを思いながら、我々は熱波前に軽く2セットほどサウナを決める。
どのくらい混むのかが読めなかったので、開始の5分前くらいにはサ室にイン、勝正さんを待つ…
なんだろうか、それにしてもどうしても嫌な予感が拭えない。敗北の匂いしかしない。
・井上勝正さん降臨
結局、サ室をはみ出すほどの人数が集まってきました。そして赤いバスタオルに包まれて、ゆっくりと勝正さんはやってきた。
挨拶を丁寧にしてから、「そこもうちょっと詰めたら入れますよ」「お兄さん一回クールダウンした方が良いよ」と早速お客さんへの目配せが始まっている。
サシミンクさんは下段だが、私は上段…まだ何も始まってないが、既に熱くなってきたぜ…。
「ロウリュとは…」
「ここアスティルのサウナの構造は最高で…」
勝正さんの口上が続いて行く。その間、ときおりアスティル側の人がアロマ水をロウリュしていく…体感温度が上昇…
耐えきれず1人、また1人と退場者が生まれる…
「紳士に拍手!」
退場者にも最大の敬意を払うことを忘れない勝正さん…そして待機列からまた1人補充されて…
「ロウリュとは…」
「ここアスティルのサウナの構造は最高で…」
また口上が始まり、また退場者が…
「紳士に拍手!」
「そこ座れますよ」
「このアスティルのサウナの構造は…」
デジャヴ?
この煉獄の時間、まさかループしてるの?
終わりがないのが『終わり』それがゴールド・E・レクイエム ってこと?
「いつ、熱波が始まるのかって思ってますか?」
場内爆笑である。やはり、勝正さん、この人は「わざと」だっ!
そうこうしてるうちにまた1人退場者が…
「紳士に拍手!」
「そこ座れますよ」
「このアスティルのサウナの構造は…」
「いつ、熱波が始まるのかって思ってますか?」
私はこの芸風を知っている。
「始まりそうで全然始まらない熱波」、これは「サンシャイン池崎さんの自己紹介」と同じだっ!
つまり、私の好きな芸風だッ!
面白いッ!
しかしッ!
もう身体が持たないッ!
「良い加減にしろという皆さんのお気持ちをヒシヒシと感じますので、いよいよ熱波をやります!」
キタキタキタキタ!!
「108回やります!」
えっ?!
108?!
えっ?!えっ?!
嘘でしょ?
■新橋アスティル デビュー戦(サシミンク)
2022年11月のとある日曜日、遂にササウナさんと共に熱波道が待つアスティルへ。
開店と同時に、アスティルに入店。ロビーに入ると、目の前には熱波道の文字が。
本当にこの日が来てしまったのだなと感じると共に、緊張感が走る。
受付に行き、アスティルコースを選択。すると、受付の人から
「今日は熱波道のイベントをやっているので、良かったら参加してみてください」
とお声がけいただき、「ああ、本当に熱波道に参加する日がきたのだな」と感慨深くなる。
大浴場に着くといつもより多い人々が。おそらく勝正さんの熱波道が目的の人々だとわかる。平日の夜の客層とは一目で違うことがわかる。それにしても人が多い。これは参加できるのかな?と不安になる。
初回なので最初から最後までしっかり熱波を受けたいと思い、周囲の人がサウナにむけて動きだした開始5分前くらいに入室。
そこからの5分間は、緊張感でいつも以上に汗が出てきていたのではないかと。そして『時はきた、ただそれだけだ』
ドアが開き、ゆっくりと井上勝正さんが入場。そう、熱波道が始まった。
最初は挨拶から入られ、まずはアスティルのサウナは完成されている旨をお話しいただく。
熱波がなくてもアスティルのサウナは完成されているから良いのだと。
ここでハッとなる。そう、『サウナの主人公はサウナ』という本質が目の前に。自分は何のためにサウナにきているのか、そもそもサウナとは?頭の中にサウナに対する考えが走り出す。
ここまでは勝正さんの話に聞き入り、頭も活性化し時間なんて忘れていました。そう、まるで時間が止まっていたかのようで…
話をしながらも、お客さんの様子を見て声をかけたり、場所の移動を促したりしており、これがお客さんの命を守りながら、楽しませるということかと学びを得る。
ドンドン勝正さんに惹かれていく中、全身がとてつもなく熱い状態になっていることに気がついた。
そう、勝正さんが入室されてから10分以上経っていたのだ。
『熱』が全身を包み込み、熱い!!!という感覚が戻ってきた。
まるでザ・ワールドからの時が動き出すかの如く、急激な反応であったのだ。
そして気づいた。周りに人がいないことに。ここまで出ていく人がいれば『紳士に拍手』していたのだが、ここまでいなくなっているとは思わなかった。それくらい見入っていた。
遂に勝正さんによる熱波が始まることに。
『108回』
そう、熱されている状態からの追い込みの熱波。
プロレスで言えばカウント2.9から返す状態。
本来であればここまで熱されていればサウナから出るところなので、ここから真の戦いが始まる。
『今までは組み合ってお互いの力量を測っていったってコト?!』心の中のちいかわが叫んだ次の瞬間...
遂に熱波が送られるッッ
バチッ
強烈な一撃。鉄人 小橋建太の逆水平チョップの如く。全身を痺れさせるような熱さ。
だが、何発か受けていくうちに、意外となんとかなっている自分に気がつく。
そう、ここまでじっくりグラウンドを展開してきたかの如く、ジワジワと身体が熱い状態になってきたので、熱波に耐えられるだけの身体が出来上がっていた。
そして108回の熱波を受けた先には感謝と勝正さんに対する敬意が溢れ出したきたのであった。
■脅威のSNS活用術(ササウナ)
嘘だと思いたかったが、本当に108回も熱波やったし、私は最後は「意地」だけで退出せずに済んだ。
蒸発するかと思った。
「お兄さんクールダウンね!」
既に限界突破していることを見抜いた勝正さんに、優しい声をかけられる。さすが視野が広い…
そして我々はアスティルの食堂に移動し、冷麺とビールを注文した。
この世で一番美味しいビールの飲み方であるが、本来的にはサウナで失われた水分をビールで補給するのはあまり健康に良くない。良くないが、めちゃくちゃ美味い。ビール美味い。冷麺も美味い。
そして私は、ありのまま起こったことをTwitterに書いた。
そしてそのツイートはあっという間にご本人に拾われた。まさに世界!そこにシビれる!あこがれるゥ!
■脅威のSNS活用術(サシミンク)
アスティルの食堂で冷麺とビールを楽しみながらササウナさんと感想戦をしていた。そして、今日の想いをTwitterに載せた。
そして、しばらくするとTwitterに通知が。
なんと、勝正さんが引用リツイートでコメントしてくださっていた。
タイムラインを見ていると、ただコメントをするのではなく、ユーザー1人1人、丁寧に返していた。ここまで丁寧に返すインフルエンサーは中々いないのではないか。
アスティルの体験をきっかけに勝正さんの熱波イベントに参加するようになり、都度Twitterで感想を呟くのだが、そのたびにコメントをいただいている。
このような、ファンに寄り添っていただいている感じが、より勝正さんのファンになるし、私自身も人に優しく、敬意を持って接しなくてはと引き締まる想いになるのであった。
・ファン作りの勉強に
勝正さんのSNSの活用術は、ファンづくりの勉強にもなる。
昨今、企業がファンマーケティングに注目している中、井上さんもSNSでファンとの交流を大事にしている。
企業の担当者が会社の公式SNSの中の人として交流するのとは違い、井上さんは顔を出しながらもファンの言葉1つ1つを拾い、ご自身の言葉で返している。
昨今、著名な人との距離感が近くなったといわれている時代、勝正さんはその距離感の近さを上手く活用されているのである。
私の場合、井上さんのファンサによって、以下の過程を踏んだ。
熱波道に参加し、井上勝正さんの在り方に惹かれる。(感動体験)
熱波道からの帰り道、勝正さんがコメントをくださる。(顧客フォロー)
『また行きたい』という感情が生まれる。次に行くためのハードルが下がる。(リピーター化)
また熱波道に行く
ものすごくシンプルなサイクルだが、私の場合はこのサイクルに見事合致した。
私自身、マーケティングなどに携わることもあり、特にファンづくりという点では常に頭を悩やませてきたが、顧客側の視点に立つことで落ち着いて考えるきっかけになった。
上記のサイクルの中で注目すべきは、2の顧客フォローの部分であると思う。
前提として勝正さんの熱波が感動するレベルということがあるが、そこからファンを定着させるのはフォローという面にあるはずだ。
SNSを見ていると、『熱かった..』といったコメントに関してはクールダウンを促したり、『ガンダムの話』をしている人にはガンダムのネタで返している。
ファンとの距離の近さが勝正さんの魅力の1つとなっている。私はそう思う。
・熱波師のストーリー
勝正さんと他の熱波師の方のやりとりも、見ていて面白い要素の1つだと思う。
つい、見てしまうのはサウナの三郎さんとの関係性だ。御二方はおふろの国で熱波をされる際に、タッグを組んでいるところを拝見することが多く、私もその場面を見ることがある。
熱波後、Twitterを眺めていると三郎さんが今日の感想などを呟き、それに対して勝正さんがアドバイスなどをしている場面を見かける。
逆も然りで、勝正さんが新しいパフォーマンスを見せたら他の熱波師さんが反応する。
常に、切磋琢磨している場面をスマホという画面上ではあるが見ることができる。
熱波道界隈に限ったことではないが、こうした姿を見た上で熱波道に参加してみると、一種のストーリーを見ているような感覚になり、より楽しめる。
■熱波師検定B(ササウナ)
熱波師検定。
サウナを愛する者にとって、避けて通れない関門の一つである。
「入門するなら、井上勝正さんから習いたい」
私とサシミンクさんの見解はここで完全に合致し、めっちゃくちゃ繁忙期と重なったが鶴見のおふろの国現地で受けるコースにて受講した。
そして我々はタオルの振り方の技術を大森熱狼さん達から習った。それは思っていたよりハードな研修であった。
そして座学である。講師はなんと、井上勝正さんだ。
地味に、座学のテキストに出てくる挿絵というか画像がすべて井上勝正さんなのがアツい。
大切なのは知識ではない。熱波師の『心』である。それを、井上勝正さんに、習った。
こうして我々は晴れて熱波師になったッ!
■熱波師検定B(サシミンク)
2023年、この年の目標を立てようと思ったとき、1つの資格が頭をよぎった。『熱波師検定B』は必ず取得しようと。
そして1週間後、ササウナ氏に取得することを伝え一緒に受講することに。これが運命共同体か…。
場所は、聖地である『おふろの国』。やはり熱波道の本拠地で受講したいというこだわりは捨てたくない。
タオルの振り方といった実技は大森さんとオルカ宇藤さんのお二人に教わる。そして後半の座学は勝正さんによる座学の講習に移る。
おふろの国の食堂で、参加者が勝正さんに向かっている光景。全員が真剣にサウナと向き合う。勝正さんが生み出した空気感と参加者の姿勢が、いつもの熱波道と変わらない空間を作り出す。
座学に参加して感じたことだが、サウナ内で行われる熱波道も、熱波師検定で座学を受ける最も、熱波師と参加者によって作り出されていることに変わりはなく、どちらも欠けてはいけない。
話を聞きながら、そう感じた。
もちろん、座学を通じて熱波師としての心得を教わることもできた。
『真実に向かおうとする熱波師の意思』
その意思を胸抱こう、そう思った。
どんなことを学ぶかは、実際に参加してみて欲しい。
■新橋アスティル 再戦(ササウナ)
「ササウナさんは勝正さんの本当の凄さを分かっていない」
「実は行くたびにプログラムが違うんです」
サシミンクさんから、そんな説明を受けていたが、私は半信半疑だった。前回のサンシャイン池崎プログラム(仮称)は十分面白かったしインパクトがあった。
高橋ジョージさんは「ロード〜第二章」を歌う。
和田アキ子さんは、あの鐘を鳴らす。
それが一番オーディエンスが喜ぶしウケるからだ。何も間違ってない。
いつもサンシャインじゃないの?
まぁ、でも、サシミンクさんがそこまで言うならと、突撃してみた。
前回、日曜の昼に限界突破してしまった恐れもあって、思わず、タルカスとジョジョの死闘に痛みを恐れず突っ込んだポコを見習って、「ねーちゃん!あしたっていまさ!」って呟きながら突っ込んだ。
それをしっかり拾ってくれる勝正さんの愛とジョジョ知識である。恐るべし。
で。
結論からいうと、サシミンクさんは正しかった。
前回、日曜の昼は、生粋のロウリュ狂い、パネッパジャンキーの方が多かったための、あのようなハードなプログラムだったのだ。
平日の昼は、やはり私のような「狂い」も散見はするのだが、それでも半分くらいは「たまたまアスティルにいる人」に見受けられた。
つまり客層がちょっとライトなのだ。
勝正さんのタオルを扱う技術のすごさが、熱波師検定を経て良く分かった。だが、真に恐るべくは、勝正さんの真骨頂は視野の広さである。常に全オーディエンスに気を配り、初手から体が赤くなっている方にクールダウンを促し、総じて客層全体の耐久度合いを喝破、今回は序盤からスタンダードな熱波を各人に送るようなプログラムだった。
すごい。
ファンクラブ向けにはアルバム収録曲、シングルカップリング曲を中心としたセトリをお届けする。「ライブでこの曲聴くの初めてだ!」コアなファンも大満足である。
フェスなどで待ち時間が少なく、自身のファンだけではない場合は、代名詞となるようなキラーチューンも必ず取り入れ、新規ファンの獲得を目指す。「ロウリュ、初めてだけど気持ちよかった!」が大事なのである。今回はそんな風なお客さんが多かった。
ロッカールームで、これは良い経験をしたと、皆さんほくほくしていた。
セトリ、大当たりである。
勝正さんは熱波師としてそういうコントロールを自由自在にできる。
エンターテイナーとしての懐の深さを改めて実感すると同時に「ていうか毎回、MCおもろ」ととっても感心した。
ちなみにまた冷麺も食った。最高である。
■おふろの国 (サシミンク)
おふろの国の熱波イベントは200円で熱波券を購入して、開始の1時間前にロビーで受付して予約するもの。なので早めに入国していれば、高い可能性で参加が可能になる。(人数が多すぎると抽選になることもある)
有料熱波の良いところは早く並ぶ必要がなく、直前までお風呂やサウナを楽しめるのが嬉しい。
私はよく土曜日の17時からの回に参加することが多い。なので15時45分にはおふろの国に入国。入場券と熱波券の2つを購入して待機。
15時55分頃からロビーで並び、16時になると勝正さんが受付をしてくださる。
その後はお風呂場で汗を流し、露天風呂で一息つく。5分ほど前になったら、サウナ室前で待つ。
イベント前には勝正さんが、サウナ室の空気を入れ替えているところを見ることができる。
しっかりと外の冷えた空気を中に入れているため、イベントの最後まで参加しやすいし、サウナに入ってからじわじわと熱くなっていくのを体験できる。
おふろの国でも変わらず、参加者の様子や客層を見ながら声をかけたり誘導している。
サウナストーブの前の人には『熱いでしょう』と声をかけ、初めての人には『水風呂で頭部を冷やしてきてください、熱が籠りにくくなるので最後までいられますよ』と水風呂を案内して、一旦退出して身体を冷やしてから戻ってきてもらうといったこともあった。
天谷さんとのダブルインパクト時には途中休憩が挟まれたこともあった。
※私は勝正さんの口上や熱波師検定を通じて、サウナに入る前には頭部に水を被っておくようにしている。やはり、頭部を冷やしておくと全然サウナ内で苦しくならないので、これはスタンダードになって欲しい。(水風呂に潜るのがNGなところでは潜水しないでほしいが)
おふろの国のサウナにはテレビがあるので、その時に流れているものに触れて流れを変え、注目を集めたり。他の熱波師さんがいるときは、その人ならではの話題を振ったりなど。
これらの取り組みは勝正さんの集中力の賜物であると思う。サウナ内のありとあらゆることに目を向け、感じとり、行動に移す。参加してもらえれば、ただ熱波を送るだけではないことがわかってもらえるはずだ。
そもそも、サウナという熱い空間でタオルを振るだけでも大変なのに、事前にサウナ内を冷やし、お客さんを楽しませ、じっくりと身体を温めさせてくれる。本当に凄いことだ。
こんなに凄いのに、まだ熱波は送られていない。ここからがクライマックスだ。
クライマックスでは、キング・クリムゾンという名のポータルロウリュ発生器をサ室内に持ち込んで、アロマ水を注入しロウリュを発生させる。これが圧巻なのである。音と勢いよく吹き出る水蒸気の見応えが半端ない。この迫力を感じたい場合は、ストーブが置かれる下2段目の真ん中ら辺に座るのはおすすめだ。一度試してほしい。
その後、熱波を送るためのタオル、ストームブレイカーによって空気の対流が巻き起こされる。後は熱波に身体を委ねるだけで良い。
熱波を終えると勝正さんが『クールダウンしてくださいね』と声をかけてくださる。
水風呂まで様子を見に来て、頭部を冷やしていない人がいれば、勝正さんが水をかける場面もあり、熱波後のお客さんの体調もしっかりと見ている。
勝正さんの熱波を見ると、熱波師のあるべき姿が見えてくるのではないかと思っている。
※以前、おふろの国で体験した熱波師2人のコンビネーション技である『ダブルインパクト』について記事にしているので、こちらもご一読を。
おふろの国では、勝正さんの熱波道を実施するまでの準備の様子も見ることができるので、周りの迷惑にならないように、遠くから見てみるのも良いと思う。
■サウナ道場 (サシミンク)
サウナ道場は渋谷にある令和のストロング系サウナで、胡座で座るサウナとシングルの水風呂が強い施設だ。
そこで勝正さんがゲストで来ると聞いて、行くことを決心した。
サウナ道場×熱波道という響きも、胸熱だ。
胡座で入るサウナなので天井は低い。その低い天井でどのように熱波を起こすのか気になったのである。少なくとも、全力でタオルを振るスペースなどはないと思っていたからだ。
最初の回に参加。いつも通り勝正さんが入ってきて、口上が始まる。サウナ道場のサウナはめちゃくちゃ良いサウナだということを聞きながら、今日はどのような熱波なのか、想像を膨らませる。
そして、ロウリュを始める瞬間、勝正さんの手にあったのは桶だったのである。そう、桶でロウリュを発生させるのである。
サウナ道場のストーブは部屋の真ん中に置かれており、正方形に広くサウナストーンが敷かれている。
そこで、勝正さんはストーンの様子を確認しながら最適な場所にアロマ水を『ジュッ』とかけていくのである。もちろん、バケツロウリュではなく、精密で的確なロウリュだ。
そして、数回に分けてロウリュを発生させていく。ジワジワと熱くなってくる。最後にタオルの横回転で空気を撹拌させて終了。
そう、これで終了なのだ。タオルで仰ぐことはほぼない。だが、身体は熱い。
ここで勝正さんの言葉を思い出す。『身体をしっかり温めてほしい』『〇〇のサウナは完璧です』そう、サウナ道場のサウナも完成されている。天井が低いからロウリュ一杯でとてつもなく熱くなれる。
熱波をしなくても、人々の身体を温めきってくれるのである。
過去の勝正さんのお話と、自分自身が体験する熱波によって、点と点が繋がり線になる。
よりサウナと熱波の理解が深まった気がした。
■おわりに「嵐を砕くパネッパ」(ササウナ)
それにしても、サウナブームである。
外から見たら「ととのうって何?」くらいの理解の方が多いが、こんなコアな記事を読んでいるあなたには、「サウナブームの多様性」にとっくに気づいていると思う。
サ室の温度、湿度にこだわる。
水風呂の広さや温度にこだわる。
外気浴スペースにこだわる。
サ飯にこだわる。
オートロウリュ。
サウナストーブ。
ウィスキング。
サウナグッズ。
図解し始めるやつ。
カレーを作り始めるやつ。
多様性が、さまざまな道に分かれていく。これが「ブーム」が、「カルチャー」に昇華するということなのだろう。
またあそこに新しいサウナができたらしい、⚪︎⚪︎湯が改装したらしい、日々、情報も嵐のように飛び交っている。
この嵐の中、どこにいけばいいのか、誰について行けばいいのかわからなくなったら、そんなときは井上勝正さんのTwitterを見れば良い。
熱波を通じて人々を癒す。熱波道という、王道にして覇道を歩む勝正さんに、迷いなど少しもないのだから。
勝正さんは、今日もどこかで青い塊を振るっている。
それタオルと呼ぶには、あまりにも大きすぎた。
大きく、
分厚く、
重く、
そして大雑把すぎた。
「こちらが熱波専用のタオル。
人呼んで嵐を砕く者!」
私はこれからも、勝正さんに会いに行くだろう。その青い塊から放たれる熱波で、心の中の嵐を吹き飛ばしてもらおう。
そしていつか聞こう。
「ていうか、パネッパって、何スカ?」と…。
■おわりに「井上勝正という、漢」(サシミンク)
サウナに行き始めた頃は、ここまで熱波道、そして井上勝正さんの影響を受けるようになるとは思わなかった。
少なくとも、私は人生のしんどいタイミングでサウナにどっぷりハマり、勝正さんの言葉や在り方によって感動し、救われた。
発信力や話術、技術、一言で熱波といっても、各スキルが高くなければ成り立たないものである。
『熱波ってタオルを振っているだけでしょ』
そう思っている方は、一度でも良いから勝正さんの熱波を体験してもらいたい。もし、ハマったら何度か足を運んで欲しい。
お客さんに対する観察、その時に合わせた会話・誘導、施設に合わせた熱波の起こし方、見るべきところはたくさんあるし、学ぶこともたくさんあるということが、少しずつわかってくると思う。
『お客さんを満足させること』
そのヒントも得ることができるはずだ。
勝正さんには
熱波師として
社会人として
漢として
人として
学ばせていただいてることが多くある。
正直に言って、文章化することはおこがましいと思っている。
だが、想いを形にしたかった。その想いには抗えなかった。
それくらいの熱量が発生するくらい、勝正さんは熱い人であるのだ。
サウナはととのうためのものだけではない。
ササウナさんも書いているが、サウナブームの多様性の中の1ジャンルとして確立されている方だと思う。
今回はあくまでもサシミンクとしての見解であることを書き足しておく。
もし、熱波道に、井上勝正さんに興味を持った方がいたら、是非参加してもらいたいと思う。