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女サウナから主が消え、サウナ屋の女将気づく。
最近記事を書かなかったのはおっくうなわけでも、経営が傾いて資金調達していたわけでもなく、単純に多忙を極めていたのであるが、その裏色々な場所でたくさんサウナにも入っていた。
男性サウナーはあまりご存じないかもしれないが、女性用のサウナには必ず主(ぬし)がいる。
主は大抵、部屋に対して奥まった上部座席に存在し、しもべがいる場合は大抵その周りを固め他者を受け入れないようアシストしている。
しもべは大抵武装している。腹にビニールを巻いていたり、顔をずっとローラーでゴリゴリしていたり、フルフェイスタオルだ。ふと、マッドマックス 怒りのデス・ロードを思い出す。
もし主の存在に気付かず、主が水風呂で涼んで戻ってきたときにその席に座っていようものなら、100度近い熱量の視線を全身に浴びることになる。街歩きをしてふらり銭湯に寄るときなどはとても気を付けなければならないことのひとつだ。
2日連続温泉に泊まった時の事。
1泊くらいしかしない宿には主は居ないというのは、実は思い込み。
主が旅に出れば、その場所での主となる。主がいるのは銭湯だけには留まらないものだ。
1泊目。
若い女子がうじゃうじゃいる。マナーも悪めだ。
これは主の逆鱗にふれなければいいが…と不安に思うも女子たちは、あまりサウナに入ってこず、杞憂であったかと胸をなでおろして快適にサウナを過ごした。
2泊目。
慣れた感じのマナーの良いサウナ慣れした30代と思しきオーガニックな女性が幾人か上段に陣取っている。
おお、主予備軍か!と思い汗を流し休憩後戻ったときには彼女らは下段にいた。
これはいったい何が起こっているのだ。なぜなんだ。主は絶滅したとでもいうのか。
ふと。
私、ひょっとして主の風格出しちゃってない?
他を寄せ付けない感じの雰囲気出しちゃってないか?
よく考えれば、私は上段であぐらをかき、鼻からあごを濡れタオルで覆い、後ろで結んでいた。
これは、冷静に考えたら怖いんじゃないか?マッポから逃れる暴走族風なんじゃないか?
1日目女子たちがサウナを覗いては、入ってこなかったのはこのルックスのせいでは?
2日目みんな下段に移動したのは、主という存在を知っていて私を主認定したんじゃ?
動悸がする。
なりたくないものになりかかっている。今年のおみくじに「謙虚に過ごせ」と書いてあったというのにもう忘れていた。
そういえば最近近所の銭湯でも若者に人数制限されたサウナ室を優先される。
あれは優しさではなく畏れだったとでもいうのか。
まだ冷や汗と動機は止まっていない。
とにかく謙虚に今年は生きていこうと思う。
冷や汗と動悸が更年期障害っていう噂もあるけれど。