
ノエミの夢、或いはアドリア海の嵐
他人の見た夢の話なんて面白いと思う人がどれくらいいるか疑問なのですが(正直に言うと、私に誰かが夢の話をしてくるときは大概つまらないものが多いです。話し方が上手ではないからとかそういうことではなく、興味を惹かれる内容であることが少ないからです。また、夢の内容が面白いかつまらないか自体より「こんなつらい夢を見た、自分は不幸だ」というアピールをする目的でよく夢の話をしてくる者がいるためにうんざりしているというのもあります。逆に言うと、大変興味深い内容の話をしてくる人もたまにいます......たまに、というのは滅多にリアルで人の夢の話など聞く機会がないからです)、かなり前から私は似たような夢を見ることが多く、印象的(象徴的?)なので、いつか文章にしたいなと思っていたので、この機会に書いてみることにします。
以下、順番は見る頻度や好みとは関係ありません。
1.汚れたトイレの夢
2.異国を旅していて、帰国前日に慌てている夢
3.「夜の仕事」をしている夢
これらは単体で見ることもあれば、同時に2つ、3つ一晩(1つのストーリー)で出て来ることもあります。
これらの夢にはいずれも実在人物(家族、知人、友人等)が出て来ることは滅多になく(夢の中では知り合い等という設定ですが、現実にはいない人です)、出て来る場所も人物も毎回違います。特に「異国」の夢は、私が行ったことのある実在する街が多いのですが(圧倒的にパリが多く、次にウィーン、リスボンですーーいずれも大好きな街です)、実際の街の様子とは似ても似つかないものです。その「実在だけれど架空の風景」も毎回様子が違います。
「異国の夢」は、以下のシチュエーションが非常に多いです。
・帰国前日の夕食時に着るドレスがない!と慌てて、街を彷徨っているが買いに行く様子も見られない。
・こんなノーメイク(変なメイク、落ちかかったメイク)じゃ街を歩けない、すぐに化粧をしたい!と街中で焦っている。
・帰国日、空港に行く前にスーパーで菓子(何故か飴、ソフトキャンディの類)を買わなきゃと急いで買いに行っている、行こうとしている。
もちろん、1~3の中では異国の夢が一番楽しいものですが、目覚めて「ああ、夢だったのか」と一番がっかりするのもこの夢です。
「汚れたトイレ」の夢は本当にこれでもかというほど汚れている、(何故か)公衆トイレばかりです。しかも仕切りがないものが非常に多いです。ちなみに現実には仕切りのないトイレを見たことはないです。最近はあまりこの夢は見ませんが、一時期本当によく見ました。見た後は特につらいとかそういう感情はないです。ただ、ああ、またか......くらいです。
「夜の仕事」をしている夢は割と実在人物、それも実際に店にいた人が出て来ることもあります。けれど現実とは違って、嫌な思いをしているような内容ではないことが多いです。かといって楽しくもないのですが......。店の内装、外装、立地などは毎回バラバラです。
最近はいずれの夢もあまり見ません。何故でしょうね?ストレスが強い時ほど、こういう夢は見ない気がしないでもありません(今、絶賛病み期です)。代わりに(?)、少々エロティックな夢を見るので複雑です。実在人物(私にとって好ましい人、過去に関係した人や好きだった人)が出て来ることも多いのでこれまた起きたときしばらく何とも言えない気持ちになります。見てる時は楽しんでいた記憶がはっきりあるのですが、醒めた瞬間、かなり重い気分になるので困りものです。
夢診断とか全然分かりませんし、あまり気にしたことはないのですが(ネットに載ってるものや、本屋で売ってる占いみたいな本をちょっと見てみたことはありますけど、どれも説明がバラバラだったりするのでどれを当てにしていいのか分かりませんでした)、あの3つの夢は本当に頻繁に見ていましたので気になった次第です。
※ヘッダー画像はクロアチアのドブロヴニクですが、ドブロヴニクが夢に出てきたことは多分ないと思います。夢のように美しい街だったからでしょうか......?本当に美しい街でしたーー夜遅くに街に着いて、すぐに旧市街にある小さなホテルに入り、荷解きをした後にシャワーを浴びてガウンに着替えて真っ白く糊のきいた清潔なシーツにくるまっていると、窓を閉めているのに風の音が強く聞こえてきました。まるで荒れた海のそばにいるかのように。港町ではありますが窓から海は見えませんでした......空には月、広場には石畳と片づけられたカフェの椅子があるのみ。ベッドに戻って、ああ、これは夢か......?こんな気持ちのいい夜に私は死にたいなぁ、死ねたらいいのになぁと思いました。けれどいつの間にか眠ってしまったようで、朝にはやはり目覚めてしまいました......気怠いまま窓の外を見たら夜中とはうって変わって見事な晴天でした。けれど風は相変わらず強くて......。あれは夢ではなかったのだ......。きっとこんな日のアドリア海は碧いに違いないと、月に憑かれたままに部屋を出て海の方へ行きました......。
