モンハンストーリーズ2のヘビィボウガンについて
ドーモ、ヘビィ・ニンジャです。
モンスターハンターストーリーズ2のシナリオをクリアしたということだ。今回はこの作品に出てくるヘビィボウガンについて記事を書くことにした。おれはネタバレなど一切きにしないしネタバレ注意などと書く気もないが、エナが王砲ライドに跨って発進する名シーンまで進めてない奴は、今すぐかえれ。
ヘビィボウガンは出てこない
実際のところ、エナが王砲ライドで発進するシーンは記憶違いであり、よく考えるとヘビィボウガンは出てきていなかったかもしれない。そんなことはないと思いつつも改めて確認してみると、NPCの会話や背景グラフィックなども込み込みで世界の端から端まで探しても、ヘビィボウガンに該当するミームは一切存在しないことがわかった。ウラガンキンの防具や一部オトモンのスキルの名前ですら、「ヘビィ」ではなく「ヘビー」記載という徹底ぶりだ。この世界には、ヘビィボウガンという偉大な武器が存在したという痕跡すら存在しない…だが、しかし、この作品を遊べば遊ぶほど、ヘビィボウガンが存在しないことの必然性がわかってきた。
ヘビィボウガンが出るとストーリーが破綻する
オープニングで護りレウスに追手のハンターが弓を射るも、矢は護りレウスには当たらず、反撃で壊滅してしまう描写がある。もしこれが弓ではなくヘビィボウガンだったら?放たれた弾丸は過たず護りレウスの頭部(弾肉質50)に直撃し、その想像を絶する破壊力で確実に絶命せしめていただろう。エナの絶叫が木霊し、物語はそこで後味悪く終わってしまう…ヘビィボウガンの過ぎた力(と射程距離と命中精度)は、使い方を誤れば悲劇をもたらしてしまう。弦の引き方で力の加減のできる弓と違い、一度引き金を引いてしまったら発射される弾丸の威力に一切の情け容赦は無い。ポイント・オブ・ノーリターン…ビジュアル的にも、ビューンと飛んでいく矢と違って弾丸はズドンと発射されて即着弾するので、絵面はあきらかに動物虐待であり、バイオレンスだ。バイオレンスはPTAなどの真のモンスターを敵にまわす恐れがある。ランゴスタを斬ったら緑色の体液がブシャー!!っと飛び散る昔のモンハンとはわけが違う。絆を説く物語と、全てを破壊し尽くしてしまうパワーは共存できない…だから今回はヘビィボウガンではなく、弓が適任だったのだ。古代の日本において、生贄の住む家の屋根に目印をつけようとしてヘビィボウガンで撃ったら家が爆発してしまったため、力の加減ができる弓で撃つようになった。これが「白羽の矢が立つ」ということわざの語源でもある。まさにこの故事通りのことが起こったのだ。
ヘビィボウガンが出るとゲームにならない
ゲーム内容としても前作同様、パワー→テクニック→スピード→パワー…の3すくみがベースとなっており、武器攻撃の際は個別のモーションが発生する。だが、ヘビィボウガンの攻撃モーションは基本的に「撃つ」以外に無く、3つも用意することはまず不可能だ。そもそもヘビィボウガンの弾は破壊力と射撃精度と弾速を全て兼ね備えているとも言えるため、ヘビィボウガンは既存の3すくみの全てに打ち勝つ最強のパワー攻撃になり得てしまう。パワー→テクニック、パワー→パワー、パワー→スピードの3すくみが成立し、パワーが全てを解決する…ハイパーバカが作ったゲームの出来上がりだ。モンスターは全員その場で絶命して帰巣することはなく、ボスキャラも大した山場もなくヘビィボウガンの前に次々斃れ、屍の山を築く…おれはそんな異世界チート転生めいた退廃的なバランスに何の感慨もカタルシスも抱く事はない。ヘビィボウガンは真の男のための武器であり、腰抜けどもの鬱積したフラストレーションの捌け口には相応しくないからだ。
しかし、世界はヘビィボウガンでできていた…
この物語にヘビィボウガンは出てこない。しかし、出てこないものがもうひとつある。リオレウスだ。この物語ではオープニングで世界中のリオレウスが何処かへ去ってしまった。ここでおれは世界の真実に気がつく…外伝作品を除くモンハンシリーズにおいて、ヘビィボウガンにだけ唯一レウス武器が存在しない。これはもはや、この物語・この作品そのものがヘビィボウガンのメタファーであることの完全なる証左に他ならない。タンクメイジやヴォルキャノンなど、ヘビィボウガンのシールドが翼の意匠を持つことが多いことからも、翼の無い破滅レウスのデザインはパワーバレルを装着したヘビィボウガンから着想を得ていることも疑いようが無い。レウスに跨って大空を駆け、破滅の翼を巡る冒険の旅に出るという事はすなわち、何故ヘビィボウガンにだけレウス武器が無いのか?レウス武器が無いとは、どういうことなのか?パワーバレルの力は世界に破滅をもたらすのか?その真実を探し求めることに他ならないのだ…
絆を信じろ
こうしておれは、ヘビィボウガンの無い世界でもヘビィガンナーであり続けることができた。絆とはすなわち信じることだ。狙撃竜弾…弾肉質…徹甲榴弾…世界がヘビィボウガンに対して受容や肯定をしなかったとしても、おれたちはヘビィボウガンを信じ続けなければならない。それができるのは、ガンナーであるおれたちだけなのだから。このモンハンストーリーズ2にはそうした意味が込められている。ヘビィボウガンを信じろ。
(ヘビィ・ニンジャ)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?