45歳で独立。 新しいことで漂ってみる。
独立したら、やってみたかったことがあります。ポッドキャスト番組。
僕はランニングが好きで、ほとんど毎日走っていて、走る時はSpotifyで音楽を聴くか、ポッドキャストを聴いています。好きな番組はいくつかあるけれど、今日はポッドキャスト番組を自分ではじめてみたことのご報告です。
ポッドキャストの魅力はラジオと違って、話している人との距離感が近いこと。会話には参加していないけど、カフェの隣の席でその話を聞かせてもらっているような。話している向こうも、隣の席で聞かれることをわかっていて、自分の価値観やプライベートをお裾分けしているみたいな感じの距離感。が、好き。
スタートした番組のタイトルは「more or less」。「more」って聞くと、ぼく的にはテクノユニットdaft punkのヒットナンバー「One More Time」が思い浮かび、毎日聴いているロックバンド・羊文学の「more than words」を連想させ、「less」といえばモダニズムの建築家 ミース・ファン・デル・ローエの「Less is more.」 (少ない方が豊かである、と訳されているらしいですが、満たされるために少なくする、という意味の方がしっくりきます)。「more or less」は、ほどほどに、とか、多からず少なからず、という意味。具体的な意味や定義よりは、音の響きとmore と lessの物事が満ちたり引いたりする印象と、or のオルタナティブな印象で構成されているところがしっくりきています。
漂っている感じ。漂流。僕にとってポッドキャスト番組を始めることは、漂流すること。社会やコンテンツ業界を、そしてこの世界をわりかし経験豊富な部類に入る46歳が漂流する。ディスティネーション(目的地)よりディレクション(方向)が重要だと、未来を語る思想家 ケヴィン・ケリーは書いていた。そのディレクションを探すひとつの手段がポッドキャスト。
新しいことは答えがない。答えはたぶんディスティネーション。ディレクションは自分の価値観で定まるもの。価値観は経験とともに変化するもの。20歳のころインドを旅したように、 20代から30代にかけて世界中のアートやアーティストに出会う旅に出かけたように。自分探しは何歳になってもするものだよ。
新しい景色が見たい。46歳で漂流し、自分が信じるものや価値観で定まるであろう方向にあるであろうものが見たい。インドでもいいし、ヨーロッパでもいいし、世田谷でもいい。ディスティネーションはどこでもいい。
ポッドキャストを始めたのは漂流の意思表明なのだと思う。と、公開した10日後に感じています。
同じ40代半ばの編集者YANOと始めたポッドキャスト「more or less」。ぜひ聴いてみてください。
KIYOSHI MAEDA
「more or less」
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