音声配信でのダッキングの重要性
(タイトル写真、本文と全然関係ないですけど、直島の草間彌生さんの作品が海に流されて割れちゃったらしく😢。惜別の意味も込めて。)
さてダッキングです。
今回のスタエフ(stand FM)の配信で、「声が聴きやすかった」と言ってもらえたのは本当に嬉しかったです。というのも、僕は活舌が悪く声がこもっているので、BGM バックのナレーションだとどうしても埋もれてしまうからです。そこで今回はちょっと凝ったダッキングにトライしてみました。
・・・
ダッキングといえば、ヒップホップで、ベースがビートに合わせて「ぅわっぅわっ」ってなるようにするときに使われることで知られていますが、今回はちょっと別の使い方です、というかこちらが元々の使い方です。
「ダッキング」の語源はボクシングで屈んでパンチを避けるテクニックなんですが、要するに、
ナレーションに合わせて、BGM の音量を自動で下げる
という手法です。
通常は、BGM の入ったトラックにコンプをインサートして、そこにサイドチェーンでナレーショントラックからの出力を入れ、自動で音量を抑える方法を取ります。違和感のないようにリリースを長めに取って。
ただ、僕のように音楽番組をやる場合は、BGM もめちゃくちゃ重要な要素なので、音量を抑えればいいというわけではありません。とはいっても、僕は、活舌が悪い上に声の通りが悪いので、BGM が流れているところだと、結構聞こえづらいです。
にもかかわらず、今回の放送で、「声が聴きやすかった」と言っていただいてとてもうれしかったのですが、それは声がちゃんと届くようにかなり工夫したのがうまく活きたからなんです。
( ※ ↓は、7分後から本放送が始まります。冒頭の7分は放送開始前の音楽です。)
これを聴いていただいても分かる通り、まず冒頭の音楽が流れて、ナレーションが入る直前に BGM の音量がぐっと下がります。これはもちろん手動でフェーダーを操作してます。
その後は、BGM の前で僕が喋ってますが、ぱっと聞いた感じでは、それほどダッキングがかかっていないように聞こえますよね?まぁ、もともと音量自体が小さいということもありますが。
実はこれ、それほどコンプはかけていないのです(つまり音量自体はそれほど下がってない)。
カーブはこんな感じ。
軽ーく、大きい分だけ抑えてます。
じゃあ、どうして、僕のこもった声でも抜けて聞こえるかというと、Trackspacer で動的に周波数を空けてやってるからなんです。
こうすることによって、コンプで上をそれほど抑えず、声の抜けだけをよくすることができました。(こんな使い方、Trackspacer では想定されていなかったでしょうけど。)
Stand FM さんの音源なので、ダッキングの有無の比較ができないのが残念ですが、この仕組みがないと、僕の声では何を言っているかわからないような感じになります。
BGM バックで、僕のような活舌悪い素人がナレーションをするなら、ダッキングはマストだな、と今回痛感しました。