Pantip映画レビュー 和訳
PhuwinとUpが、映画『Hoon Payon』の恐怖の裏側に貴方を誘う
『Hoon Payon(フンパヨン)』という名前は、多くの人にとって耳慣れないものであったり、未知のものであるかもしれません。さてそれは神聖なものなのか、お守りなのか、善きものであるのか?
きっと恐ろしいもののはずです。
今日に至るまで、スリラー映画として『フンパヨン』は制作されてきました。その怖さは映画監督があの、ホラー映画で名を馳せ、『P’ナーガ』三部作の監督を務めた"Mike Phontharis Chotkijsadarsopon"なのですから、折り紙付きでしょう。
『フンパヨン』が2023年3月9日に封切られる前に、本作の二人の俳優 "Phuwin Phuwintang"(Fish Upon the Sky主演)と"Up Poompat"(Alone in Outing主演)に、本作ができあがるまでのお話とディープな裏側を語っていただきましょう。
🎬 『フンパヨン』とはどういったものですか?
Up Poompat:
『フンパヨン』とは、まさにこの話です。
おそらく多くの人がそれについて耳にしたことがあり、また多くの人がそうではないでしょう。『フンパヨン』には善と悪の両面性があり、呪文を強化するための呪具に近いものです。同様にそれは魔法の呪文を手にした人間の、もう一つの科学(知識)でもあります。
🎬 "Phuwin Phuwintang"と"Up Poompat" は『フンパヨン』でどんな役を演じますか?
Phuwin Phuwintang:
僕の演じる"Tham"はバンコクの青年で、ストーリーはすべて一つの島で起こり展開します。僕はこの島に出家した兄を探しに来て、さまざまな登場人物達に出会うのですが、その一人が"Tae"です。
Up Poompat:
僕の演じる"Tae"は、寺の老僧(ルアンター=祖父くらいの年齢の高僧の呼称)が育てた青年で、寺の雑務を手伝う務めがあります。彼は土の塑造と読経を好んでいます。
🎬 映画初出演の感想は?
Phuwin Phuwintang:
とてもワクワクしていると言わなければいけません。
僕自身はずっとシリーズドラマに出演し続けていて、この方面には触れたことがありませんでした。セットに入って映画の仕事をするようになると、すごく好きだなと感じましたね。シリーズを演じるのとは全く違ったスタイルで、映画館で自分を見るのが待ち遠しいです。
🎬 初めてホラー映画に出演する感想は?
Up Poompat:
怖いですよ(笑)ホラー映画に出演するなんて考えたこともなかったので、ドキドキです。コメディ要素のない本格的なホラー映画で、演じる役としても、映画としても、ロケ地も、楽しみですしやりがいがあります。
一人で起きてトイレに行く勇気はないんですけどね。
Phuwin Phuwintang:
P’Mikeが監督ですから、面白さのあるホラー映画だと思いますよね。
Up Poompat:
そうそう、P’MikeはP’ナーガの監督さんだから、化け物はちょっと愉快な感じだろうなと思ってたら、これは初めての本格的なホラー映画だよって。それで「ああうん…それは良いね」みたいになったよ。
もう撮影は終わってて、皆で一緒に頑張りました。ホラー映画出演はすごく刺激的でしたよ。
🎬 撮影のロケ地はどこですか?
Up Poompat:
いろいろです。チャチューンサオやサラブリー、ボーオーンとか。
🎬 一番怖いと感じた場所は?
Up Poompat:
チャチューンサオかな。あそこは本物だよ。“アジャーン・スアン修道院(สำนักสงฆ์=修道院は王室の御加護をまだ得られていない仏教施設)”がね。
※補足説明※
アジャーン・スアン修道院は、打ち捨てられた修道院。
スアン師が亡くなるまでに集めた仏像が置かれている。
ずらりと廃墟に並ぶ仏像(人形)は不気味で、心霊スポットのような逸話がいくつもあるらしい。
Phuwin Phuwintang:
まず言っておきたいのですが、僕らが撮影した場所はそれぞれ本当に全て実在します。映画で人形の像がたくさんあったり、空気が張り詰めていたり、怖いように見えたなら、そこが実在の場所です。
さっき言ったように制作チームの作ったセットではありません。
🎬 PhuwinさんとUpさんがこの話を演じるにあたって、難しいと感じたのは何ですか?
Phuwin Phuwintang:
僕にとって、こういったコメディ要素の全くない本格的なホラー映画に出演することがそれにあたります。撮影で心から怖いと感じなくてはいけないのが難しい。だって実際の撮影では、周りを制作チームの生きている人達が数十人と囲んでいますから、怖い状況だとしても怖くはないんです。
それほどの人数が一緒で怖くないのに、その状況でどうやって演技を撮影できるのか?CGも無しでどうやってパーフェクトな演技を出せるのか?と考えてしまうのです。
Up Poompat:
僕にとっては、まず第一にキャラクター自身になることでした。
Taeのキャラクターは "特別な子" だったので、ワークショップや情報収集の必要性があったんです。それでP‘Mikeや制作チームと一緒に、自閉症スペクトラムの財団法人に行きました。特別な子達と座って話をして、理事長と話を交わし、色々な資料を探してやっと一部分、30%くらいを掴みました。残りは僕が伸ばしていかなければいけません。何故なら、 "自閉症"という言葉が表すものを100%完全に理解していない人が多いと感じるからです。
でも実際に、自閉症には多様なスペクトラムがあります。
僕たちが学んできたのは、一人一人に独自のアイデンティティがあり、違いがあるということです。最終的に "Tae"のキャラクターは、監督と僕自身、そして演技指導のLukkaew先生によって作り上げられました。
最高のTaeというキャラクターを見に来てくださいね。
でもそれよりもっと大変だったのは、僕は手が汚れるのが嫌なんです。
本当にちっとも好きじゃない。映画の話の中で、Taeは土を捏ねてなきゃいけなくて、ずっと爪は黒いし、手や腕がすぐに全部土で汚れてしまうんです。最初僕は、心の奥底では手が汚れるのが嫌なんだから、キャラクターに感情移入できないかもと思ってしまったのですが、でも初日に演じた時に汚れた手と粘土を見たらすぐ、捏ねようと粘土を手にしたんです、本当に。そのおかげでキャラクターにスッと入り込めました。
※補足説明※
一般的にスペクトラム=連続体、範囲の意。
この障害は人によって特性の強弱があり、また同じ人でも年齢や状況で変化することから、明確に分類できないと考えられる。つまり、特徴として表れる言動には多様なものがある、とここでは言いたいのかな?と思われる。
🎬 一体どうして手が汚れるのが嫌なの?
Up Poompat:
友達と海老の殻むき競争をしたことがきっかけでした。
剥いて食べるのが間に合わなくて、丸ごと食べようとしてしまって。
手を洗うのが面倒なのと、手がなんだか臭くなってきたのとで、手が汚れるのが嫌になりました。それで僕は友達に追いつけるスピードになるまで、スプーンとフォークを使って、エビを剥く練習をしました。
🎬 仮に恋人がいるとして、恋人が皿を洗いたくなければ洗ってあげる?
Up Poompat:
最終通告として、僕はお皿を洗ったこと無いからね!と突きつけます。
洗うと背中が痛むんです。ほんとに拷問みたいに痛い。友達とかと出かける時は大体、先に担当を奪い取ります。僕が(洗い物以外を)先にやって、友達が片付けるように仕向けるんです。
Phuwin Phuwintang:
背中が痛いというのは実際のところ、手を汚したくないが為の言い訳じゃないの?
Up Poompat:
若干はね(笑) でも実際に洗う度に背中が痛むんだ。
お皿が1、2枚なら大丈夫だけど、食事をして家中のお皿を洗えというなら無理だよ!!
🎬 一人はシリーズドラマ出身で、もう一人もホラー映画は初出演。
どうしてPhuwinさんとUpさんはスタイルを変えて、この映画への出演を引き受けたんですか?
Phuwin Phuwintang:
やったことが無い新しい経験で、楽しめるだろうなと感じました。
チャンスが来たなら、まず急いで引っ掴みますよ。だって次はいつこんな映画や役が回ってくるのかわからないでしょう?
率直に言って、タイでここまで本格的だったり、コメディ路線ではないホラー映画を目にすることは、殆どないんです。
僕たちの脳裏にあるタイの幽霊(ผีピー)のイメージは、怖いものである以上に、先祖/自分より歳を経たもの(พี่ピー)ですから。
Up Poompat:
本当にそうだね。台本をもらってキャラクターの人となりを読んだら、ワクワクして、やりたい、このキャラクターを演じてみたい!と本気で思いました。
だってすごく挑戦しがいのある役でしたから。
🎬 映画『フンパヨン』の恐怖度は10点中何点ですか?
Up Poompat:
僕が見るなら10点です。まだ見ていないのですが、もし僕自身が見るとするなら、撮影から判断して10点を付けるだろうという意味です。
Phuwin Phuwintang:
撮影からであれば、僕はまず7点を付けます。
実際にはまだ見ていないですし、撮影中の段階での点数だと理解してもらう必要があります。ライトも人も、あの場の全てが僕を怖がらせないように配慮されていました。その時にモニターを通して見ましたが、ある程度の恐怖は感じても、CG合成された最終テイクを見ていないので、そこまで怖く無かったんです。
ですからまずは、敢えて7点を付けておかせてください。
映画館ではどうなるのか、一緒に見に行かないといけませんよ。
🎬 他のホラー映画とは違う『フンパヨン』の “強み”とはなんだと思いますか?
Up Poompat:
物語全体を通して、驚きがあるところが強みです。観客あるいは僕自身が、この映画に絶えず驚かされることでしょう。
『シャッター』(タイのホラー映画 2004年作)のように怖いよ、あれはすごく怖いよね?
この映画は同じくらい怖いけど、また違う怖さだよ。
Phuwin Phuwintang:
僕がこの映画の強みだと思うもう一つのポイントは、実在の場所に行って撮影をして、世界観を創り上げている点です。小道具にしても他の全てにおいても、ああ全く!とても現実味をもって登場するんですよ。
だから僕はこういったさまざまな構成要素の助けを借りて、キャラクターの持つ世界に簡単に入り込めると感じますし、『フンパヨン』とはなんなのか?を正しく知らしめてくれると思います。
🎬 "Mike Phontharis Chotkijsadarsopon"監督と一緒に仕事をしてどうでしたか?
Up Poompat:
P’Mikeは素敵な人です。とても可愛らしいですね。彼は常に受け入れてくれる人で、俳優に自由な演技をさせてくれます。それに全ての部門のあらゆる人の意見に耳を傾けようとします。
冷静なところも含めてすごく素敵な人で、仕事が楽しいです。
Phuwin Phuwintang:
楽しくて面白いですね。P’Mikeは俳優に対してかなり自由にさせてくれる監督になります。俳優にどう演じたいかと聞き、それをベースにして徐々に改善していくので、これまで経験してきた仕事とは違うと感じました。僕はそれが楽しいと思っています。
Up Poompat:
まるで仕事前のプリプロダクションから今に至るまでのあらゆる仕事の段階において、P’Mikeと共に学んできたかのようです。
そしてまだ僕は学んでいます。
Phuwin Phuwintang:
そうです、監督は俳優に自分のキャラクターのデザイン、シーンの構築(デザイン)、感情の組み立て(デザイン)をさせて尊重してくれるので、楽しいと感じるんです。
🎬 将来選ぶことができるなら、どんなカテゴリーの映画、どんなキャラクターを演じたいですか?
Up Poompat:
僕は役者なら誰もが同じような役を繰り返し演じたくないし、挑戦的でバラバラの役を演じたいのだと確信しています。何故なら俳優の面白さとは、異なるキャラクターになることなんですから。
挑戦的であればあるほど面白いんです。
Phuwin Phuwintang:
同じなんですけど、重複して以前と似た役を演じるなら、以前使ったものをまた拾い上げるようなものですよね。何が中核となるのかという例をもうわかってるのだから、何かを作り出すこともない。
僕は以前とはかけ離れた新しいスキルが欲しい。どんな系統でも構いません。
Up Poompat:
なんでも声をかけてくれて構いません。僕ら二人は仕事を引き受ける準備ができています。
((ちょっとした売り込み))
🎬 映画『フンパヨン』をアピールして下さい
Phuwin Phuwintang:
『フンパヨン』をよろしくお願いします。
制作チーム、P’Mike、そして僕たち二人はたくさん足を運んで、一生懸命この話を作りました。映画館に入った観客が、恐怖を抱いてそこから出てくることを願っています。
Up Poompat:
願わくばこの映画を気に入って頂けますように。物語全体を通して、間違いなく驚きが待っています。本気で言ってますよ。
とにかく『フンパヨン』をよろしくお願いします。3月9日、各映画館で!
PhuwinさんとUpさん、二人の役者が映画『フンパヨン』の演技の詳しい裏側を語るのを聞くと、かなり怖い本格的なホラー映画のようですね。しかも『P’ナーガ』で恐怖と滑稽さを内包した三部作映画を世に送り出した"Mike Phontharis Chotkijsadarsopon"監督の手によるものなのですから、当然この『フンパヨン』も負けないくらい良い作品となるでしょう。
ですがそれがどれほど素晴らしい作品なのか、我々は3月9日映画館に行ってこの目で確かめなければなりません。
映画「フンパヨン(呪物に隠れた闇))」は、日本では2024年夏公開予定となっています。
元記事はコチラ↓
また、Mike監督含めキャスト達のインタビューを和訳しています。
興味のある方はこちらのスレッドをご覧ください。
※フンパヨン記事は今回4つ一気にnoteに投稿しています。
※หุ่นพยนต์(Hoon Payon)原題を直訳すると「呪術人形」。
※タイ→日訳となっています。
この記事は昨年X(Twitter)上で公開していたものを、noteで再公開しています。素人が趣味で訳していますから、誤訳はある程度お許しください。
また、途中に出てくる補足の注釈は実際の記事には無いものですので、蛇足となりましたら申し訳ありません。