カスタマイズ社会と多様性と

 このところ、夕方ニュースは後刻、ネットの動画で、YOUTUBEやTVerやNHKオンデマンドなど、何でも自分の好きな時間に見ることができるようになった。多様化するカスタム(=顧客)のニーズに合わせて、時間帯が自由なのが特徴であり、これをカスタマイズ社会と呼ぶそうです。まさに「生活スタイルの多様性の象徴」のようです。

 カスタマイズ社会を象徴する1つが、今や当たり前となった期日前投票という制度でないでしょうか。以前は、きめられた日曜日の決められた時間帯のなかで投票するという非常に窮屈なものでした。しかし、公職選挙法改正により、一定の条件下であるものの、有権者のニーズにあわせて、生活スタイルにあわせての時間帯に投票ができるようになりました。

 前述したネット上のサービスの多様性については、技術革新が伴うものであります。世の中にはIT技術を駆使して便利さを最大限追及し、多様性なサービス提供することで、国民生活・県民生活を便利に豊かにし、しかも国際競争力に負けない国を作ることにもつながるから容認されています。しかし、その方向に突っ走るだけではいけないとのことで、それについていけない高齢者を中心に、支援施策が打ち出されています。

 国際化・グローバル化が進み、ネット上での情報提供が進む中で、伝統的な日本人的価値観、日本文化を実社会でいかにして維持して、ネット空間でいかに表現していくかも大きな課題ではないかと思います。価値観や文化は、これまでも日本人の生活スタイルの変化に伴い、少しずつ変化してきました。

 人間社会に関わる全ての諸制度をカスタマイズできることはありません。それは、国家や地方自治の存立に関わるものであり、「人間は1人では生活できない」から一定のルールのもとで共同体をつくっているからです。

 現在の日本では、多様性の名のもとに今まで築き上げてきた価値観や文化が急速に瓦解しかねないものがあるように思えてなりません。最近ではネットによる世論形成をめざして、ネット上での署名運動などが使われているようですが、そのテーマが私のまわりの近所での立ち話や、喫茶店での隣の席の話、地域の会議など実社会での盛り上がりとして聞かないこともありました。

 やはり、「変化は少しずつなら」と容認されてきたのが、現代の日本の姿であります。時代と共に変化は少しずつ。それが日本が続いてきたゆえんであろうと思います。

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