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サツキのインタビュー 前編

Co.「聴く人の心にフックをかけたいというか、ひっかかるようにやってるのかな。」

2015年8月、満を持して活動を再開したサツキ。サツキの音楽を皆さんに広めるべく、メンバーの皆さんにインタビューさせていただきました!取材の模様は前編・後編にわたってお届けします。

前編では、結成の経緯やメンバーの皆さんの音楽のバックボーン、そしてサツキの音楽性について深く語っていただきました!ポップでキャッチーなサツキの音楽だけれど、ただポップじゃない。そして歌詞に登場するキーワード、『旅』とは?どうぞご覧ください。

インタビュアー:ハヤマ

———ではまず、自己紹介をお願いします!

ケンケン:ケンケンです!ベース担当です!

Co.:ドラムボーカルのCo.です!

maya:キーボード、コーラスのmayaと申します!

———ありがとうございます!では結成から伺っていこうかと思います。サツキは今までキーボードとドラムの2ピースで活動されていましたよね。今回メンバーが替わって、8月のライブをもって3ピースの新生サツキとなりました。あらためてその経緯を教えて下さい。

Co.:前のメンバーは単純に方向性の違いで脱退ということになりました。当時は「ずっと2ピースでやってきたから、今後どうしたらいいのかな…」っていう気持ちがありましたね。でもサツキでやってきた2年半を良い形で残したいっていう気持ちが強かったから、新メンバーを募って続けることにしました。

今のメンバーとはそれぞれ既に知り合ってはいたから、ケンケンには脱退確定したその日のうちにLINEしました。そうしたら、もうすぐに「やる」ということになって…。(笑)

———ケンケンさんと出会ったのはいつ頃なんですか?

Co.:(ケンケンに)3年前とかだよね。

———そんな前から知り合ってたんですね!きっかけはどんな繋がりだったんですか?

Co.:試聴サイトのaudioleaf。突然メールが来たんだよね。

ケンケン:以前やっていたバンドのイベントで欠員が出てしまって、それを埋めるためにaudioleafで片っ端からバンドを探して…。それで100組くらい送った結果、レスポンスが帰ってきたのが2,3人(汗)。その中の一人がCo.さんで、すごく意気投合して。そのときCo.さんはバンドをやっていなかったんですけどね。

Co.:いや、当時も別のバンドはやっていたんだけど、日程的にバンドでは無理だからソロでもよければ、って。デモ音源があったから「こんなのでよければ」って送って。結果、1人でサツキ名義でライブに出たんだよね。

———じゃあそのときに初めてサツキっていう名前を使ったんですね!

Co.:そうそう。それがきっかけになって、サツキとしてのライブも結構決まっていって。

———なるほど。じゃあケンケンさんはサツキのことはもう最初から見ていたんですね!

ケンケン:実は。(笑)

Co.:ソロのサツキってほとんどの人が知らないからねぇ。(笑)

———じゃあケンケンさんにとって、Co.さんのピンチのときは行くよ、くらいの感じはあったんですか?今回のサツキ加入に関しても。

Co.:加入はわりと急だったけどね。(笑)それぞれ別のバンド活動をしてる中で、「なにか一緒に音楽作れたらいいよね」、とはお互いに言ってて。単発のコピバンとかはちょいちょいやっていたんだけど、スケジュール的にがっつりやるっていうのも難しくて…。

ずっと実現できていなかったんだけど、今回のこと(メンバー脱退)がきっかけになって「じゃあ一緒にやろうよ」って。ケンケンが入ったことで音楽性が広がったし、良かったなって思います。でも出会ったときはまさか一緒にサツキをやるなんて思ってなかったね。初めてケンケンを見たとき、怖かったし。(笑)

———実はわたしも最初ちょっとケンケンさん怖かったです。(笑)それは置いておいて、mayaさんとの繋がりはどうだったのでしょう?

maya:わたしは完全にぽっと出で。

Co.:ぽっと出…そうだね。(笑) ライブハウスで偶然居合わせて、フロアで話す機会があって。彼女がバンドで歌ってるということが分かって、それがきっかけで音もだちフェス(Co.さん主催のイベント)に誘うようになって。

maya:知り合ったのが2014年の4月〜5月くらいでしたよね。それからしばらく特に何かやるわけでもなくて、9月になって弾き語りをする機会があったけど。そのときも「何か一緒にやろう」となったわけでもなく…。わたしは元が完全にボーカルで、鍵盤でバンドに入ったことなんてなかったんです。その9月が初めての弾き語りでしたし。

———キーボードを始めたのもそのくらいだったんですか?

maya:真面目に触ってからまだ半年経ってないかなあ。でも家に電子ピアノがあったからずっと触っていましたね。趣味で弾いているだけだから、バンドは完全に未経験。それまではずっとボーカルでバンドに入っていたから、何も想像がつかない状態でした。Co.さんにサツキに誘われたときも、「できない」って言ったんです。(笑)

———そうだったんですね。きちんと3人という形で結成したのは何月ですか?

Co.:ワンマンの日が正式にデビューっていう形だったから、8/23が初舞台かな。

———西川口で行われたライブですよね。

Co.:そうそう。実は前哨戦として前日に越谷の夏祭りに出たんだけど、ちゃんとした新体制っていうのは8/23がデビューですね。

maya:でもいきなりワンマンはきつかった…。(苦笑)

Co.:でもまあ、良い経験だったよね?初ライブがワンマンっていうのも。

———たしかに、いきなりのワンマンでしたよね。(笑)

では経緯を伺ったところで、サツキの皆さんのバックボーンに迫っていきたいと思います。音楽を始めたきっかけなど、いままでの音楽との関わり方をお聞かせ下さい!

ケンケン:長くなるなあ〜…。

Co.:こないだラジオで「父です」とかバッサリ言ってたじゃん!(笑)

(取材時は2015年12月。11月に別件でラジオ収録がありました。)

ケンケン:父です。(笑)父親がギターをやっていてそれを子供の頃から聴いていて、かっこいいなと思っていましたね。僕は関係なく、中高まではテニスをやっていたんですけど…。大学に入るときに音楽をやってみたいな…と思って軽音サークルに入ったのが音楽を始めたきっかけかな。ギターとしてバンドに入ってやっていたら人が足りなくてドラムをやることになって、同じ理由で今度はベースをやることになって、それでいつの間にか何でもやるようになってましたね。(笑)

———過酷…。(笑)Co.さんはどんな感じでした?

Co.:俺も最初のきっかけは親かな。小学校のときに大手Y社のエレクトーン教室に通ったのが始まりで、当時は嫌いじゃないけど“やらされてる”っていう感じがあったんだよね。ドラムも2年間くらい習っていたんだけど、それはなぜか自分で「ドラムやる」って言ったらしくて。それで中学校のとき噂を聞きつけた不良に「お前、ドラム叩けるんだったらやれ!」みたいな感じでバンド組まされたこともあったなぁ。(苦笑)

高校では全然音楽をやっていなかったんだけど、大学のときに友達がライブハウスでオリジナル曲を演奏してるのを観て、「アマチュアでもこんなふうにできるんだ」「かっこいいな」って刺激を受けて、まずはDTMを使って打ち込みで曲を作り始めました。

———ドラムやりたいって思ったのは何かに影響を受けたからなんですか?

Co.:うーん、全然わからない。(笑)ギターやら鍵盤やら触ってみたけど、そこまで没頭しなくて。その点、ドラムは一貫して好きだったから「ドラムボーカル」という今の形に収まったのかも。

———なぜか選んだドラムを今でも好きでやれているって、すごい。mayaさんはどうでしょう?

maya:きっかけって言われると難しいなぁ…わたしは母親のお腹にいたときから音楽があるのが普通の家だったんですね。母親がシャンソン歌手で、いまも教室を持って教えているんですけど、けっこう有名なシャンソニアなんです。コンテストとかにも出ている人だったんですね。

———へえ〜!!

maya:父親は父親でジャズが好きでレコード集めているような家庭だったんですね。わたしはずっとおばあちゃんの家に預けられていたんですけど、おばあちゃんもコーラスとかで活動している人で。おじいちゃんは軍歌とか歌うのが好きで…おばちゃんのところに行けばおばちゃんはピアノの先生なんですね。というように、どこにいっても音楽がある家庭で育って、家にも当然ピアノが置いてあるし、物心ついたときからピアノを触っていましたね。ピアノを触るのが普通で、母親に「こうやって弾くんだよ」って言われて弾いて、母親は歌ったりして。本当にそれが普通でしたね。母親が歌いながら朝、起こしにくるみたいな。

Co.:「おはよ〜↑♪」みたいな?(笑)

maya:ほんとにそんな感じ。(笑)

———家がミュージカルみたいな。(笑)

maya:ほんとにそう。(笑)ちゃんと私が歌うことを始めたきっかけは児童劇団かな。入っていたのは短期間だったんですけど、そこではミュージカルとかをやっていました。ただ、歌う事に関しては妹のほうが上手かったんです。それで母親は歌手じゃないですか。次第に「あ、私音痴なんだ」と自信がなくなってしまって。それでもう歌はやめてピアノを習っていたんですけど、中学生くらいになったときに先生とケンカをしてしまって…クラシックの練習曲をあるとき自由に弾いてみたら先生に全否定されたんです。もうピアノなんて面白くない!って言って(そういう音楽は)完全に弾かなくなって、あとはもう好きな楽譜買って家で弾いていましたね。

高校生くらいになっても、歌は相変わらず自分が下手なんだと思い込んでいました。でもある時、すごく嫌々カラオケに連れて行かれたときに「あれ?全然歌えるじゃん!」って友達に言われて「あ、大丈夫なんだ」ってそのとき初めて思って。「なんで今まで歌わなかったの?」とまで言われて、「ああ下手じゃないんだ」っていう安心感でどんどん歌うのが楽しくなって発声とかもちゃんとやり出したんですね。ボサノバとかジャズとかをやっているバンドに声をかけてもらって活動もしていました。その後はもう歌うのが楽しいばっかりで、ピアノは家でちょっと弾くくらいでした。でも友達には「もっと弾けばいいじゃん」って言われてちょっと弾く頻度が増えてきたんですけど、ちょうどそこを(Co.さんに)拾ってもらった感じですね。

———そのピアノ弾くっていうのはバンドの担当としてですか?

maya:とりあえずコードは読めたので、「どんどんやればいいよ」って言われてそのままブルースとかのセッションに連れていかれました。それで「この進行でみんな弾いてるから、なんとなく弾けば良いよ」って言われて。アドリブなんてできないけど、とりあえず音鳴らしてれば大丈夫だからって言われて。それでバンドの中で…というかみんなで集まってちょっと合わせるときに、このパターンでいくからねって言われて、弾き始めたっていう感じですね。

ケンケン:でも、もともと弾けてたからね。(笑)彼女、指はすごい動くんで。

maya:私にとってはあんまり自分が弾けるっていう自信がなくて…まわりに弾ける人もいっぱいいたし、そんな中よく私を拾ってくれたなあと思っていました。(笑) 心配になるときもありますけど、今は楽しく時には悩みつつ、なんとかやってます!(笑)


ポップな中にあるゴチャゴチャを感じてほしい。

———そんなエピソードがあったのですね。

では次に、曲とか歌詞とか方向性について伺おうと思います。

曲がポップで明るいですよね。そのポップさってどこからきてるんですか?

Co.:そこは完全に俺だよね。(笑)割とロックな曲を作っても、ロック好きに聴かせると「キャッチーだね」「ポップだね」と言われてしまって。そうなの?(笑)

ケンケン:そうですね。やっぱりメロディー感が強いからキャッチーに聞こえるっていうのはあるし、メッセージ性の強いメロディーなんですよね。だから歌がすごく独立して聞こえる。ロックとかって叫び声とかがあっても気にならないじゃないですか。でもCo.さんが叫び声入れるとちょっと違和感。(笑)

———うんうん、人柄の良さが出ていますよね。(笑) 歌詞にも曲にも。

Co.:ありがとうございます!(笑) ポップさって、すごく日本っぽさでもあるなと思っていて。今の音楽ってジャンルがかなり細分化しているけれど、昭和歌謡あたりから始まった、ポップでキャッチーなものってやっぱりどこかに残っていると思うんだよね。小さい頃から家ではヒットチャートばかり流れていたし、自分もそういった曲が好きですね。

———いわゆるJ-POPっていう。

Co.:そうですね。歌詞に関してはメロディとの絡みも考えながら、基本的には自分が思っていることを歌っているかな。

———歌詞とメロディはどちらが先にできますか?

Co.:そのときによってぜんぜん違うかな。ギター片手にぱっと作っちゃう時もあれば、例えば『素晴LIFE』は歌詞をつくるのに4年間かかってる。(汗) 曲は4年前に出来ていて、歌詞は最近やっと出来たんだよね。

———そうなんですね!曲の明るさやポップさに関して、オリジナルを作り始めたときからそうなんですか?

Co.:うん、昔からそんな感じかな。どストレートなポップ。でも今作っている音楽は、「ポップだね」で終わらせたくない。ポップな中にあるゴチャゴチャを感じてほしいというか。歌詞も然り、曲の展開とか含めて「このフレーズ良いな」とか、「このコード進行が良いな」とか、いろんなことを感じて欲しい。

一言でいえばポップだけど、いろんなものが凝縮されていて。メッセージ性があったり、実はこういう(難しい)ことをやってるんだ、この曲ではこういうことを追求してるんだぞ、っていうところがあったりするので、これからもそこにはこだわっていきたいかな。

maya:私はジャズとかシャンソンとか、今やっているのとは全然違うジャンルをやっていたから、ポップっていう音楽にも触れてこなかったな。

———そうだったんですね。

ケンケン:俺もないかな。ニルバーナとかレッチリとか…ミューズとかミッシェルとか、そんな感じの。ポップなのは聴いてこなかったかな。

———音楽を聴くきっかけは洋楽だったんですか?

ケンケン:高3のときくらいに友達からすすめられてパンクロックを聴き始めてから、ちゃんと音楽を聴いていったかな。

maya:私もアメリカンロックとかは聴いていたけど、ポップは触れたこともないかな。

———聴いてきたものと違うのってどうですか?

ケンケン:まあ自分の好きな畑をねじこんでいっても、Co.さんは「全然良いよ」って言ってくれるんですよね。

Co.:うん、それを期待しているところもあるし。ポップという一本柱に対して、どこまで他のジャンルの要素を取り入れていくか、絵の具足していくか、みたいな…。

———うんうん、ポップの中にゴチャゴチャってさっき言ってましたよね。

Co.:そう。ポップって幅広いからね。

———歌詞もポジティブだったり、明るいじゃないですか。『素晴LIFE』も『旅に出よう』も、こう…縛られないで楽しくいこう、みたいな感じを受けて、そういったメッセージを感じました。

Co.:ポップである以上、普遍的に伝えたいから、基本的には誰に対しても響かせたいし届けたいなとは思っているかな。リスナーは音楽を選ぶけど、「サツキはこうだよ」っていうのを音で伝えて、自由に感じ取ってもらえればいいかなって。どの言葉が響くかっていうのも人それぞれだと思うから。

———どういうときにメロディや歌詞が浮かんできますか?

Co.:それこそ一通りではないかな。「これだ!」って閃くのが家の時もあれば電車の中のときもあるし、メモ帳とにらめっこして言葉を継ぎ足すときもあるし、これやっぱ違うなって思ったらごっそり変えちゃうこともあるし。

———なるほど。先ほどもおっしゃっていた、“サツキ”として音で伝えたいものを詳しく教えて頂けますか?

Co.:誰しも自信がない時ってあると思うんだけど、最終的には肯定したい・信じたいという気持ちを表しているかな。全体的にはポジティブなんだけど、部分的にちょっと後ろめたいことも書いているのは「人間の感情って起伏があって人生山あり谷ありなんだけど、上向いていこうじゃないの」っていうことを伝えたいからなんだよね。それが基本かな。

———2曲とも「旅」や「旅人」などのワードが登場しますが、そのキーワードってCo.さんにとってどう関係しているんでしょう?

Co.:旅行のことを旅と言うこともあれば、人生そのものも旅って例えたりするじゃない?『旅に出よう』っていう曲は、どこかに旅行に行くときに聴いてもすんなり入ってくるんだけど、大きなスパンで「人生」と思ってもそう聴けるし、恋愛で置き換えても聴けるんだよね。そんな思いを込めて作りました。言葉のロジック的なものというか、こうです!って歌詞を出したときに、10伝えて10伝わるのではなくて、10伝えて100の受け取り方があって欲しい。

『素晴LIFE』も、基本軸は「人生は素晴らしい」に尽きるんだけど、2番の「誰かが召されてる」っていう歌詞みたく、闇の部分にも触れておきたくて。誰かが言わなきゃ、と思うんだよね。メロディは明るいんだけど、敢えてそういうことも伝えるっていうことを大事にしています。

「旅」とか「夢」っていう言葉が自分の中では頻出ワードなんだけど、「夢は信じれば叶うよ」とは言いたくなくて。叶わない夢だってあるし、うまくいかないこともあるでしょ。でもその中でどう次のステップにいくか、どうやって次の夢を見つけ出すのか。俺の解釈はこうだけど、あなたはどうなの?って問いかけるような曲にしたいという思いがあります。

ケンケン:けっこう含み言葉が(歌詞に)ありますよね。ここからこう分岐するよ、みたいなのが、いっぱいある。

Co.:1+1の先におあつらえ向きの2があるんじゃなくて、2に辿り着くためには何が必要?何回足しても引いても君の自由だよ!っていう。

ケンケン:君はどう思う?っていうのが歌詞に多いですよね。

maya:なにか人の心に残ったり、伝わればいいんじゃないかな。

Co.:うん。決めつけて「こうだぜ!」「こうでしょ?」っていうんじゃなくて、聴く人の心にフックをかけたいというか、ひっかかるようにやってるのかな。

maya:明確に「これが正しいんだ」っていうふうにしてしまうとたぶん人の心に残らないと思うから、明確な言い方をしないで含みをもたせるっていうのが私はすごくいいんじゃないかなと思って聴いてますね。

後編ではサツキの皆さんのパーソナルな部分にも迫っていきます!お楽しみに。

後編はこちら

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