クリスマスに振られた男とハンバーガーを食べた私
一昨年のクリスマス。私は一人だった。
ネットスラングで言うところのクリボッチ。
一昨年という言い回しをすると「今年は一人じゃありませんでした!」みたいな含みになってしまわないか。誤解を恐れずに言うとちゃんと今年も一人だった。
恋愛は難しい。難しくてすごく簡単だ。悩むほどに難易度は上がり、悩まなければ、スーパーマリオブラザーズ1-1面のようにすんなりクリアできる。
話しが脱線した。今回は恋愛の話がしたいわけではない。一昨年のクリスマスの話し。
あの日はすることもなく、でも世はクリスマスムードで、何もしないわけにもいかないなと謎の使命感に駆られた私は午前10時過ぎに買い物にでかけた。
場所はニトリ。ニトリはいい。家の内装を見ていると落ち着く。安い割に質は悪くなくて、快適な生活を送るのにピッタリのお店だ。
ニトリのあのふかふかのベッドで閉店まで眠ってしまいたいと思ったのは一度や二度ではない。
見るだけじゃ飽き足らず、ランプとマットレスを買った。自分なりの自分へのクリスマスプレゼントのつもりだった。
クリスマスプレゼントを買った帰りお腹が減っていることに気がついた。
クリスマスだし、洋風の何か体に悪そうなものを食べたい。
そう思った。
だから一人でマクドナルドに行って、アツアツのベーコンレタスバーガーを注文した。ふわふわのバンズにシャキシャキのレタス。カリカリでジューシーなベーコンが口の中を美味しいで満たす。ソースは特性。ああ私はなんて幸せなんだ。そう思った。
そう思って店内を見渡すと、若い男女が二人、奥の席でデカイ声で話している。若い男女とは言えども私よりは多分少しほんのちょっとだけ年上だろう。
「今日はクリスマスだね」
若い男が言った。
「ねー、雪降らないかな。ホワイトクリスマスが良かったな」と彼女らしき人が答える。
そういえばここ最近雪を見ていなかった。ホワイトクリスマスなんていつあっただろう。確かに雪が降れば少しばかりロマンチックではあるけれど、私は寒いのは苦手だし、ましてやロマンチックを共有する相手もいないのだから雪は御免だ。
2秒位でそう考えてたら男が言った。
「大丈夫。俺がホワイトクリスマスにしてやるよ!」
それが下ネタだと気づいたのは、彼女の引きつった顔を見たからだ。
「あぁ、私帰るね…」
「え、いや冗談だよ!」
男はそう言っていたが、彼女の意志は固かった。
店内は一人取り残された振られたばかりの男と、ベーコンレタスバーガーを頬張る私で静まり返っていた。
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